●5R
まずは復活戦。とにもかくにも、1着を獲らないことにはファイナル行きはない。4個レースはすべて1着条件の勝負駆け!
と言いつつ、5Rの時点でいきなり、復活戦からファイナル行きの可能性を残すのは2人に絞られてしまった。この5Rを萩原秀人が逃げ切ったからだ。
以前は、復活戦1着選手で、トーナメントの着順最上位が複数出れば、ファイナル行きは抽選で決められていた。しかし現在はその場合も抽選は行なわず、「選考順位(今期適用勝率順)の上位がファイナル進出」となっている。これはセミファイナルの2着選手も同様。そして、萩原はトーナメント4着で選考順位は13位、復活戦で萩原より上位はやはりトーナメント4着だった8Rの上平真二のみ、なのだ。つまり、萩原が逃げ切った時点で、ファイナル6号艇は萩原か上平、ということだ。うーん、抽選のほうがエキサイティングだと思うんだけどなあ……というのはともかく、萩原はそれを知ってか知らずか、淡々としたレース後なのであった。萩原としては、1号艇をしっかり活かせたという感覚だった? また、上平が勝てば萩原は脱落となるので、まだ喜んでいる場合ではないといったところか。
なお、2着の海野康志郎と4着の坂口周はセミファイナルに出走しており、こちらは人数不足による出走、ということで勝ち上がりうんぬんはもともと関係なかった。というわけで、復活戦は2着では意味はないとはいえ、海野はセミファイナルに向けて上々の2着だった? 実に明るいレース後なのでありました。
●6R
というわけで、やや消化試合チックとなってしまった6R。平川香織がインから逃げ切り価値を収めた。平川はトーナメント6着だったので、トーナメント4着の萩原が5Rを勝った時点で、抽選だったとしても勝ち上がりはなし。それでも、やはり勝てばうれしい、ということでレース後はいい表情でした。かわいかったです。
なお、2着の近江翔吾はやはりセミファイナル出走。上々の前半戦、とはいえ、竹下大樹に迫られた瞬間もあり、香川勢と話し込みながらも首を傾げ気味のレース後なのだった。
●7R
トーナメント4着同士の先頭争い! 差した平見真彦とまくり差した松井洪弥で接戦となったのだ。抽選があれば……といううらみはやっぱり残るわけですが、それは別としても見応えのある激戦であった。制したのは平見。先行した分をしっかりと活かして、松井を競り落としている。レース後は、まあ、淡々としていた。
松井はやはり苦笑いも浮かんでいて、坂口周とにこやかにレースを振り返り合った。今日は2日目にして最終日前日なので、レース後のボート洗浄が行なわれる日。松井と坂口はボートを磨く手を止めることなく、笑顔で言葉を交わしているのであった。
●8R
小野生奈、ツケマイ一閃! まさしく小野の持ち味発揮。果敢な握りマイが、イン上平真二を呑み込んだ。
そして、この瞬間に萩原秀人のファイナル行きが決定! 選手たちももちろんわかっていたのだろう、さっそく何人かの選手が萩原に声を掛けている。
その萩原は、近畿勢がここに出走していなかったこともあるが、小野を出迎えてエンジン吊りに加わった。ボートを洗浄しながら会話を交わす場面も。小野が小さく首を振った瞬間もあり、萩原から「ありがと」と声を掛けられていたのかもしれない。
それにしても上平は無念。逃げ切っていればファイナル行きが決まっていただけに、小野に呑み込まれた瞬間は悔恨も沸き上がってきていただろう。例によって、感情を表にあらわすタイプではないだけに、淡々とした様子にも見えたが、もちろん表情はカタく、胸には痛恨の思いが沸き上がっていたに違いない。(PHOTO/池上一摩 黒須田 TEXT/黒須田)