ほとんど動きのない序盤戦、である。2R発売中にはGⅡの、3R発売中にはSGの優勝戦出場選手公開インタビューが行なわれていたので、それぞれのメンバーはその時間帯にはピットに不在ではあった。また、インタビュー前に大きな動きがないというのも、まあ想定内ではある。朝……というか午後の早いうち、レースが始まる前に試運転やスタート練習を行なっていて、そこで異常を感じたのならインタビューまでの短い時間にも調整をしたことだろう。今日はそういう選手を見つけられなかった。ならばインタビュー前に動きが見られないのは当然。池田浩二がユニフォームに着替えるために急ぎ走っていたのは見たけれども。
ではインタビューからピットに戻ってきてからはどうだ、といえば、これがまた優出メンバーの姿を見かけることすら少なかった。先に行なわれたGⅡ組では、平高奈菜がさっそくカポックを手にしてあらわれ、着水の準備。そして案の定、3R発売中にはボートを下ろしている。
その後も外枠組=平山智加、川野芽唯も準備をしている素振りは見えた。そのうち着水をするだろうという動きだ(実際にこれを書いている5R発売中、試運転をしていた。また、田口節子も走っている)。
ただ、少なくとも4R発売中までに調整を始めた選手は見当たらなかった。三浦永理がゲージ擦りをしていたけれども、整備室やペラ室で姿を見たのは、GⅡ組ではこれだけ。
そしてSG組では選手の姿さえほとんど見ていない。エンジン吊り以外では、佐藤翼がやはり着水の準備なのか、ピット内を駆けまわっているのを見た程度だ。それにしても、まだケブラーズボンを着用していなかったので、急いでいたというわけでもなさそうだ。
ようするに、しっかり戦えるだけの仕上がりの選手たちが優出しているということになるのだろう。さらに朝の試運転でも大きな調整の必要を感じなかった。今日の気候や夜の時間帯に合わせての微調整をすれば問題はなさそう、ということなのだと思う。レースの時間が迫ればそれぞれが調整のピッチを上げてくるはずだし、そこでの好転や暗転はあるかもしれないが、現状ではいい状態で今日を迎えている。そうなると内が有利かと思えたりもするんだけれど。
誰もが気になるであろう、河合佑樹。いつも書いているように、緊張感がないわけはないし、レースが近づけば近づくほど精神状態も変わってくる可能性はあるが、今のところは昨日までと変わった様子は見当たらない。報道陣の問いかけにもクールに応えていて、なかなか肝が据わっているようにも見えたのだった。あくまで現時点では、問題なくピットインできるような感じがするのだが、どうだろう。
そうそう、勝負駆けという点では、2R1号艇の平本真之がベスト6の勝負駆けである。といっても少々背中が寒い状況で、約140万円差で7位につけている菊地孝平が特別選抜戦1号艇なのだ。少しでも差を広げておきたいと考えれば、この1号艇はなかなか重要だった。ところが、先には回ったもののズブズブと差されて3着。レース後の様子はといえば、昨日の準優のレース後と酷似していて、尋常ではない落胆の様だったのだ。最終日の一般戦で敗れて、ここまで悔しがっている選手を見たことがない。それくらい、平本は全力で臨んでいたということだろう。特別選抜戦は6号艇、気持ちとしては1着を獲って暫定6位で優勝戦の結果を見守りたいところだが……。
実は峰竜太も現在5位とはいえ、ベスト6当確ではない。ただ、今日は3R1回乗りで、特別選抜戦にも乗れないから、自力でどうこうできる立場にはない。それでも差し切り1着! そして、すれ違う選手すべてと言っていいほど、自分から声を掛けて、喜びを伝えていたのだった。「泣きそう」とも言っていたな。最終日の一般戦で勝って、ここまで喜んでいる選手を見たことがない(笑)。峰はこれが今節初勝利。苦しい一節だった。それだけに、最後の最後に得た勝利がことのほか嬉しかったのだ。これで6位以内に残れれば文句なし!(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 TEXT/黒須田)