BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――船岡も浜名湖入り!

 今日になって船岡洋一郎の追加参戦が決定した。予備順位では次点は渡邉和将なのだが、すでに出場予定の宮島に荷物を送ってしまった後ということで辞退を申し出たとのこと。そこで船岡が繰り上がることになったというわけだ。とはいえ、広島からやってくるわけなので、本来の集合締切である12時に到着するのは不可能。15時くらいには到着しそうだという情報がこちらには届いていた。
 14時30分、ふと整備室を覗くと、船岡だーーーっ! 予定より早く船岡到着。さっそく前検の準備に入っており、スタート特訓とタイム測定は9班6号艇に組み込まれた。中国地区の先輩や、期の近い土屋智則などが笑顔で船岡に声をかける。船岡もにこやかに応え、突如舞い込んできたSG出場を歓迎しているようであった。16年メモリアルで菊地孝平は予備3位から繰り上がりで出場して優勝。船岡が予備5位からの繰り上がりで優勝すれば、菊地を超える快挙だ。頑張れ!

 その頃、すでにスタート特訓とタイム測定を終えた船岡の先輩・前本泰和は、本体をバラバラにしていた。その前に整備用のテーブルにはクランクシャフトとセット(ピストンとシリンダケースが一体になっているもの)が置かれており、これは大整備確実と見ていたのだが、やっぱり始めた! 前本がここまでの整備をするのはそうそうあることではなく、過去1年ではクラシックでセット交換をしているが、あとはほとんどが単発の部品交換で、しかも回数は少ない。だというのに前検日にいきなりの整備ということは、よほど感触が悪かったか? 明日の足色と直前情報には要注目だ。

 機歴簿については電子化しているレース場もあるが、浜名湖の機歴簿は昔ながら(?)のファイルで綴じられたもので、今日はこれに選手が群がるシーンが見られた。それも前検航走に乗る前のことだ。まずは相棒にこれまでどんな整備調整が施され、どんな結果が残されているかをチェックし、それと乗ってみた感覚を比べて方向性を探そうということだろう。松井繁の欠場で今節の登番最上位となった太田和美もその一人で、これが彼のルーティンかと想像すれば、この過程に込められた意味は重い。

 もっとも、オーシャンでSGウィナーになったばかりの椎名豊も機歴簿を開いていた一人で、これを前検日のルーティンとしている選手は少なくないということだろう。椎名の今日の感触は「行き足はいいが、スリット後が一息」とのこと。プロペラの形がどうやら自分とは違うものだったようで、それも含めて、機歴簿の情報からどう足を仕上げていくか思案どころといったところか。

 同じように機歴簿を見ていたひとりが森永淳。ただ、その情報がどうだったかはともかく、スタート特訓とタイム測定からあがってくると、出迎えた上野真之介に思い切り顔をしかめて見せて、首をひねっていた。前検航走後にここまで顔をしかめる選手というのも、少なくともSGではあまり見たことがないだけに、不満の度合いがありありと見えた。明日は11R1回乗り。機歴簿で見た情報もふまえて、調整に明け暮れる初日になりそうである。

 さてさて、仲間がピットに戻ってくるのを待つ間、丸野一樹と椎名豊、さらには村上遼が職員さんの部屋のなかを覗き込んでいた。そこにはモニターがあることを知っているので、おそらく映し出されているどこかの場のレースが気になるのかな、と思ったら、そのモニターのひとつが甲子園の決勝を映し出しているのであった。この3人、いずれも野球経験者。丸野が高校野球でキャッチャーをやっていた話は本人から聞かされたし(選手になるための減量は熾烈で、あまりの激痩せっぷりに友達からは病気かと心配されたとか)、椎名は大学まで野球部! 元高校球児としては、やっぱり気になるんでしょうね。(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田)