レース前やレース後の菊地孝平の表情はとにかく力強く、目が爛々と輝いているわけだが、出走表の体重欄を見て合点がいった。今日の出走表には「51」とある。菊地は決して軽量級ではなく、つい1カ月前のオーシャンカップでは53.5kgで走ったりしており、今年のSGはおおむねこれくらいの体重だった。ところが、前節のお盆開催は52kg台で初日を迎えて、シリーズ後半には51kg台に。今回も52.7kgで前検に入り、昨日は51.2kgである。明らかにこのメモリアルを照準に減量しているのだ。
今朝の計量では51.3kgで、キープにかかったということだろう。減量とはすなわち気合いである。思いの強さが体重にあらわれているのだ。その気合が、結果と噛み合っているのが今節の菊地ということになる。
坪井康晴も今朝は51.1kg。坪井の場合は52kgで走ることが多いので、菊地に比べれば通常より体重を減らしているというわけでもないが、しかし減量をしているという意味では同じこと。やはり地元SGに懸ける思いは強いのだ。菊地よりも感情をさらけ出すタイプではないので、ピットにいても見逃しがちになってしまうが、坪井もまた気合がぐぐぐっとこもっている。準優は6号艇でももちろん侮れない。
といっても、菊地にせよ、坪井にせよ、まだ準優まで時間がたっぷりとある今朝は、リラックスモードで過ごしてはいる。写真はペラ室を覗きこむ菊地と中島孝平。何を眺めてるんだろうなー、孝平コンビは。中島もまたリラックスしている雰囲気があって、穏やかな時間を過ごしているようだ。孝平コンビはふたりとも、本格的な調整はもう少し先になりそう。ようするにモーターはかなり仕上がっている。
準優組は、いずれもマイペースな調整作業で午前中を過ごしていた。すでに着水している選手も片岡雅裕や長田頼宗などがいたし、プロペラ調整室には上野真之介や辻栄蔵の姿も見えた。また、原田幸哉も調整を始めており、柳沢一との絡みを今日も多数散見。一方で、守田俊介はいつも通りのんびり過ごしているようで、エンジン吊りにゆっくりと出てくるシーンしか見ていない。
関浩哉は毒島誠と話し込んでいた。毒島は残念ながら予選落ちを喫してしまったが、ならば関を全面バックアップの構えだろう。そうか、群馬支部で準優に駒を進めたのは関だけか。先輩たちが最年少の関にエールを送るわけだから、関としては心強い準優となる。
瓜生正義の首には「日本モーターボート選手会」と染め抜かれたタオルが巻かれていた。「役職を利用してもらってきた」と笑っていたが、そりゃあ会長なんだからなんぼもらってもいいよね。なお、現在絶賛発売中のBOATBoy9月号の読者プレゼントではこのタオルが選手会より提供されているので、ぜひご応募ください。
1号艇の96期コンビ、平本真之と新田雄史は、まだペラ調整を始める前ながら、ボート周りの細かい作業を丁寧に行なっていた。近いうちに着水するだろうなあ……と想像していたら、まさにこれを書いている今! ふたりが足合わせをしているではないか。順当に逃げれば明日は対戦することになるわけだが、今日はさまざまに情報交換をしていくことになるのかも。この足合わせをもとに、プロペラ調整を行なっていくものと思われる。(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 TEXT/黒須田)