一瞬の逆転劇
10R
①池田浩二(愛知) 05
②桐生順平(埼玉) 05
③茅原悠紀(岡山) 03
④濱野谷憲吾(東京)04
⑤白井英治(山口) 04
⑥前田将太(福岡) 07
昨日とはうって変わって穏やかな三国水面。今日のSG組は朝からスタートが揃ってすべてイン逃げ決着だったが、このレースも美しいまでの横一線(全員ゼロ台でちょい早すぎかもw)。ドッキリでもなんでも、揃ってしまえば内コースに多大な利がある。
池田がくるり先マイ、桐生もくるり小回り差し。天才レーサーふたりがあっという間に抜け出し、バック中間では文句なしの「1=2」の一騎討ち態勢が出来上がった。なんなら伸びる桐生の舳先が入って、2-1になりそうな見え方だ。
が、池田がスッと絞めこんで桐生の舳先を遮断。2マークもしっかり先取りし、勝負あったの1-2決着、と誰もが思ったことだろう。だって池田と桐生だもの。
ところが、準優の2着争いは魔物が潜む。2周1マークの手前、3番手の茅原がやや勝負懸かった切り込みでターンマークにまっしぐら。これを横目で見た桐生は抱いて回る余力もありそうだったが、安全策「行かせて差す」戦法を選んだ。選んで、差して、置き去りにするかと見た瞬間、わずかに白井の艇に当たって失速。舳先が左右にぶれて、身体のバランスを取りきるのが精いっぱいだ。
その間に茅原が再び息を吹き返し、1-3態勢が固まった。茅原にとってはラッキーかつグランプリのトライアル2ndにも大きく前進する、一粒で二度おいしい優出となった。それもこれも、2周1マークで勝負手を放った効力とも言えるのだが。もちろん勝った池田にとっても、賞金ランク8位から一気にトップ6を見渡せる貴重な1着と言えるだろう。
鉄板ワンツー
11R 並び順
①片岡雅裕(香川)11
②山口 剛(広島)14
③羽野直也(福岡)14
④椎名 豊(群馬)15
⑥瓜生正義(福岡)13
⑤平本真之(愛知)14
私がヒモ穴で期待した平本はピットアウトでドカ遅れ。やはり、今節の“ビョーキ”は治っていなかった。123/465でこのレースはSG賞典らしく1艇身の横並び。それにしても今日のSG組はよく揃う。
その中でニュッと舳先を覗かせたのはインの片岡だ。まんま1マークを先取りし、自慢の行き足で伸び返した山口が外をブロックしながら差して、バック出口で1=2態勢の出来上がり。なんなら山口の舳先が届いて2-1か、と思わせるところまで10Rとよく似た半周だ。
で、山口の舳先は入りそうで入らない。片岡がイン戦で負けるパターンに「差した艇にバックで追いつかれる」がままあるのだが、今節のマー君の舟足はここが違う。バック中間からしっかりと伸び返し、山口の舳先を封じて2マークを制圧した。いつものように出足しっかりで直線も上々、明日は①でも②でも楽しみが多い好パワーだ。
その2マーク、6コースからまくり差していた平本が強気の切り返しを見せたが、山口が冷静に行かせて差して完璧なワンツー隊形が完成。今節の山口はスロー起こしからのスリット近辺の行き足が強力で、今日もそのあたりをフル稼働。ただ、その後の伸びにお釣りがなかったところ、片岡の伸び返しを浴びたという印象だった。明日は外枠からどんな勝負手を放つか。予選でもゴリゴリ動いていた男だけに、猛烈な前付けから件の行き足をフル稼働する作戦もありそうだ。
怪獣の頭脳プレー
12R
①今垣光太郎(福井)26
②菊地孝平(静岡) 21
③上條暢嵩(大阪) 16
④峰 竜太(佐賀) 09
⑤田中信一郎(大阪)09
⑥宮地元輝(佐賀) 11
最後に波乱が待っていた。つか、光ちゃんの居るレースは①でも③でも④でも波乱あり。それが現実のものになってしまった。まずはスタートから、大波乱の匂いっきゃない。光ちゃん、たまにやらかすドカに近い遅れ。それに、天下のデジタルスターターもまさかのお付き合い!?
一方、4カドに引いた峰がコンマゼロ台となっては収まりようがない。スリットからシュッと抜き出し、じわっと舳先を傾ける。これに、行き足のいい上條と菊地が伸び返して反応する。峰のプレッシャーに上條が握り、菊地が握り、今垣が握り返してスロー3艇の玉突き衝突で真横に流れる。
「狙ってました、あのまま絞めても今垣さんまで届かないのは分かってるんで、内にじんわり行けっと働きかけて……」
働きかけて、玉突きを演出して、ぽっかり空いた内水域を悠々と突き抜けた。惜しかったのは古豪・信一郎で、展開を読み切って全速の5コースまくり差しを繰り出したが、ターン出口でバランスを逸してしまった。
終わってみれば、準優のメインイベントは大怪獣ガバドンの独壇場だった。今節の峰22号機を私は一貫して「中堅に毛が生えた程度」と見ているのだが、今日は特訓~スタート展示も含めてスリット近辺がゴキゲンではあった。回り足は峰にしてはロスが感じられたので、今日のところは【出B・行A】と診断しておきたい。
地元の千両役者・今垣からすれば、悔しさしか感じない2着だったか。それでも、このスタートでこの展開で2着に残せたのは不幸中の幸いでもあったはずだ。4号艇の明日はできる限り伸び足をつけて、質のいい全速スタートで「今垣光太郎、ここにあり!」というレースを魅せてもらいたい。(photos/シギ―中尾、text/畠山)