BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

準優ダイジェスト

埋伏の袈裟斬り

10R
①吉田拡郎(岡山)09
②丸野一樹(滋賀)11
③河合佑樹(静岡)09
④上條暢嵩(大阪)07
⑤中島孝平(福井)05
⑥末永和也(佐賀)08

 ここ1年、イン戦でただの一度もまくり決着を許さなかった拡郎が大舞台でバッサリ斬られた。3コース河合の袈裟斬り、だ。
 ほぼ横並び、すぐには誰も動けないスリット隊形ではあった。4カド上條がじんわり伸びて絞め込もうとしたが、河合がしっかりブロックして一段落。丸野がスッと右に開いて差しを狙う。

 イン拡郎としては、とりあえず一撃まくりの芽が消えたことに安堵し、ターゲットを怖い丸野の差しにロックオンしたことだろう。インでは強めに握る傾向がある拡郎が、かなり、しっかり落として丸野を迎撃した。いや、迎撃しようとした。私の目にも、正しい判断に見えた。

 だが、その瞬間にはもう、拡郎は斬られていた。自覚があったかどうか。上條を止めた河合が、間髪入れずに握っていた。拡郎にはスリット後の上條が見えていたが、この河合の強襲は見えていなかったはずだ。

  ちょうど1マークの曲がりしな、ターンの放物線の頂点あたりでバッサリ斬り裂かれた。河合への警戒がややおろそかだったかも知れないが、拡郎の油断というより上條を止めてからの河合の度胸とスピードを讃えるべきだろう。

 2着争いはバック中間で5艇が横一線。誰が抜け出すかわからない隊形から、2マークを豪快に握った中島が2艇身ほど突き抜けた。さすが百戦錬磨、GPウイナーの底力! 判断の早さが際立つ2マークだったし、サイドの掛かり~出口の押し足も上々だった。

  その後に上條の猛追を喰らって逆転されたが、最終ターンマークに乾坤一擲のツケマイでふたたびファイナル圏内に舞い戻った。道中のあれこれで正味の足は測りかねるが、少なくとも予想欄の【出B+・直B】は軽視しすぎだったと思っている。
  嗚呼、それにしても「まくられ率0%」の拡郎が、これほど鮮やかに残酷に斬り捨てられるとは……当欄で何十何百と書いてきたが、これだからボートレースってヤツはわからない。

美しすぎる旋回

11R
①馬場貴也(滋賀)13
②佐藤 翼(埼玉)16
③深谷知博(静岡)12
④峰 竜太(佐賀)18
⑤松井 繁(大阪)18
⑥関 浩哉(群馬)15

 大波乱から一転、こちらは準優としてかなり分かりやすい穏当なレースだった。スリット隊形から内3艇がややリード。馬場が先マイして翼が差して深谷が握って、バック出口で早くも①-②③隊列に。ダッシュ勢では松井が峰にツケマイを浴びせてにじり寄ったが、ファイナル圏内からは遠い勝負手だった。

 馬場に関して言及するなら、とにかくインモンキーが素晴らしかった。美しかった、と言い換えてもいい。外の誰よりも早く舳先を傾けて、ターンマークを舐めるように、それでいてスピーディーに旋回し、出口で専売特許の舳先ブチ上げウイリーをかまして独走状態に持ち込んだ。この美しすぎるインモンキーの中にどれだけ機力が介入していたのか、即答できる方は教えてください!w

 こんな展開だから、2着争いは翼と深谷の一騎討ち。バックでマウントをとった翼が2マークを先取りし、深谷が外に開いて鋭角差しで……と思った瞬間、後方から峰が最内に突っ込んで深谷と接触(文句なしの不良航法で賞典除外に)。ごちゃっと紛れた水面から無傷の翼が抜け出して、ここで明日のファイナル入り2名が確定した。

 展開も展開で縦長になったから、馬場だけでなくセイフティ2着の翼の足色も分かりにくいレースではあった。分かりにくいが、明日の翼は4号艇か5号艇。今節、スリット近辺のパンチ力では5本指(おそらく優勝戦では屈指)に入る翼12号機だけに、舟券的にも実に面白いダークホースといえるだろう。

あとひとつ!

12R
①西山貴浩(福岡)08
②羽野直也(福岡)12
③山口 剛(広島)09
④池田浩二(愛知)09
⑤大池佑来(東京)07
⑥渡邉和将(岡山)08

 西山が逃げた。
 この、シンプルな6文字の出来事に、全国中のボートレースファンが熱狂したことだろう。文字数を増やすなら、西山がしっかり逃げたw スタートをしっかり踏み込み、1マークをしっかり旋回し、ターン出口でしっかり2艇身ほど抜け出し、そして、全国の大勢のファンをしっかり熱狂させた。
 さあ、あとはもう一丁、同じようにしっかり逃げるだけだ。それで、本人だけではない、世界中が待ち望んでいたSGウイナーの仲間入りを果たし、多くのファンが思っていたであろう「人気先行型」というレッテルも剥がれる。

 あとひとつ。
 これがどれだけ難しいか、我々は何度も何度もこの地点で挫折したレーサーを見てきた。明日とて同じ。今節の西山なら大丈夫。などという軽はずみな予言は、口が裂けても言えない。

 ただ、シリーズリーダーが準優1号艇の重圧(コッチの方が緊張した、と後に語る選手は多い)を跳ねのけて勝ちきると、ファイナルはあっさりスッキリ何事もなかったように乗り切るケースもやたらと多い。昨日の予選トップを獲りきった流れが流れだからして、明日の西山がその路線を歩む可能性はそれなりに高いと思っている。

 さて、最後のファイナリストを決する2着争いは、掛け値なしの死闘だった。3コースから握った山口VS2コースから差した羽野の一騎ち。常にマウントを取り続けたのは山口で、羽野は丸々3周に渡って僅差で追いすがった。

 しかも、2周1マーク、2周2マーク、3周1マーク……すべて外から外への全速の握りマイ!!!! 3周バック出口で、必死に防戦していたツヨポンの足元がついにふらついた。不利な外側ではあるが、羽野の舳先がにゅっと不気味に覗く。

 握って握って若いスピードが生きるゾーンまで持ち込んだ羽野が、最終ターンマークも豪快に握り倒して西山との福岡ワンツーを決めた。こちらはこちら、全国の羽野ファンの胸は3周に渡ってきゅんきゅんきゅんきゅん高鳴り続けたことだろう。

 大波乱~①-②決着×2の末、ファイナル6PITが確定した。

12R
①西山貴浩(福岡)
②馬場貴也(滋賀)
③河合佑樹(静岡)
④佐藤 翼(埼玉)
⑤羽野直也(福岡)
⑥中島孝平(福井)

 全国ファンの熱い視線が白いカポックに注がれる中、16時40分すぎにSGファンファーレが鳴り響く。(photos/シギ―中尾、text/畠山)