
2Rを前にして、ひとり水面を見つめる中村晃朋。そこに西山貴浩が歩み寄って、声を掛けた。ひとしきり話すうち、中村の顔に苦笑いが広がる。「緊張しますわぁ~」。2R、中村は今節初の1号艇。SG未勝利の中村にとって、水神祭の大チャンス! 中村はそのことに緊張しまくっていたのだ。

からかいつつ中村のそばを離れる西山。「はははっ! あいつ緊張してますわぁ~!」。笑い飛ばす西山である。でも…………あんたはどうなのよっ! 緊張するシチュエーションは変わらないでしょうが。いや、西山のほうが緊張感が大きくてもおかしくない。予選トップの準優1号艇。勝てば待っているのは水神祭ではなく優勝戦1号艇なのだ。まあ、中村の様子を見て、かえって気が紛れたかもしれないですね。

その中村は、まさに緊張感が出てしまったかのようなレースで3着に敗れた。ターンマーク、漏らしてましたなあ。後半6Rの黄色いカポックを手にしてピットにあらわれた中村は「甘い。まだぜんぜん甘いです。まだまだ精進しなくちゃ!」とひとまず前を向いた。で、その中村に声を掛けていたのが松井繁だ。おそらくは慰めの言葉を掛けたのだろう。中村は直立不動で頭を下げる。すると松井は、黄色い艇旗をピーンと張って、「これだ!」とばかりに中村に見せつけた。これは間違いなく、この艇番で獲ればええんや、であろう。そう、別に1号艇だから水神祭ってわけじゃないのである。何号艇だろうと勝てばいい。1号艇で負けたからって5号艇で勝てないわけじゃないのだ。さすが王者! あの松井にそう激励されて中村は、さらに背筋を伸ばして深々と一礼。今日は1走、さらに明日もある。王者の言葉に応えるためにも、勝ってみせろ中村晃朋!

松井はといえば、優しい笑顔を浮かべて控室へと消えていったわけだが、まあいつも書いているように、準優組はゆったりと動き出している選手が多いです。西山にしても松井にしても、序盤は控室で過ごす時間が長かった。西山は3R発売中にはペラ調整室にいたが、馬場貴也と談笑している様子。で、実はその馬場のボートだけが序盤、係留所にあったのである。残りの17艇はすべて装着場。プロペラがついたままのものも多かった。馬場は精力的にペラを叩き、3R発売中には係留所にも降りて行っている(試運転したかは未確認)。準優組で最も早くから動き出していたのが馬場と言っていいだろう。

次にボートを水面に下ろしたのは、これも1号艇の吉田拡郎だ。3R終了後のことだが、準優1号艇だけが着水しているというのはなかなか珍しいことだと思う。あと、3R発売中あたりから動き出す選手が多いというのが準優日の定番だが、その時点では1艇だけ、その終了後にやっともう1艇、というのも遅めだという感覚がある。つまり、準優組はそれなりにモーターが動いていると言っていいのではないか、と思ったりするわけである。まあ、それぞれのルーティンがあるから、一概には言えませんけどね。

ちなみに、序盤にペラを叩いていた姿を見た準優組は中島孝平、渡邉和将。プロペラゲージを擦っていたのが峰竜太と深谷知博。峰は昨日もずっと同じ場所にいたなあ。深谷は屋外で叩いているのをよく見かけていたので、ゲージテーブルで見るのは新鮮。というか、おおよそペラの方向性が固まって、そのゲージを取っておこうという段階に移ったのではないかと思われる。

そうそう、丸野一樹もペラを叩いていたのを見たのだった。ただし短時間で終えて、モーターに装着。カポックを持ってきてボートに置いていたので、着水は近いように思われた。同じくカポックをボートに置いて準備を始めていたのは上條暢嵩。こちらも前半の時間帯のうちには試運転する姿が見られるだろう。

調整作業を見たわけではないが、何度か装着場にあらわれるのを見たのは大池佑来。ふとそんな気がして調べてみたら、これがSG初準優なのですね。9節目でついに予選を突破したわけだ。5号艇とはいえ、緊張していてもおかしくないシチュエーションである。まあ、わりと淡々としている感じなので、あまりそうとは見えなかったけれども。あ、あと渡邉和将もSG初準優です。(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 TEXT/黒須田)