朝から毒島誠がボートを着水している……というのはいつも通り。予選トップ通過の準優1号艇でも、それは変わることない毒島のルーティン。グレードがどうであれ、予選であれ賞典であれ、毒島の着水はいつだって早い。ただ、5月オールスターで毒島は「いいときは我慢して何もしない」というオプションを手に入れた。着水しているとどうしても調整したくなるので、これ以上やるべきではないと判断したら、着水したいのをぐっとこらえてボートを装着場に留める。これを準優、優勝戦の日の朝に行なっていたのだ。ということは、今日はまだまだ上積みが見込めると判断したということだろうか。そうなると、1号艇だろうが予選トップだろうが、毒島が油断することなどいっさいありえない。
毒島のボートと2艇挟んだところで、長田頼宗が回転調整。こちらの動き出しも早めである。今朝の津は、1Rが始まる頃には日差しが出始めて、しかしそれほど気温は高くなく、しかも風がいい具合に通っていた。湿気はあるけど、梅雨時にしてはまあまあ過ごしやすい天候。長田と毒島は、ちょっと離れてはいたけれども、風を浴びつつ会話を交わす。長田が何か言うと、毒島の「ガハハハハ!」という大笑いが飛び出た。内容はわからなかったけれども、なんだか心地よさそうな二人だった。
準優組ではもう一人、豊田健士郎がボートを下ろし、1R発売中にも試運転に飛び出していた。地元ビッグの準優1号艇、悔いのない仕上げを早くから施していく構えか。
と思ったら、2R発売中の豊田は、装着場のいちばん奥に向かった。そこには途中帰郷した選手のボートが置かれている(今井美亜、前田将太、島村隆幸)。豊田が向かった先はまさにそこで、ひとり丁寧にボートを磨き始めた。そういえば今日は最終日前日だから、ボート洗浄が行なわれる日。レースを終えたボートは、選手たちが総出になって磨き上げられる。途中帰郷した3人の分は……そう、豊田が受け持ったというわけなのである。昨日までにすでに洗浄自体は終えられていると思われるが、選手班長としてこの日に、改めて磨き上げる。そうした班長仕事の分も見越して、早めに試運転を始めたのかな。ともかく、俄然、応援したくなってきたぞ。
1R、小林泰が転覆。西島義則が妨害失格をとられている。小林は今日2回乗りで、次の出番は7R。切羽詰まっているわけではないが、時間に余裕があるわけでもない。ということで転覆整備のヘルプについたのが長田、そして佐藤翼。長田は東京支部唯一の準優組、佐藤も埼玉支部唯一の準優組。他の埼京勢は一般戦でレースが迫っており、時間に余裕があるのがその2人、ということだろうか。そう、長田はすでに水面に出ていたが、いったん小林のもとに駆けつけたという次第。そうそう、小林は幸い、身体には問題なさそうです。
他の準優組では、峰竜太がボートごと整備室に運び込んで、本体を外していた。ただ、検査員室のホワイトボードに峰の名前はなく、交換は特にしていない模様。また、本体整備を終えたあとなのか、それとも目的はこちらだったのか、本体とキャリアボデーの接合部分をコシコシと磨いていた。大きな整備というわけではなさそうである。
あと、中島孝平がゲージ擦りをしていた。大きな調整は必要ないということか。準優組はおおむねマイペースの動きのようで、整備調整関係で序盤の時間帯に見かけたのは以上です。エンジン吊りに出てくる面々を見ても、足にはスニーカーという選手が多かったから、着水も先のことになりそうだった。午後になってからピッチが上がっていくのかな、といった感じの準優の朝でありました。(PHOTO/池上一摩 TEXT/黒須田)