BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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悲喜うごめく初日後半のピットから

 4Rで6コースから伸びた寺田千恵と3コースから抵抗しようとした清水愛海が接触。清水が落水し、寺田が妨害失格をとられてしまった。清水は負傷により途中帰郷となってしまったのが残念だったが、なかなか判定が難しい局面でもあり、寺田には厳しいジャッジが下ったことになる。
 その寺田は8Rは3コースからのまくり差しで快勝。精神的にはもろもろと衝撃があったはずなのに、わずか中3レースの間に「次もレースがある」と切り替え、しっかりと戦いに向き合った。しかも、見事な取り口で勝利を掴んだのだから、お見事の一語である。さすが、レディース界の偉人の一人だ。レース後は極めて淡々と振舞っていたが、思うところはいろいろとあったと思う。勝ち上がりはなくなってしまったけれども、明日以降の健闘も願っています!

 9Rは長嶋万記が差し切り。前半2着に続いての快走で、初日はなかなかの滑り出しとなった。エンジン吊りの間も、目元が柔らかく緩んでいる。

 地元のイン戦で差された細川裕子は、やはり複雑な表情。長嶋と言葉を交わしながらも、冷静を保っているとはいえ、雰囲気には悔しさがにじんでいる。必勝の気合だったはずなだけに、スタートで後手を踏んでしまったのが痛恨。悔いの大半は、そのことに尽きるだろうか。

 このレースで最も表情が明るかったのは、前田紗希だ。6号艇だったが、ピット離れで5コースを獲り、先頭争いには加われなかったものの、果敢な握りマイで3番手争いに競り勝った。今日が誕生日の前田は開会式で、「バースデーウィンをあげるには枠が遠い」とこぼしていたわけだが、実際に記念すべき勝利を掴むことはできなかったけれども、そのなかでは最善の結果を出せたという思いはあったかもしれない。30歳一発目のレース、なかなかのナイスファイトでした!

 10Rでは渡邉優美が逃げ切って、初日連勝! レース後はさすがに明るい表情を見せていた。渡邉とは前回の芦屋レディースvsルーキーズでも顔を合わせていて、そのときは足色がやや厳しく、また予選落ちしたとあって、節間通してやや暗鬱さを漂わせていた。最終日、帰郷する際に挨拶をすると、バツの悪そうな笑顔を見せてくれたものだが、不振気味だった一節に忸怩たるものもあったのだろう。そのときと今日の表情はまさに対照的で、ボートレーサーにとっての心のサプリメントはやはり勝利しかないのだと改めて感じさせられた。明日からもユミスマイルが見られるだろうか。

 さてさて、後半の時間帯、今日も整備室に水野望美の姿があった。7Rは6着大敗。実はその前には試運転で転覆もしている。散々な地元レディースオールスターの初日となってしまった。しかし、まだ初日が終わったばかりも言えるわけで、前を向いて明日からの戦いに備えて、飽くなきパワーアップを試みる。その姿勢には頼もしさを感じるというものである。水野望美といえば、何といってもスマイル! 明日こそは明るい笑顔を見せてくださいね!(PHOTO/池上一摩 TEXT/黒須田)