BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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多摩川ヤンダビ『前検を斬る!』

 多摩川ヤンダビの前検業務がなんとか終わりました。察した読者も多いことでしょうが、足合わせ~試運転~スタート練習の合間にいきなり土砂降りになるわ、すくにポカポカの陽光が射すわ、突風が吹き荒れるわ、風がはたと止むわ、1秒としてじっと落ち着くことがない赤ん坊のような是政水面でありました!
 ってことは、言い訳でもなんでもなく足色の鑑定がすこぶる難しいわけですよ。とりわけスタート特訓はスリット隊形がほぼほぼバラッバラ。フツーにコンマ50前後の選手が続出し、一方はコンマ10前後だったりして、アジャスト鑑定ができるはずもなし。今までの当欄の中でもっとも難解な1日だったかも??
 と泣き言から入りましたが、そんな観測者泣かせの中でただひとりだけ「間違いなく超抜パワー!!」と言いきれる人機が紛れ込んでいた。マジで、ケタチ。そのモンスターから、私なりに良く見えた順番に紹介します。

SS級(節イチ候補)

★★★近江翔吾=22号機

 マジでやばかった。そりゃ初下ろしから11節で10優出3V=2連対率66%!だから馬鹿に良く見えて当たり前なんだけど、起こしからスリット手前からスリット過ぎてから出て行く出て行く! 今日の観測ポイントには三島敬一郎も駆けつけていたのだが、3本の特訓を見終わってから、ふたりともしばし沈黙。それから、堰を切ったように語りはじめたのだった。
畠山「凄かったね」
三島「ですね、二の足ってヤツですか、出足から行き足のところ、半端なかったす」
畠山「スローでもダッシュでも関係なく」
三島「そう、関係なく出て行った」
畠山「これはもう、独壇場だな」
三島「独壇場、っすね」
 こんな会話を交わしたのだが、近江翔吾22号機は第2班(全部で9班)。それくらいの独壇場パワーだった。明日の近江は嬉しいことに【3R6号艇・9R5号艇】の外枠2回走! どう買うかは皆さんの自由だが、うまく転がれば蔵が建つくらい儲けられるかも? そんな夢を見せてくれる図抜けた超抜パワーだった。

A級(上位候補)

★吉田裕平=58号機

 先に書いたとおり、一目で超抜と分かった近江22号機以外はどんぐりの背比べモード。スリットの凹凸もあって判定が難しい中、三島十傑に属さない裕平58号機の出足~行き足が軽快に見えた。ちょいと腰が引けつつ三島に伝えると、「おお、58号機は僕にとって隠れ上位モーターなんです、やっぱ動いてますねぇ♪」と聞いて納得。裕平の勝負根性は百も承知。強風が予想される明日の【2R6号艇・8R4号艇】が勝負どころかも?

★山下流心=52号機

 三島が近江22号機とともにSを授けた52号機。私にとってもイチ推しなのだが、今日のところは「よく分からんかった」。2度もスタートで後手を踏んだ(他が非常識なFだったが)のみならず、スリット直後にすぐ減速。伸びフェチの私は「そっから先のストレートが大事なんじゃー、ソコを見せてくれーーー!!」と泣き叫んで訴えたが、強い風に搔き消されたのだった(笑)。ってなわけで、近江22号とは対照的な特訓になってしまい、正味の足色は明日の実戦などで判断するしかない。もっとも、今日はほとんどの選手が「参考外」だったけれど。

★上條暢嵩=55号機

 優勝候補が集うドリーム組で、スリット近辺の加速感がちょっとちょっと強めに見えた。この見え方は同組の上田龍星、小池修平にも当てはまり、「ドリーム特訓は大阪トリオが優勢な見え方だった」とお伝えしておきたい。3人ともにやや早起こしではあったけれど。

番外編

☆高田ひかる

 毎度御馴染み「伸びーーーるひかる」は今節も別建て扱いにしておく。モーター不問で前検からトップ級の伸び足に進化させるひかるだが、今日のところはまだ迫力不足。特訓3本目のアウトダッシュでちょい出て行く気配も、本来のサプライズな見え方にはほど遠かった。もちろん、明日には節イチ級の伸び足になるはずで、展示タイムから大いに注目してもらいたい。

 他では前田篤哉と板橋侑我の行き足、仲谷颯仁の出足、末永和也のスタート勘(笑)あたりも良さげに見えたけど、100%の自信はありませぬ。前検タイムです。

前検時計TOP10
①近江翔吾   6.67
②吉川貴仁     6.70

 鈴谷一平
④高田ひかる  6.73
 井上一輝
 川原祐明
 小池修平
 上田龍星
 中村泰平
 前田篤哉
 中 亮太

 うむ、驚くには値しない近江22号機の断トツ時計。今日のところは伸びーーるひかるを圧倒しましたね。この速い時計は大いに信頼していいと思います。で、それ以外は風向き、風速がコロコロ変わったので信頼度30%程度に留めてくださいね。

前検ワースト5
①黒野元基  6.88
②井上忠政     6.86
③浜先真範     6.85
 野中一平
 宮之原輝紀

 はい、遅いほうのタイムはさらに信頼度が低いと思いますよ。特に、黒野・井上はともに第7班で、航走中に強烈な突風が吹きましたからね。まさに「参考外」で片づけていい数字だと思います!(photos/シギー中尾、text/畠山)