BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――苦戦でも怯まず

 今日も今日とて、本体整備に励む常住蓮。セット交換&キャリアボデー交換で臨んだ7Rは、その効果も特には見られず5着に敗れている。これで予選突破はかなり厳しい立場となったが、しかし勝負を投げるわけにはいかない。常住は懸命に本体と格闘したわけである。
 すでにボートは奥のほうに片付けられていたが、整備を終えると大急ぎでボートを戻し、大急ぎで装着して水面へ! なんと10R発売中に着水し、試運転と相成った。日はとっぷりと暮れて桎梏となっている水面へGO!

 同じようなタイミングで、着水して試運転に取り組み始めたのが定松勇樹だ。定松は本体整備ではなく、プロペラ調整に没頭していて、常住に少し遅れて水面へと向かっている。

 その着水準備のさなか、末永和也が常住と定松のもとに歩み寄って言葉を掛けていた。佐賀養成所チャンプトリオ! 124期・末永、125期・定松、126期・常住と3期連続で佐賀支部から養成所チャンプが出ていて、いずれもあの峰竜太グループ。1期違いで逸材が3人も揃っているのだから、いずれ佐賀支部は一大勢力となるのは必至(いや、今ももうなっているか)。ただし定松と常住は機力出しに苦労している今節、そこで飽くことなく調整を続ける姿には、やっぱり明るい未来しか見えないですね。

 遅くまで試運転をしていたもう一人は藤田俊祐。初戦こそ好レースで2着に食い込んだが、その後は大敗が続いている。今節の登番最年少、おおいに名前を売りたいところだが、苦戦を強いられる現状。少しでも打破するべく、努力を続けているのだ。12R発売中にいは、定松と足合わせする場面も。若きSGウィナーと並走して、いったい何を感じただろうか。

 苦戦を強いられているといえば、中亮太もその一人。ゴンロク地獄から脱け出せずに3日目を終えてしまい、あのお祭り男が意気上がらない今節である。当然、水神祭にもまったく参加していない。すでに整備もしており、今日は本体には触らず徹底的にプロペラに没頭。打開策を模索し続けているのは確かなことだ。この男に元気がないのは、やっぱり寂しい! 明日は少しでも光明を見出してくれるといいのだが。

 さて、9Rを逃げたのが野中一平。ようやく今節初勝利が出た。レース後、「緊張した~」としみじみ呟いており、必勝を課しての一戦だったようだ。

 その野中は2便で帰宿ということで、着替えを終えて装着場にあらわれた。その10mほど先には、11Rにレースを控えている豊田健士郎。同期で仲良しの野中、豊田に大きな声で呼びかけて、頑張れとばかりに右拳を突き上げた。その30秒後。豊田はさらに遠ざかり、30mほど先にいた。野中は「ケンシロー!」と呼びかけて、頑張れとばかりに右拳を突き上げた。それ見た豊田は呆れ顔になって、「そんなに気になるなら残ればいいやろ!」。まったくです(笑)。同期でも年は野中のほうがひとつ上、でも豊田のほうがずっと大人に見えた瞬間でありました(笑)。ほんと、一平ちゃんはおもろいわ。

 10Rは、5号艇の黒野元基がピット離れで後手を踏み6コースへ。結局、5コースを獲った佐々木翔斗が2着だったのだから、枠を死守できていれば、という恨みは残る。レース後の黒野はとにかく憤然とした様子で、これは明らかに自分への怒り。話してみると実に好青年で、人見知りなのだとも言っていたが、レースになればガラリと変わる。勝負に対して真っすぐなのだ。

 一方の佐々木は、2着とはいえしてやったり。レース後は黒野とは対照的ににこやかな様子なのであった。もちろん、レース後は真っ先に黒野に頭を下げている。バナレの差だったのだから迷惑をかけたというわけではまったくないが、先輩であっても礼を尽くす、これがボートレーサーの流儀である。ともかく、6号艇で2着というのは、明日の勝負駆けを考えるとデカい。ヤングダービー初出場で旋風を巻き起こせ!(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 TEXT/黒須田)