●11R

トライアル第3戦は、毎年のようにドラマが巻き起こる。今年はまず緑の茅原! 14年の鮮烈6号艇Vを思い出させるかのような勝利。それも、ピット離れで飛んで4カド奪取という、スタンドを沸かせるシーン付きだ。ピットに凱旋した茅原は、出迎えた藤原啓史朗に向ってガッツポーズ。まさしく会心の勝利だったのだ。これで得点を25とし、優勝戦の枠も内寄りになりそうだ(3号艇)。いろいろな意味で、大きな勝利だったのである。

毒島誠は追い上げての逆転3着。得点では茅原を1点、上回ることとなった。その意味では大きな逆転だったのだが、しかし毒島のレース後はかなり暗鬱なのであった。ヘルメットを脱がずに控室まで戻っていったのだが、その間、何度か天を仰いだ。ヘルメットの奥の目つきはかなり厳しいもので、まったく納得いかないレースだったようなのだ。たしかに、優勝戦1号艇を狙うのなら、少しでもいい着順を獲って、2戦目を終えて同得点だった馬場貴也にプレッシャーをかけたいところだった。それもあっての、険しい表情だったのだろうか……。

2着の土屋智則もまた、逃げ切れなかった悔恨も大きいのだろう、深刻な表情だった。土屋ばかりでなく、寄り添った西山貴浩や磯部誠も同様。その歩様もかなり重く、控室に辿り着いたのは6人のなかで圧倒的なシンガリだったのだから、その胸中も納得がいく。これで21点、いちおう目安の点数には届いたのだが……。

5着の定松勇樹も21点とはなったのだが、思い切り顔をしかめることとなった。上位着順差で土屋より上位に位置するのに、そんなことは頭にないようだったのだ。右側には師匠の峰竜太。峰もまた冴えない表情。師弟揃って、つらそうに控室へと戻っていったのだった。峰は順位決定戦行きが確定。そして定松はコースも獲られての大敗。明るくなる材料はない……。

そして、まさかの6コース発進となってしまった上條暢嵩もまた、不本意そうに表情をカタくするレース後であった。地元グランプリ、外枠ばかりという苦しい戦いだった。最後もまた……。
それにしても、茅原以外の全員が悔しさを見せることとなった11R、なのである。トライアル第3戦は、やはり何かが巻き起こる……。
●12R

とにかく足取りが重かった。馬場貴也だ。バックは3番手、この位置を確保できれば、優勝戦は1号艇である。ところが、2マークでまさかの失速。関浩哉にパスされ、さらに菊地孝平にも抜かれて5番手まで下がってしまった。具体的な得点を考えて走ってはいなかっただろうが、結果的に得点は4位である。優勝戦の白カポックが見えていながら、それが手から零れ落ちた。もちろん優出は当確だが、落胆しかなかったであろう。

まったく対照的だったのは池田浩二だ。「よっ、ジジイの星!」と西山貴浩にからかわれて、激しくガッツポーズ! さらには右手で夜空を指さすポーズまで。あの星がジジイの星だ、って?(笑)5コースから豪快に握って、逃げた桐生順平にまで届こうかという好旋回。2着ではあっても、そして優勝戦の枠番は馬場より外であろうとも、気持ちのいい勝負駆け成功であっただろう。

なにしろ、勝った桐生順平は淡々としていたのだ。勝負駆け成功で、優勝戦は2号艇となった。それでも、桐生は特に喜びをあらわにはしていなかった。なのに池田浩二の喜びようといったら(笑)。明日も外枠ではあるが、豪快なレースを期待します!

そして、馬場をパスして3着に入った関浩哉が、結果的に6位で優勝戦に駒を進めることとなった。関もまた淡々としていたのだが、はっきり優出と把握していただろうか? 把握していたとしたら、これは冷静。そして、3着では納得していないという心中のあらわれでもあろう。とにかく、初出場での優出、お見事!

得点率的には、定松勇樹も土屋智則も、21点で関と並んでいたのである。しかし土屋は上位着順差で脱力。元気のない土屋を、同期の西山が「また来年だ!」と慰めていた。そして、やはり上位着順差で関の下だった定松が次点に泣いた。いや、本当に泣いていた。悔し涙にくれていたのだ。その隣では峰竜太も号泣。愛弟子を思いやって、ともに涙を流していたのだった。泣き虫王子と呼ばれた峰。定松はその愛称も継承するのか。とにかく、この涙は必ず未来につながる。ともに涙を流してくれた師匠とともに、来年もこの舞台に帰ってきてほしい。

結果、優勝戦1号艇は毒島誠だ! ただ、それが決まっても毒島は喜びをあらわにすることなく、すぐさま取り囲んだ報道陣にも冷静に対処していた。馬場の失敗による1位でもあるから、その配慮もあっただろう。同世代の盟友としてお互いに敬意を抱き合う存在だからこそ、馬場の心中にも思いは馳せられたはずだ。ただ、明日は1号艇と4号艇でガチンコ勝負! 黄金のヘルメット奪取は、絶対に譲るつもりはない。明日、ついに悲願を果たすために毒島は死力を尽くして臨むことだろう。(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 TEXT/黒須田)