BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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後半ピット/苦悶の整備、弾ける笑顔

 9Rが終わって記者席からピットに出張ると、6号艇で6着に敗れた野田彩加(山口・126期)がちょっと残念そうな足取りで近づいてきた。だけんどもしかし、今日は前半4Rで豪快な4カドまくり=デビュー4勝目を挙げたのだから、収穫の多い1日でもあったことだろう。今晩21時配信『週刊BOATBoy』のインタビューにも快く応じてくれて、ありがたい限りだ。

 で、19歳の美女との言葉のキャッチボールで目尻を垂れ下げていたらば、整備室内では眉間に皺を寄せた40代の美女あり。地元の堀之内紀代子が、本体をバラバラに割って悪戦苦闘しているのだ。

 さらには9Rのお手伝いを終えた寺田千恵、田口節子という地元の花形スターコンビも紀代子さまに近づき、同じように眉間に皺を寄せて「あーでもない、こーでもない」と言葉を交わしている(内容はまったく聞こえないけど)。さらには児島の整備士さんも渋い表情で「あーでもない、こーでもない」。対する堀之内本人は、両手を左右に広げて「こんなに大変!」みたいな雰囲気を醸し出している。

 要するに、かなり深刻な事態なのだ。よくよく当欄で黒須田が書く「地元の選手、関係者が総出であーでもない、こーでもない」的なヤツが、まさに眼前に広がっている。結局、紀代子さまはこの後もあれこれ部品を点検したり交換したり(?)、再び組み立てはじめたのは11Rの〆切5分前だった。相変わらず、眉間には深い皺が寄ったままではあった。明日の紀代子さまは【4R5号艇・12R3号艇】の2回走。今日の大がかりな整備で、どこまで戦える態勢が整ったか。現時点では、まったく予断を許さない状況とお伝えしておきたい。

 時を前後して、破顔一笑、これ以上ないほどのキラッキラの笑顔を魅せてくれたのが10Rを逃げきった山川美由紀だった。
 1着で笑う。
 ごくごく自然な行為なのに、これまた私の目には新鮮に映った。
 あの百戦錬磨の美由紀姐さんが、一般シリーズの10Rを逃げきっただけで、こんなに嬉しそうに笑うのかぁ。
 ってな感じ。山川の元には関東の大御所・渡辺千草も駆け寄り、それはそれは親しげに言葉を交わしている。
「なんか、ピットの選手の表情を見てたら、いや、表情からパワーの良し悪しとかを完璧に見分けられたら、めっちゃ舟券に直結するんでないかい」
 思いつきの言葉をチャーリー池上先生に告げると、先生は無言のまま首を左右に振って私の元から離れた。きっと、「そんなん一朝一夕で完璧に見破れたら、すべてのピット記者が大金持ちになってるじゃろが~」と言いたかったが、あまりに幼稚すぎて話す気力もなかったのだろう。

 11Rが終わると、やはりインから逃げきった「ミスター紅白戦」吉川貴仁が心底ホッとした顔で勝利者インタビューに向かいはじめた。ミスター貴仁とはすでに『週刊BOATBoy』用の収録を済ませていたのだが、改めてパワー面で聞きたいことがあった。
――なんか1Rの2マークはターンの出口で相手に追いつかれる感じだったけど、今はあれより良くなりましたかね。
「あ、はい、いや、1Rからそんな悪い感じはなくて、あそこは僕のターンミスなんですよ。そこから少し自分のスタイルに調整して、さらに良くなったかも。ほんのちょっとですけどね。明日からも戦えるくらいの状態にはなっていると思います」
 力強い言葉が聞けて、まずはひと安心。この大会に皆勤賞で参加している私としては、“申し子”とも呼ぶべき貴仁のことをいつの間にか「息子みたいな存在」ってな感じに思ってしまっているのだな。妙に屈折した感情ではあるが、今シリーズも節間を通じて応援しようと思っている。

 あ、最後にサービスショット。私が勝手に「丸トレ・シスターズ」と命名した勝浦真帆&来田衣織の仲良しスナップをどーぞ!

(photos/チャーリー池上、text/畠山)