BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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前半ピット/何も起こらない朝

 最終日の2R直前、ピットに出張って周辺を見回し、脳裏に浮かんだ言葉は「閑散」と「静寂」。黒須田の最終日・前半によく登場する単語だが、なるほど、それ以外に適当な言い回しが見つからないぞ。広いピット全体ががらーーーんとしていて、4、5人ほどの若い選手がなにかしらの作業をしているだけで、昨日まで駆けまわっていた記者さんの多くもすでに児島を後にして不在だし。
 ふと片隅に目をやると、優勝戦の1~5号艇が枠番の順番のままきれいに横並び。そこから一段後列の左端に6号艇が鎮座ましましていた。つまり、ファイナリストの6人はすべて舟を水面に降ろすことなく、思い思いに最終日の朝を過ごしているのだろう。
 うむ。

 手持無沙汰とはこのことで、ただただぼんやり立ち尽くすのみ。こんな平和すぎる風景の中で、果たして何を書けばいいものやら……そういえば昨日、社会勉強でお手伝いに来ているデビュー前の130期生・小宮涼雅クン(小宮淳史選手の息子さん。日体大レスリング部出身)と二言三言話したなぁ、とか、初日に4カドまくりを決めたサプライズガール・野田彩加ちゃん(空手の元アジアチャンピオン)が昨日つつつと近寄ってきてくれて三言四言話したなぁ、とか、でもそんな話題を最終日に書くのはお門違いかなぁ、とかヒマな脳みそで考えているうちに2Rがスタートした。

 そう、やはりレースはピット班にとっても重要だ。あれだけ閑散としていたピットのあちこちからわらわらと選手たちが集結し、あっという間に賑やかな光景に変わった。その中にはファイナル5号艇の山川美由紀もいて、平山智加のエンジン吊りを率先して手伝っている。マスク越しで口元は見えないけれど、美由紀姐さんの目尻はやんわり垂れ下がっていて昨日と同じく上機嫌であることが見てとれる。

 いつの間にやら原田才一郎と川野芽唯もモーター架台を運んでいるし、主役の新開航×ミスター紅白戦・吉川貴仁の118期コンビもニコニコしながら出現。吉川はすぐにゲージを擦るブースに直行したのだが、私が知る限りではこれで3度目。その表情はおっとりというか余裕綽綽というか、とにかく午前11時の段階で「人事を尽くして天命を待つ」っぽい雰囲気を醸し出している。単純に6号艇という気楽さかも知れないけれど。

 さらに、それから、と続けたいところだが、一瞬にして集結した20名ほどの選手たちは、それぞれの仕事を終えると蜘蛛の子を散らすように消え去ってしまった。私の眼前に残ったのは、2Rでセンス抜群の全速ターンで2着を獲りきった126期・野田彩加と、4R2号艇の出番を待つ127期・清水愛海が仲良く微笑みあうツーショットの光景のみ。
 優勝戦に役立ちそうな情報はほとんどゼロだったけど、これはこれで楽しい閑散ピットだなぁ。
 などと不気味にほくそ笑む還暦ジジイであった。ちゃんちゃん。(photos/チャーリー池上、text/畠山)

※今節、載せきれなかったphotosを何枚かアップしておきまーす。

★サボることを知らないこの選手は……グレートマザー日高逸子さま!

★仲良しツーショットPART1
 昨日の準優11Rで明暗が分かれた中村日向×原田才一郎。昨日の敵は……

★仲良しツーショットPART2
 地元・岡山の前原哉×安井瑞紀。昨日=瑞紀ちゃんのバースデーに撮影しました!