オープニングから波乱の展開になってしまった。まず1マークで中里優子が落水。福岡独特のうねりに足を取られたか、ボートが水平に半回転するような格好だった。幸い他艇を巻き込みはしなかったが、しかしピットには「選手負傷」のアナウンスが流れて一気に緊張感が高まる。レスキューで戻ってきた中里は、自力で降りはしたものの腕を押さえていてかなり痛そうだった。結果、無念の途中帰郷。まさか初日1Rで戦いを終えてしまうことになるとは、中里も思いもよらなかったことだろう。
日高逸子も、ある意味、初戦での終戦となってしまっている。1マークでは落合直子のまくり差しに舳先を掛けられたものの、2マークは粘って大競りの格好となり、櫻本あゆみが逆転で先頭へ。日高は2番手を走ったのだが、このとき落合が半艇身ほど、内で並走状態となっていた。1マークは事故艇があるから、追い抜きはできないわけだが、この態勢では落合が優先艇となり、本来は2番手を走ることになる(スリットを通過した時点で内が舳先を掛けていれば優先艇となるルール)。ところが日高は落合との相関に気づいていなかったのか、1マークを先マイしてしまった。これが優先艇保護違反となり、初日1Rにして賞典除外となってしまったのだ。大ベテランの日高でさえ違反を犯してしまう微妙なルール、改善が求められると思うのだが……。
それはともかく、着順は日高2着、落合3着で確定するので、落合は本来の着順より1つ落としてしまったことになる。お互い様ではありつつも、やはりどこか釈然としない様子。落合としては、自分が優先艇と思っていただろうから、日高を責めるというのではなく、首を傾げるレース後になってしまうわけである。4番手で前を追っていた長嶋万記が微妙な笑みを浮かべながら落合に歩み寄っていたが、「あれ、優先艇保護違反じゃない?」って感じの雰囲気に見えたのは気のせいか。ともあれ、落合にとっては不運な3着であった。
日高は6Rに出番があるので、エンジン吊りが終わるとものの数10秒で着替えを終えて、着水の準備を始めた。キビキビと動く様子は、1号艇を落としてしまった巻き返しをはかるべく、かなり気持ちが入っているようにも見えていた。その時点でも、違反を犯してしまっていたことに気づいてなかったかも? 地元レディチャンであまりにも早い脱落ではあるが、この後もグレートマザーらしい走りを見せてもらいたいところである。
事故があったレースだからということもあるのだろう、勝った櫻本も、出迎えた群馬勢も粛々としたレース後。1マークでは落合に叩かれた格好にもなっていたこともあってか、エンジン吊り後はかなり長いこと、群馬支部一丸となって“反省会”が続いていたのだった。それでも、ウィナーインタビューには謎でもなんでもないマスクマンとして登場! とにもかくにも幸先いい初戦である。マスクマン姿を何度も見せて、盛り上げてくれーっ!
2Rは、平高奈菜がジカまくり快勝。2号艇が連勝して、レディースチャンピオンは幕を開けたわけであります。レース後、ヘルメットを脱いだ平高は汗だくで、目をギューーーッとつぶって暑そうな表情を見せた。そりゃあ猛暑の今日は、ケブラー履いて、カポック着て、勝負服着て、ネックガード巻いて、ヘルメットかぶって、ではサウナに入っているのとたいして変わらないだろう。レース中は集中していて気にならなくとも、勝って気分がいいからこそ、暑さが襲ってくるのかもしれませんね。そんな平高を見て、同期の川野芽唯が爆笑。芽唯ちゃんも暑さに負けずに頑張って!(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田)