BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――整備ラッシュ

 8R後、またしても前本泰和が本体をバラし始めていて、いやはや実に大変な前検日→初日だ。その前には整備士さんと思案しながら話し込んでいる姿もあって、整備士さんも何としても前本のリクエストに応えたいと願っているようだった。

 本体整備の前にはこうして整備士さんに相談するケースが多く、その前には池田浩二が話し込んでいる場面もあった。しばらく経ってもういちど整備室を覗くと、やはり池田が本体整備を始めていて、前本についていた方とは別の整備士さんが池田に寄り添って見守っていた。池田は2着2本の初日で、そこまで悪くなさそうにも見えていたのだが、気になるところがあったのだろう。

 9R、1号艇で4着に敗れた寺田祥が、着替えを終えて整備室に入ると、前本についていた整備士さんに声をかけていた。その後、寺田が外していたのはギアケース。それを見ながら、整備士さんのアドバイスを受けていた。前本についていて忙しそうな整備士さんになぜ寺田も声をかけたかというと、おそらくはモーターの担当が同じ方だったのだと思われる。モーター番号ごとに担当整備士が決まっているもので、前本=49号機、寺田=56号機と番号がまあまあ近いことから、同じ担当者ではないかと思われるわけだ。池田は36号機だから、担当が違うというわけだ。

 10R発売中には、海野康志郎がギアケース調整を始めている。これを見つめていたのもまた別の整備士さんで、海野のモーターは10号機である。寺田らや池田とも番号が離れていますよね。ようするに、整備士さん一人に1基、という担当制ではないので、時に自分の担当モーターが同時に整備を始めるというケースも多々あるわけだ。ただ、複数の整備士さんが一人の整備を見守っているというケースもけっこう見かけるので、整備士さんも協力し合って選手のパワーアップに尽力することもあるという次第。本体整備はおおむね機力に違和感がある選手がやるもので、それは成績(や稼ぎ)にも直結するので実に大変だと思うが、整備士さんたちだって楽じゃない。縁の下の力持ちにも拍手を!

 さて9R、永井彪也が3コースからまくり差し快勝。評判機のパワーを孫文に活かした、見事な勝利であった。ピットにあがってヘルメットを脱ぐと、くぅ~、超色男が微笑んでますがな。このところSGではモーター的な部分も含めて苦戦することが多かっただけに、笑顔を見せるレース後は久しぶり。いやはや、同性のワタシから見ても、カッコいいですわ、チクショー。いやいや、快勝おめでとう。

 2コースから差しに行ったところ、その上を通過され、引き波に乗って大敗を喫した桐生順平は、永井に対して「あんな完璧なところに来なくていいんだよ!」と苦笑いで声をかけていた。悔し紛れの言葉にも聞こえるが、発したのが桐生順平なのだから、これは最大限の賛辞である。桐生に認められて、永井も嬉しかっただろうなあ。

 10Rは、磯部誠の攻めに乗って辻栄蔵が抜け出した。レース後は勝っても負けてもガハハハと笑うことが多い辻も、比較的淡々とした表情を見せていたのであった。攻め手3着の磯部や、牽制して差されたインの茅原悠紀を気遣う部分もあったんでしょうかね。

 実際、磯部はなんともやるせない表情であがってきていて、首を傾げる場面も。レースを見る限り、磯部の生命線とも言えるターン回りはやや分が悪そうでしたね。そのあたりの不満もあっただろうか。攻めたのだから仕方ない、と言いたくなったりもするわけだが、それは慰めにはならないことも多々ある、ということである。(PHOTO/中尾茂幸 黒須田 TEXT/黒須田)