BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

THEピット――歴史がひとつ動いた!

●さあ、偉業へ!

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 9Rで遠藤エミは2コースから2着。準優1号艇が見えている状況のなか、しっかりと差して連に絡んだ。これで、予選2位以上が確定! いよいよ、女子3人目のSG優出がハッキリと視界に入ってきた。
 しかし、遠藤はまるで精神的には平穏を保っているようだった。いや、保つようにしているようだ、だろうか。初日に走って手応えを得たことで、一喜一憂したり、プレッシャーにまみれないようにと、務めて平常心でいることを自分に課しているようだ。その心境でいられるなら、明日も震えることなくしっかりと1号艇の走りを見せるだろう。これで遠藤は完全に、このクラシックの主役となった。

●エミさん応援!

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 その9Rの前、ピットの端っこでうろうろしていると、丸野一樹が登場。何事かと思ったら、「エミさん、何等ですか?」と質問してきたのだった。ようするに、何着以上なら遠藤はトップ通過するのか、という状況を知りたかったのだろう。この時点では、秦英悟の結果次第ではあったので、ハッキリ何等とは言えない状況。ひとつでも上位に入ることに越したことはない、が結論である。それを知った丸野はうんうんとうなずいて、エミさん応援!と一言残して整備室へと入っていった。
 その丸野自身、予選突破を決めている。ターン回り系の仕上がりは「グランプリ以来」の好感触だそうだ。そこの足が来れば、丸野らしい旋回を見せられるはず。エミ先輩と一緒に優出できれば最高っすね!

●3艇F……

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 大村のピットは実況アナウンスが流れるのだが、10R、スタート直後に「複数のフライングがある模様です」との痛々しい言葉が聞こえてきた。
 1~3号艇。田村隆信、濱野谷憲吾、桐生順平がフライング。昨日につづいて、複数艇Fが発生してしまった。田村と桐生は勝負駆けだっただけに、気持ちがやや前へ前へと進んでしまったか。他の3艇より先にピットに戻ってきた3人。桐生はいったんヘルメットをとって痛恨の表情を見せていたが、すぐにヘルメットをかぶり直して、顔色を隠すように控室へと戻っていった。

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 濱野谷はこれが2本目のF。昨年復活ののろしをあげたのが、ここ大村のGⅠダイヤモンドカップだったが、今回の大村は大きなつまずきを喫してしまうことになってしまった。濱野谷は大きな責任を感じているかのように顔をゆがめ、時に歯を食いしばるかのような表情も見せて、勇み足を後悔していた。
 やはり、フライングが出た後のピットの空気は重い……。

●勝ったものの

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 10R1着は太田和美だ。これで準優進出も決めて、本来なら喜ぶべきレース後である。だが当然のように、太田には歓喜はない。淡々としているというよりは、複雑な心境があらわになっているかのような、なんとも言い難い微妙な雰囲気なのであった。勝者でさえ、Fの出たレースでは重い……。

●勝負駆け逃げ!

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 11R、平本真之が逃げ切った。得点率的には2着でもボーダーに届く計算だったが、もし原田幸哉が1着だったら上位着順の差で微妙なところだった。その状況を把握していたかどうかはともかく、ここは必勝のイン戦だったのだ。
 勝って喜びを隠さず、負けて悔しさを隠さず、が平本真之。しかし、今日の平本はこれまでに比べると、ずっと喜びをあらわにはしていなかったように思う。平本に変化が生まれているのか、それともまた別の思いがあったか。いずれにしても、そんな平本の様子はといえば、ひたすらに力強く、逞しく見えたのはたしかである。

●そして……予選トップは!

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 予選トップの行方は、この11Rにかかっていた。秦英悟が2着以上なら、秦がトップに辰という状況だったのだ。しかし秦は3着。この時点で、遠藤エミのトップ決定! ついに女子選手がSGで予選トップ通過!

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 エンジン吊りに向かう遠藤は淡々としたものだったが、まず守屋美穂が人差し指を立てて祝福! さらには太田和美が優しく肩を抱き、遠藤を称えた。「もうええやろ」と笑っていたという説もあるが(笑)、それは太田流のエールである。さらには西山貴浩が称賛し、さらに応援の言葉を送っていた。遠藤の快挙は選手たちにとっても、おおいなる関心事なのである!

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 対する秦は、悔し気な表情を見せながら、淡々としたレース後ではあった。だが、惜しいことをしたという思いはあったのではなかったか。まずは準優突破。願わくば、ファイナルで遠藤vs秦の真っ向勝負を!(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 TEXT/黒須田)