強風の明暗
10R
①西橋奈未(福井)09
②藤原菜希(東京)10
③岩崎芳美(徳島)13
④魚谷香織(福岡)04
⑤日高逸子(福岡)11
⑥落合直子(大阪)07
圧倒的人気の119期・西橋が強いホーム向かい風をものともせずに力強く逃げきった。相棒64号機の足色は日替わりで凹凸が見られたが、なんにしても28%という数字よりはるかに上。今日は岩崎の強気の握りマイを危なげなく凌いだあたり、【出A・直A】あたりで大きな誤差はなさそうだ。もちろん、このレベルで今節の怪物パワー守屋73号機と互角とは思えないけれど。
2着は3コースから一目散に握った岩崎。スタートではやや後手を踏んだが、じりじり伸び返してトップSの4カド魚谷を完全ブロック。ツケマイ気味に藤原を引き波にハメ込み、あとは強いホーム向かい風を味方にしっかり舟が返ってファイナル圏内をキープした。岩崎11号機は【出A・直B+】と値踏みしていたが、スリット後の伸び返しを見る限り【直A】に修正する必要がありそうだ。
逆にコンマ04まで突出した魚谷は、スリットからの伸び足が売り切れ模様(おそらくアジャストしていたはず)。もうひとパンチがあれば、まったく違うレース展開になっただろう。
また、2番人気の藤原は落として差しを狙った瞬間、岩崎の強襲で万事休した。岩崎の速攻も半端なかったが、今日の風が2コース選手にとってかなり不利だったという見方もできるだろう。5Rから6連続で①-③④⑤決着という流れは、どこまで続くのだろうか。
1着・西橋、2着・岩崎。
勝ちたい思いと忍耐と
11R
①實森美祐(広島)04
②戸敷晃美(福岡)F+03
③香川素子(滋賀)F+05
④米丸乃絵(福岡)F+01
⑤土屋 南(岡山)F+03
⑥長嶋万記(静岡)08
大、大、大、大波乱!! チルト3度で狂暴な伸び足に仕上げた南、その猛攻を防ごうとした戸敷、香川、米丸……中枠の4人がすべてスリットの臨界点を飛び越え、3連単をすべて返還へと導いた。まくりたい思いと、まくられたくない思いと。全国のファンを魅了するチルト3度が、選手の闘争心に火を点けすぎた悲劇と言えるだろう。
結果としての代償は、それぞれ「F休み後の6カ月間のGI・GⅡ競走の選手除外」。選手によって期間や重みは異なるが、たとえば香川や南は年末のクイーンズクライマックスを棒に振ることになりそうだ。
そんななか、中膨れの隊形で冷静にスタートを控えた實森と長嶋だけが生き残り、そのままファイナル入りを確定させた。特にインコースの實森はよくぞコンマ04まで耐え忍んだものだ。2コースの戸敷より半艇身遅れの大辛抱。実戦では同期の南らF艇にボコボコに叩かれたが、その忍耐が2着ながら「最低限のノルマ」としていた優出につながった。地元の看板レーサーとしての責任感、過去にやらかした大事故(GI優勝戦での1号艇F)の反省が生きた、ともいえるだろう。
これ以上、書くべきことはあまりない。F艇が早々に去った上に、米丸は2マークを回ってしまって転覆……長嶋と實森の足色を測る間もなく、実質的なレースは1周で終った。最後のワンチャンス=2周1マークの實森の追撃足は例によってかなり強力に見えたのだが、どうだろうか。
1着・長嶋、2着・實森。
モンスター
12R
①守屋美穂(岡山) 08
②平高奈菜(香川) 13
③櫻本あゆみ(群馬)20
④津田裕絵(山口) 19
⑤川野芽唯(福岡) 25
⑥遠藤エミ(滋賀) 21
11Rのしっちゃかめっちゃかの大波乱とは裏腹に、最終バトルは鉄板の本命サイド決着となった。↑このいささか極端なスリットの段階で、ファイナリスト2名を決めつけたファンも多いだろう。
11Rの余波?で外の4艇がスタートを手控える中、唯一ゼロ台まで踏み込んだ守屋が圧倒的な強さで逃げきった。今節の守屋73号機にこの絶品スタートを行かれては、他の51選手が束になっても勝てるわけがない(笑)。あまりに圧勝でパワー評価のしにくいレースではあったが、荒れ水面での1分49秒0の上りタイムも込み込みで【出SS・直S】で問題ないだろう。前検前に三島敬一郎がトップに推した73号機は、やはり乗り手も含めてモンスター級だった。
最後のファイナリストは2コースの平高。守屋からやや遅れながらもしっかり1艇身以内で踏み切り、素早い小回りターンで危なげなく2番手を取りきった。これまたスタートのアドバンテージ~接戦のない縦長の2着だったため、正味のパワー評価は難しいところ。バック直線で守屋に引き離され、後続とは同じようなストレート足だったので、【出B+・直A】と見立てておきたい。
1着・守屋、2着・平高。
大波乱あり本命決着の末のファイナル6PITを最後に記しておこう。
12R優勝戦
①守屋美穂(岡山)
②西橋奈未(福井)
③長嶋万記(静岡)
④實森美祐(広島)
⑤平高奈菜(香川)
⑥岩崎芳美(徳島)
(photos/チャーリー池上、text/畠山)