インの強い尼崎で6コースからの勝利! しかも2レース連続で飛び出るとは驚いた。7R、平本真之。8R、稲田浩二。お見事の一語だ。稲田は5号艇で、6号艇の前本泰和が前付け。6コースに出されながら、イナダッシュを決めてまくり差しを放つという、稲田らしいレースぶりだった。
平本は、レース後の表情は見ることができなかったが、9R界隈でピット内を移動している足取りが実に軽やか。同時に力強さもあった。気分がいい証拠だ。前半2Rでは6着に大敗しているだけに、この巻き返しが気分も一気に好転させるものだっただろう。一方、稲田はなんにせよ、あまり感情を見せるタイプではないので、会心の思いは伝わらないというのがいつものこと。レース後も粛々と格納作業をしており、その姿もまた稲田らしいものだったのであった。
8R1号艇の平高奈菜はなんとか2着に粘ったが、やはり白カポックを活かせなかったのは痛いところ。これもいつも通りというべきか、眉間にシワを寄せた平高は、着替えを終えると整備に取り掛かっている。本体を割るというのではなく、電気一式の部分を持っていたので、その交換があるかもしれない。1号艇で勝てなかった分を取り戻すためにも、パワーアップは急務か。
9Rは今垣光太郎が必殺3カドまくり! 観客席のいちばんピット寄りの水面際では、「今垣光太郎」というタオルを掲げて今垣の期間を待ち受けるファンが。その前を通るとき、今垣は小さく頭を下げていた。
とにかく会心の一撃で、レース後の表情は明るかった。2着に続いた平山智加とは笑顔でレースを振り返っており、気分の良さがあらわになっていた。SGの舞台での3カドまくりは最近、そうそうは決まっておらず(というか3号艇でも3カドを獲れない=4コースになるなども少なくない)、それだけに会心度はより高くなっていたことだろう。光ちゃんの笑顔は、やっぱりいいっすね。
直撃を受けた池田浩二は、「まいりました」とばかりに今垣に頭を下げていた。為すすべなく、という感じでまくられてしまっては、この結果も致し方なしといったところか。ヘルメットの奥の目が柔らかかったのが印象に残った。
6コース3着だった西山貴浩は「本人が驚いてますわ」とのこと。出足がまったくなかったそうで、それでも3着に食い込めたのは上々の結果、ということだろうか。レース後もすぐにプロペラ調整に取り掛かっており、出足を上向かせるべく、調整の手が緩むことはない。
10Rは篠崎仁志が逃げ切り。辻栄蔵が4カドから攻め、太田和美が5コースからまくり差しで迫ったが、バックで振り切っている。今日の後半はセンターやダッシュ勢が攻め込む展開が続き、イン勢はなかなか厳しい戦い。なんとか逃走決めた篠崎は、歓喜よりも安堵の表情を浮かべているのだった。
6号艇6コースで大敗を喫してしまった山田祐也は、田村隆信、平山智加としばし反省会。時折笑顔も見えており、やや和やかなムードがうかがえた。その後は、同世代の村松修二と長く話し込んでもいた。こちらは逆に、時折深刻な表情も見せており、反省会の意味合いはこちらのほうが強かったかも。村松も今日は4Rで大敗しており、明日へ向けての情報交換といった意味合いもあったかも。昨年に続き、今年もベテランが強いSG戦線。若い力がのし上がってくることがおおいに望まれるところだ。ともに刺激し合って、明日以降の奮闘につなげてもらいたい。(PHOTO/中尾茂幸 黒須田 TEXT/黒須田)