BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

THEピット――準優勝負駆けはGP勝負駆け

 2R、2着条件だった上野真之介が4着に敗れ、予選突破は相当に厳しくなってしまった。そりゃあボートレースは何があるかわからないということで、得点率24位(このレース終了時点)なら浮上の可能性はゼロではないが、常識的に考えれば予選落ちが濃厚。ということは、賞金ランク32位の上野はグランプリ出場が絶望になったわけである。そのことを自覚しているのか、単に敗れたことに対してなのか、ともかく上野は浮かない表情のレース後。こういう様子は毎年、この舞台では目にするものである。

 深谷知博が3着。これで後半に望みはつながった。2着条件は決して楽ではないが、しかし望みがあるならモチベーションは上がる。果たしてそのことに対してなのか、3番手競りをしのいだことに対してなのか、ともかく深谷は笑顔を見せているのだった。昨年はグランプリ出場で、しかし1stで敗退してシリーズに回った。そのシリーズは優勝して一矢は報いたわけだが、翌年は上の舞台でと決意を強くしたはず。そのためにはまずはベスト18に名を連ねなければならないわけで、そのチャンスはまだ残されているとなれば、さらに思いは強くなるのが自然だ。

 勝ったのは篠崎元志。この勝利で得点率9位に順位を上げ、後半は無事故完走で準優当確と、明日につながる逃げ切りとなった。とはいえ、もちろんここで満足はしていない。賞金ランクは27位、逆転グランプリ行きには最低でも準Vが必要だ。つまり優出しなければ、その時点でアウト。ならばひとつでも内の枠番で準優を戦いたいところだろう。グランプリ常連となると誰もが認めていたはずが、2016年以来出場がかなっていない。そんな状況に最も忸怩たる思いを味わっているのはもちろん元志自身だ。逃げ切り勝ちを収めた選手は意外とレース後は粛々としているもので、元志も同様だったのだが、状況を考えると「勝って兜の緒を締める」様子に見えてくるわけである。

 GⅡのほうは予選最終日は明日となるわけだが、なにしろ6人しか勝ち上がれないから、今日の戦いも重要。そんななか、1Rは4カドからまくっていった寺田千恵が大きく張られてシンガリに後退。明日は勝っても得点率6点に届かない状況となり、優出がかなり厳しくなってしまった。賞金ランク実質12位の寺田としては、優出して自力で逃げ込みをはかりたいところだったはずだが、冷や汗をかきながら優勝戦を見守る立場になりそう。唯一のクイクラ皆勤が懸かっていることを思えば、こちらも肝が冷えてきてしまう。まくりを放てばインは張る、というのがボートレースのセオリーというもの。レース後はわりとサバサバしているように見えたが、内心は果たして。

 一方、インで抵抗した藤原菜希は4着。優出は絶望ということになってしまっている。なにしろ寺田を張り飛ばしているわけだから、敗戦の悔恨よりはまず寺田への配慮を見せており、また2マークで前をカットする格好になった海野ゆかりに対しても申し訳なさそうに頭を下げている(海野は最初キョトンとしており、まったく意に介していない様子だった)。賞金ランクは実質10位で、現時点ではかなり有利な状況。とはいえ、この成績で満足しているはずはなく、明日以降は意地を見せたい戦いになる。

 この1Rでは向井美鈴が展開を突いて1着。地元GⅡでの1着は、やはり表情を明るくさせるものだったようだ。やはり地元ビッグでの勝利は格別ですよね!(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 TEXT/黒須田)