BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――風とも戦う

 今節は終始、強めの追い風が吹いた。今日も同様。安定板こそ初日のみの装着だったが、選手もいろいろと気を遣わねばならない一節だっただろう。3Rのエンジン吊りを終えて、水面を眺めた海野ゆかりが軽く眉間にしわを寄せる。今日もまた、吹き流しや空中線は1マークのほうに向かってたなびいている。2Rを走った寺田千恵が「今日は横よね」と海野に語り掛ける。2Rの成績を改めて見てみると北西の風が4m。これは右横風気味の追い風となる。うなずいて海野は、ふたたび水面に目をやっていた。

 3R発売中、川野芽唯が丁寧にモーター回りの作業を行なっていた。モーターのあちこちや、ハンドルとつながっているワイヤーなどを入念に点検し、検査員さんに声を掛ける。検査員さんは装着検査を行ない、問題なし。そこに、プロペラ室にいた平高奈菜が歩み寄って声を掛けた。

 二人は並んで水面を見やる。しばらく水面を眺めながらの会話が続いた。やはり内容は風のようだ。その時点でもそれなりに吹いていた風がさらに強まれば、安定板装着の可能性も出てくる。そして当然、スタートも難しくなる。昨日は準優で勇み足があり、今日は1Rで複数Fが出てしまった。当然、気を遣う度合いが高まってくるだろう。もちろんそもそもが禁忌であり、さらに言えば記念すべき第1回大会を絶対に成功させたい思いは選手だって強い。そうしたことにも思いを巡らせながら、優勝戦の6人は全力を尽くすわけである。 

 そんな感じで、序盤の時間帯には調整方向で大きな動きは見られなかった。5R発売中に公開インタビューのイベントがあり、4R発売中にはピットを出発する。だから、本格的な調整はそれ以降になるということだろう。そして、朝のうちからドタバタとする必要がない選手たちが優勝戦には揃ったということにもなる。序盤の時間帯はエンジン吊りでしか見なかった岩崎芳美は、3Rのエンジン吊りに参加し、その帰り際にJLCの取材に応えると、控室へと駆けていった。インタビュー出演のための着替えに向かったのだと思われる。

 山川美由紀は2R発売中にプロペラを外し、廣中智紗衣と並んでプロペラ室へ。廣中の足色が昨日は目立っていただけに、何らかのアドバイスを求めた? 山川も3Rが終わると控室へと戻っていて、大きな調整作業をしていたわけではないが、序盤の時間帯に調整らしい調整をしているのを見たのはこの山川だけだった。

 いや、川井萌のボートはすでに係留所にあったんだった。朝乗って、そのまま係留所に着けた可能性はあるが、ではペラ調整をしているのかとペラ室を覗くと姿はなし。もっとも、整備室奥の調整室は死角も多いので、そこに姿があった可能性はある。それよりも、登番が今節下から4番目の“新兵”ということもあって、そちら方面の仕事で飛び回っている姿が目立っていた。おそらく緊張感はあるはずだが、そうして動き回っていたほうが気が紛れることもあるかも? インタビューから戻れば自分の調整に没頭する時間も増えることだろう。とにもかくにも、全力で5人のGⅠウィナーにぶつかっていってもらいたい。(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 TEXT/黒須田)