BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――外枠から全力投球!

 まずはSG準優組。2R発売中に森高一真がボートを下ろした。水面際に行って様子を見ていると、片岡雅裕と足合わせを始めていた。香川コンビは揃って準優5号艇。グランプリ行きには、今日の準優を突破する必要がある。やはり早めに動くのは外枠勢か、と納得。

 すると、6号艇で準優を戦う瓜生正義もボートを下ろした。グランプリ出場は当確と言っていい立場だが、現状ではトライアル1st初戦を外枠で戦う可能性が濃厚だ。少しでも内枠を願うならまずは優出が欲しいし、優出すれば次はトライアル2ndスタートを目指すのも当然。GP切符を手にしていても、戦いはまったく終わることはない。

 瓜生は試運転を数周してすぐにボートを陸に上げている。一緒に上がってきたのは平本真之だ。やはり準優外枠、5号艇。平本は賞金ランク6位。トライアル2nd発進のボーダーラインにいる。つまり、逃げ込みをはかりたい立場。7位の菊地孝平は150万円ほどの差で追ってきているから、菊地が優出して自身は優出を逃せばかなり寒い状況となってしまう。もちろん菊地よりランクが下の選手で優勝すれば平本を超えていく選手は複数いるのだ。優出すれば、400万円ほどの差で5位にいる峰竜太を逆転できる。今日はかなり重要な準優なのだから、早く動き出すのも当然だ。

 そこに、係留所から馬場貴也が駆け上がってきた。これまた外枠。6号艇である。馬場は賞金ランク1位でグランプリ出場することが確定している。しかし、だから力も気も抜くなんてことはありえないし、全力でタイトルを獲りにいくのだ。馬場はダービーでは準優5号艇から優出。メモリアルは準優6号艇で優勝! 馬場にしてみれば、外枠でしか準優に乗れていない近況は不本意だろうが、しかしそれで優出に届いているのだから、今回ももちろん怖い。

 もうひとりの6号艇=白井英治は、ボートこそ水面には下ろしていないが、入念なギヤケース調整、プロペラ調整に没頭している。2Rでは同支部の向井美鈴が出走。エンジン吊りには駆けつけているが、作業を終えるとすぐに踵を返して速足で整備室へと向かっている。地元で何としても、という思いは、その姿が水面にはなかったとしても、誰よりも強い。

 内枠勢は総じて目立つ動きは少ない。齊藤仁のボートが水面にあったこと、池田浩二がキャブレターの調整をしていたこと、くらいか。

 1号艇コンビの師弟=河合佑樹、坪井康晴はまだ作業には取り掛かっておらず、エンジン吊りで姿を見るのみ。緊張感はどこまでかと気になる河合ではあるが、ひとまず落ち着いているように見えている。

 GⅡは勝負駆けだ。1Rで西橋奈未が4コースまくり差しで快勝。これで優勝戦当確を決めた。落水がありながらも予選突破はお見事。レース後はさっそく報道陣に取り囲まれていた。なにしろ、これでクイーンズクライマックスも完全に当確。優勝戦の結果次第ではトライアル初戦の3号艇あたりも見えてくる。優勝戦の枠番も外枠はなさそうだから、この1着は大きかった。

 2Rでは大瀧明日香がまくり差した山川美由紀を捌いて1着。7位に浮上して後半に望みを残した。この時点で得点率6位の平山智加を超えるには1着が必要。ただ、5位の川野芽唯が6号艇を残しており、その結果次第では、ということにもなってきそうだ。レース後に大瀧は同支部の菊地孝平や同期の齊藤仁の祝福、さらにはエールも受けている。その声に、大瀧は爽快にスマイル! クイーンズクライマックス出場には優勝しかないだけに、まずは仲間の後押しを受けながら後半8Rに全力投球!(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 TEXT/黒須田)