BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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多摩川ヤンダビTOPICS 3日目

 うむ、今日はこのコーナーから書きはじめるとしよう。

☆緊急連載・今日の翔吾22号☆
『確信』
 8R3号艇1着

――自信が確信に変わりました。
 1999年5月16日、平成の怪物・松坂大輔がイチローから3打数3奪三振をやらかした直後の名言だが、今日の近江22号も同じような境遇ではなかったか。昨日の2コースジカまくりに続いて、今日も3コースから伸びなり一撃まくりで連勝。ジカに叩き潰した2コース選手は前年度覇者にして若手の最強レーサー羽野直也だからして、イチローを3三振に仕留めるレベルの“金星”だ。

 このジャイアントキリングを後押ししたのは、言うまでもなく多摩川が誇るスーパーエース22号機。近江の起こしは内隣の羽野よりやや遅れたように見えたものだが、そこからの出足~行き足のツナギが半端ない。あっという間に羽野キュンに追いつき追い越し、1マークのはるか手前で1艇身半ほども出切ってしまった。初日の後半からちょっと行き足が鈍い気がしたが、今日は文句なしの快速仕様。もちろん、このパンチ力を100%活かしきった近江の質の良いスタートも称賛すべきだろう。一言でまとめるなら「その気になってきた」ってな感じか。自信から確信へ。明日の翔吾は【5R4号艇・9R1号艇】で4連勝=準優好枠を目指す。

 さて、昨日まで近江のレーサー人生を駆け足でお伝えしたので、今日は息抜きのよもやま話をば。
★師匠は河上哲也だが、もっぱら尻叩き役は兄貴分の森高一真で「若いヤツが盛り上げんと香川支部は強くならん!」とことあるごとに説教がはじまるとか(笑)。
★ボートレーサーを志願したのは中学のとき。たまたま親と丸亀で観戦したらば、『東都のアウトサイダー』阿波勝哉が6コースから大まくり圧勝。この雄姿を目の当たりにして「カッコ良すぎる、俺もこんな凄いコトやってみたい、これっきゃない!」と一瞬にして進路を決めたとか。ちなみにデビューから約12年、翔吾の6コースまくりは「1本」ではある(笑)。
★今年の2月22日、地元の丸亀市長に「新型コロナウイルス感染症対策に役立ててほしい」と30万円を寄附。21年後期の1着数28×1万円にキリが悪いので2万円を足して30万円になったらしい。
★趣味は釣りで今年の初春には35~40cmの立派な真鯛を5匹ほども釣り上げたとか。
 はい、すべてネット記事のあちこちから引っ張り上げたネタでありました、ちゃんちゃん。

 こうしてハナから煽り立てると「こりゃもう近江22号の優勝なのかーー!?」と鵜呑みにされる読者もおられるだろうが、今節はとんでもない台風の目が唐津界隈から押し寄せている。登録番号5084・末永和也、佐賀支部の23歳。
「奇跡、ミラクルです!」
 今節の末永クンは勝つたびにこの言葉を連発したが、もはや3日目を終えて「ミラクル」と思うファンは皆無だろう。デビュー初GIの緒戦は、2コースからズッポリの激差しであっさり水神祭。2戦目は5コースから、内隣の上條暢嵩を叩き潰すようなまくり差しであっという間に2着。3戦目は3コースから東都の若きエース宮之原輝紀を駆逐する鋭角ターンで2勝目GET。
 そしてそして、今日の4Rはインコースから後手を踏んで大ピンチに見えたものだが、鋭い伸び返しと豪快なインモンキーで怒涛の3勝目をもぎ取った。
 初めてのGIで1・2・1・1着。
 こうして数字を並べると確かに「ミラクル」とも思えるが、どのレースも威風堂々、まるで新兵らしからぬレースっぷりは「ホントに初めての記念なん??」と錯覚するほどだ。

 元よりボートレーサー養成所の124期では【リーグ勝率1位&終了記念V】とエリート街道まっしぐら。さらにデビュー節の8走目に6コースまくり差しで水神祭と、その高い資質はデビュー前後から群を抜いていた。で、初勝利から3年4カ月、今度はさらなる檜舞台の水神祭を遂げるのみならず、予選3日目にして断然トップに立ったわけだ。容貌も超イケメンだし(マスク姿はCMの神尾クンにかな~り似てるかも!?)、端的に言って「黒須田が全面的にやきもちを焼くパーフェクトルーキー」だな(笑)。
 そんな順風満帆な末永クンだが、最後に残された明日の勝負駆けカードは【10R6号艇】。手元の計算では【2着で文句なしのトップ当選】だし、事前レースの結果次第ではこの条件がさらに緩和される可能性も高い。果たして、この超エリートがこのまま予選をトップに突き抜け、王道の逃げ逃げで頂点に立ってしまうのか。相棒の15号機は「とにかく出足が物凄くて回ってぐんぐん出て行くし、行き足も良いからスタートを決めやすい」(勝利者インタビュー)とのことで、ぴったりイン戦向きの足色とお伝えしておこう。

 さてさて、「ってことは、今節のV争いは末永vs近江の一騎討ち!?」と思いきや、そうとも限らないのだな。メチャクチャ不気味なのが、大挙して押し寄せた大阪軍団だ。とりわけ上田龍星、井上忠政、小池修平の3人が不気味すぎ!

 この3人(と上條も)は前検あたりからスリット近辺の行き足が強めに見えたものだが、今日になってそのゾーンの足がさらにグレードアップ!! 1Rで3コースから自力で仕掛けた小池修平はスリットからゴリゴリ伸びまくってたし、10Rをあっさり逃げきった井上忠政は「昨日のエンスト後の調整で、さらにパワーアップした」とにんまり笑っていたし、11Rで高田ひかるを追っかける龍星のストレート足は伸びーーるひかるより強めだった。

 この3人以外にも中村魁生も6秒66という半端ない展示タイムを叩き出していたし、F2持ちの井上一輝も初日からゴキゲンなスリット足を誇ってるし、つまりは総じて大阪軍団の行き足ばかりが私の目を惹いているのだな。その理由は分からないけれど、石野貴之や松井繁もスリット足をかなり重視している傾向があり、チーム大阪の最近の流行という見方もできるだろう。明日の勝負駆けで、大将格の上條ともどもスリット近辺からどんだけ暴れてくれるか。自称・穴党としては大阪軍団の動向に目を光らせる1日になりそうだ。

 他にも暫定2位の野中一平や高田ひかるの東海勢、V2を狙う羽野直也などの九州勢、はたまた宮之原輝紀や関浩哉などの関東勢……末永&近江が少しでも隙を見せれば、並み居るV候補たちが一気にその足元を掬いきってしまうだろう。(photos/シギー中尾、text/畠山)