BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――田村連勝!

 田村隆信、快勝! 2R、4カドからまくり差しを決めてゴール。エース機素性を存分に見せつける、あざやかな連勝劇だった。カドから出ていって、内の動きを見据えて差しに構えるあたりは、判断力も冴えている。本人が言う通り、落ち着いてレースができているのは明らかだ。
 その田村を出迎えたのは、同期の田口節子をはじめとする女子の面々。気分良さそうな田村を囲んで、女子たちの笑い声がピットに響いたのは、チャレンジカップならではの光景だ。田村と田口は何度も笑い合っており、この銀河系コンビの好調ぶりをおおいにあらわしているのであった。

 田村に差された片岡雅裕は、やはり難しい顔であがってきている。1号艇で敗れれば、どうしてもそうなる。賞金ランク6位以内でのグランプリ行きを心に誓っている片岡としては、何としても白星で切り抜けたい一戦だっただけに、単なる悔恨というよりは、もっと複雑な心境があっただろうか。

 それ以上に顔をゆがめて首を傾げていたのが磯部誠だ。5号艇3着を、上々の結果とは捉えていないようだ。掲示されるスリット写真の前では特に何度も首を傾げており、スタートも勘とはずれていただろうか。磯部はグランプリ当確ではあるが、彼もまたもっと上=ベスト6を見据えているということだろう。18位以内は確定だからといって、お腹いっぱいということはありえないのが、このレベルの選手たちである。

 3Rでは丸野一樹が1号艇で5着と大敗してしまった。ボートを水面に下ろす前、「まだ諦めていない」旨を伝えてきた丸野。もちろん、準優ボーダーは6・00より下になるのがチャレンジカップ、昨年は5・17だったから、昨日の選責転覆は充分に巻き返せる。それだけに、この1号艇に燃えていた丸野だったが、寺田祥にジカまくりを浴びて後退してしまったのだった。今日もまた、レース後に丸野の落胆を目の当たりにしたわけで、その様子は痛々しい。ただし、ボーダーが昨年レベルだとするなら、それでもまだ望みはある。ここは切り替えて、しっかりと前を向くべきだろう。

 この3Rで3着となった太田和美は、昨日よりはかなり表情に力強さが戻ってきたように見えた。出迎えた石野貴之と言葉を交わす間も、右手で舟が返ってくるようなアクションをしていて、足的にも上向いたのではないかと想像された。太田は昨日、それまで賞金ランク18位だった上平真二を抜いたが、中島孝平に逆転されて19位のまま。まあ、出走回数などもあるので、この時点でそれをどうこう言っても仕方ないが、それでもグランプリを見据えてひたすらランクアップしたいということは間違いないだろう。昨日の6着から反撃態勢に転じた、3Rだったと言えるのではないか。

 女子では、12位の堀之内紀代子が1Rで6着大敗。3カドにしたものの、4コースの高田ひかるにあっと言う間にまくられてしまったのだから、足的にはかなり厳しそうだ。ピットにあがってきた堀之内はボートに試運転用の艇番を装着。すぐにペラを外して、調整に取り掛かった。いよいよ、チルト3度仕様を試してみるのか? 前半の時間帯にチルト調整をしている姿を目撃するのはかなわなかったが、ハンマーを振るう堀之内を目にして、彼女の新境地が炸裂するのかどうか、楽しみで仕方がなくなったというわけなのである。(PHOTO/中尾茂幸 黒須田 TEXT/黒須田)