【5R】10年目の女子復権!?
①平高奈菜②馬場 剛③山崎裕司
④北川太一⑤川野芽唯⑥吉川元浩
さすがの一発勝負。最近はあまり前付けしないGPレーサー吉川が、ゴリッと動いて3コース奪取。1264/35のちょい変則隊形から、たっぷり助走をとったイン平高がスタートもビシッと決めて鮮やかに逃げきった。スタートだけでなく、スリットからぐんぐん出て行く伸び返しにも目を瞠るものがあったな。相棒42号機は三島敬一郎の第四席。このパワーと奈菜のスピードが100%シンクロすれば、第1回の今井美亜以来ふたり目の女子チャンプが誕生するかも?
この1回戦ではかなり重要な2着&3着も、すんなり内寄りで決まった。2コース馬場が差して3コース元浩が握って、まずはバックで4番手以下を2艇身ほど突き放し。2マークでは切り返した元浩が先行~馬場がこれをキッチリ差し抜きという絵に描いたような交差旋回で1⇒2⇒3コース決着。パッと見、断然格上の元浩が「6号艇でも、こう戦えば最低ノルマの3着は獲れるやろ」みたいな余裕を感じたのだがどうだろう。
★セミファイナル進出=平高奈菜・馬場剛・吉川元浩
【6R】勝者を超える鬼足
①小野寺智洋②上平真二③渋谷明憲
④烏野賢太⑤桐生順平⑥上田洋平
ここもインコース小野寺が鮮やかに逃げきった。ただ、実戦の足色で目立っていたのは2着の渋谷だ。3コースからじわり覗いた行き足~不利な追い風を握って回ってすーんと出て行った押し足~桐生、上平ら格上レーサーをまったく寄せつけなかったレース足。どこを切り取っても秀逸な実戦足だった。三島六席の43号機は前検からキラリ光っていたが、トーナメントでもその輝きは色褪せることはなかった。現時点で文句なしの【A】以上。今節の台風の目になりそうな人機とお伝えしておく。
重要な3着争いは、1マークから4番手に甘んじていた桐生が2周1マークで逆転の3番手を取りきった。暫定3番手の上平とコツン接触して逆転という後味の悪い3着ではあったが、お咎めなしで準決勝に進めたのはでかい。足色もギリギリ追い上げが利く中堅~中堅上位レベルがありそうに見えたのだがどうか。なんにせよ、前を行く渋谷とはかなりのパワー差を感じたけれど……。
★セミファイナル進出=小野寺智洋・渋谷明憲・桐生順平
【7R】ファン感謝が裏目に!?
①豊田健士郎②横田貴満③丸野一樹
④小野生奈⑤坂口周⑥平見真彦
ここも豊田のイン逃げ~横田の差しで1-2決着だったのだが、なんとなく“大波乱”っぽい後味が残った。そのキーマンは丸野。1マークは完璧な仕掛けだった。3コースから豪快なツケマイで豊田に肉薄し、1=3態勢で間違いなしとしたものだ。
結局はまくりが届かずバック1-3決着が濃厚となったが、近況絶好調の丸野はそれで満足しない。2マークの手前で、明らかに逆転の1着を狙うツケマイの初動を起こす。パッと見、健士郎を捕えそうな勢いだったが、あまりの強硬策に舳先~艇側が浮き上がった。
「ヤバッ!!??」
私が叫んだのと丸野がバランスを逸して左に半回転したのは同時だった。転覆は免れたものの、半転~失速で大差のシンガリに……この大会の1回戦で絶対に取ってはならない6着に沈んでしまった。人気を背負う丸野にとって、最高の“ファン感謝”はもちろん1着ゴールだ。その思いをフル稼働した2マークの強襲だけに、責めるのはちょいと酷ではあるな。ただ、「1着でも3着でも準決勝、しかも枠番抽選」という大会の特異なルールを鑑みれば、あれだけの無理攻めをする必要はなかった、という見方もできるだろう。なんにせよ、6着では敗者復活戦での下剋上優出も難しいだけに、なんとも惜しまれる2マークの失速ではあった(レース後、負傷帰郷)。
★セミファイナル進出=豊田健士郎、横田貴満、坂口周
【8R】藍54号が脱落!
①桑原悠②興津藍③常住蓮
④茅原悠紀⑤竹下大樹⑥大場敏
うーーーん、ここも敗者から。三島十傑の第一席にして私の前検評価もトップ級だった興津藍54号機が1回戦で敗退した。前半2Rではソコソコしっかりした足色だった(正直、期待したほどではなかった)が、このレースではピット離れでドカ凹み。大回りで2コース返り咲きからシャープな差しハンドルで2番手キープと思いきや、バックで茅原に絡まれ、2マークでは差し場を逸してもたついている間に大差のシンガリを強いられた。
何がどうダメだったのか現時点では分からないけれど、54号機に大なり小なりの不調変調があった可能性も否めないな(安定板装着の影響もありそうだ)。しっかり気配をチェックしながら、明日の敗者復活戦での舟券作戦を組み立てるとしよう。
1着はここも人気の桑原がインからガッチリ押しきった。2着はF2ながら気合のこもった踏み込みでスリット主導権を握った茅原。バックで興津を煙に巻いたあたりも、さすがのGPレーサーだ。3着には地元の成長株・常住が滑り込み、それはそれで好メンバーが準決勝に勝ち上がったという見方もできるだろう。
★セミファイナル進出=桑原悠、茅原悠紀、常住蓮
【9R】SGレーサーの矜持
①平石和男②高田ひかる③魚谷智之
④山崎裕司⑤香川素子⑥松井繁
王者・松井が4コースまで潜り込み、大方の想定どおりの1236/45発進。スリットで突出したのは2コース高田で、足的にも選手的にもジカまくり必至と思いきや、おとなしく首を引っ込めての差しを選択。結果的に高田はフライング欠場となるのだが、あるいは「やらかしたかも?」という自覚があっての自重策だったか。
高田の代わりに猛烈に攻めたのが3コースの魚谷。一瞬だけ平石を越えそうな勢いだったが、そこからすぐに伸び返されたあたり、威張れるほどの魚パワーではなさそうだ。3着には混戦を捌いて松井。あれよあれよとSGウィナーが上位を独占した景色は壮観で、運ばかりが強調されるこの大会にあって、実は格の差もしっかり反映されていると改めて痛感した次第だ。
★セミファイナル進出=平石和男、魚谷智之、松井繁
【10R】森淳17号まで脱落!!
①上野真之介②平川香織③森永淳
④石渡鉄兵⑤榎浩司⑥海野康志郎
嗚呼、8Rの興津54号機に続いて、非凡な伸び足に期待した森永淳17号機も準決勝のノルマを取りこぼした。海野がゴリゴリ動いて、最終隊形は16・2/345。4カドからどうやっても3着に入りそうな隊形だったし、いざ実戦も一気にカド受け平川を叩き斬ってアタマまでありそうな勢いだった。
が、2コース海野まで飛び越えたところで、インから伸び返した真之介とゴッツンコ。慌てた様子でまくり差しに切り替えたが、そのあたりのロスが最後まで響いて4着に敗れ去った。冷静に振り返れば上野に対してスタート負け(07vs17)でもあり、3着以内を是とするならもっと緩やかな放物線を描くべきだったか。とにもかくにも、ことスリット近辺のパンチ力は節イチ=準決勝のセンターあたりが絶好の狙い目と思っていただけに、森淳17号の敗退は実になんとも残念でならない。
1着はスタートをバチッと決めた真之介。本人は「思ったよりはるかに早かった」と震えていたが、地元だけに明日以降も10前後でビシバシ攻めまくるだろう。さらに開会式の予言どおり「①をぜんぶ引く」ようなら、当然ながら師匠・峰以上のV候補になるのだが、その神通力はどこまで続くだろうか。
★セミファイナル進出=上野真之介、石渡鉄兵、海野康志郎
【11R】百戦錬磨の余裕
①井内将太郎②森永隆③池田浩二
④近江翔吾⑤表憲一⑥松井洪弥
初日のからつ水面は10Rまで1号艇=インコースが10戦9勝2着1回。3Rで4カドから唯一イン選手をやっつけた池田がここでも豪快に握ったが、張り気味に握り返した井内に前を遮られて連勝ならず。
逆にバック直線の大外で「3着すら大丈夫?」ってなポジションを強いられたが、なんのことはない、2マークの狙いすました高速差しハンドルであっという間に2番手に進出してしまった。その切れ味の凄まじいこと!
もっと言うなら、相棒の60号機もかなりのゴキゲンムード。前半の引き波を超えて出て行くレース足も強烈だったし、安定板が付いたこのレースでも先頭の井内を猛追するパワーは鬼レベルの見え方だった。ぶっちゃけ、ここまでの全レースを観てきた中で、もっともVに近い選手は間違いなく池田60号機と値踏みした次第だ。
だがしかし、この大会はピンピン連勝を遂げても次の好枠は約束されない。レース後のガラポン抽選でどの色を引き当てるか。この有力なV候補のクジ運の良し悪しが、実になんとも気になってならない。
★セミファイナル進出=井内将太郎、池田浩二、近江翔吾
【12R】グレートなふたり
①鈴谷一平②日高逸子③徳増秀樹
④峰竜太⑤萩原秀人⑥長谷川雅和
インがメタくそに強いからつ水面を、「4カドの峰」がザックリと切り裂いた。二番差しからバック最内を伸びる伸びる。出口で先頭に立った逸子ママを2マークまでに追いつき追い越し、そのまま豪快なモンキーで先頭に立った。
「この感じだと、整備が当たってます!」
レース後の声も弾んでいたが、確かにバックのストレート足は昨日の前検よりもはるかにパワフルな見え方だった。
峰も凄いが、もっと凄いのは2着の逸子ママでしょ。63歳になりたての身の上、「もう60代は呼んでくれるな」と開会式で哭きを入れていたのに、いざ水面では峰を追っかける追っかける!! 後続からにじり寄る徳増らを全速の握りマイで突き離し、なんなら峰との差をちょこっと縮める光景は、今なお『グレートマザー』と呼ぶに相応しいものだった。私がからつの水神ならば、この恐るべき追撃シーンに打ち震えつつ、準決勝の枠番抽選で白い球を授けるのだが、果たしてどうだろうか。なんにせよ、私の同い年の逸子さま、あんた、ガチで偉大すぎるって!!
★セミファイナル進出=峰竜太、日高逸子、長谷川雅和
(photos/チャーリー池上、text/畠山)