BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――嬉しい! 悔しい!

 6号艇で2着条件の勝負駆け。決して簡単ではないこのノルマを、小野生奈が見事にクリアした! しかも、道中逆転の2着。足の違いはあるにせよ、抜いた相手は守屋美穂に西橋奈未。当代きってのトップレディースを抜き去って、得点率6・00に届かせた。見事! まさに気合の勝負駆け!
 もちろん小野は自身の条件は把握していたはずで、逃げ切った魚谷香織のもとに駆け寄ると、二人で満開の笑顔! いやあ、気持ちのいい生奈スマイル。もしかしたら魚谷も小野の条件はわかっていたのだろうか、小野の左腕あたりをポンポンと叩いて、ともに喜びをあらわしていたのだった。福岡支部ワンツーという最高の結果でもあり、ハッピーな空気に二人が包まれるのも当然である。

 11Rは勝負駆けが動いた。まず、1着勝負だった向井美鈴が4コース差しで見事に1着! ピットでは一瞬どよめきが起こるほどの、劇的な勝利。今日はダッシュ勢が苦戦の傾向で、それだけに1着勝負はハードルが高いかと思われたが、向井は跳ね返した。素晴らしい! ピットに戻った向井は、意外や淡々。ただ、出迎えた面々は全員が100期台の選手で、84期の向井に対してキャッキャとはしゃぐわけにもいかなかったか。山口支部の後輩は清水愛海で40期以上も違うわけだし。というわけで、香川素子や大瀧明日香の3000番台選手が笑顔で声を掛けると、向井はニッカリと笑顔を見せた。同世代の選手たちが、向井の心中を引き出してくれたというわけだ。

 一方、準優圏内にいた山川美由紀は5着大敗で勝負駆け失敗。平山智加が悲し気な表情で出迎えたが、百戦錬磨らしいというべきか、サバサバと結果を受け止めているようだった。もちろん悔しさが胸にあふれてはいるはずだが、その対処の仕方もよくわかっている。予選落ちは残念だが、むしろその姿に偉人たる貫禄が見えたのだった。

 苦笑とともにうつむいたのは長嶋万記だ。4着条件で4着はノルマクリア。しかし、藤原菜希との3着競りに敗れたことがやはり悔しかったのだろう。もちろん準優の枠番を考えた部分もあったはずだ(結果的に3着なら3号艇)。地元レディースチャンピオンで準優進出は最低限の目標。もうひとつ上を狙うならなおさら、痛恨の競り負けだったわけだ。

 その長嶋に競り勝った藤原だが、こちらは微妙な顔色であった。11R前の時点でボーダーは6・00。5・80の藤原は次点だった。3着で藤原の得点率は5・83に少しだけ上がったが、これでは次点のままなのだ。長嶋に競り勝ったとはいえ、藤原ももうひとつ上が欲しかった。そのあたりが微妙な心境を藤原にもたらしただろう。もちろん12Rの結果次第で滑り込める立場にはなったが、そんなことを考える余裕はその時点ではなかったはずだ。

 12Rは、予選トップの座が決まる一戦。焦点は深川麻奈美だ。2号艇3着でトップ確定という局面。しかし、2コースから差して届かず、センター勢2人に舳先を前に出されてバックでは4番手あたり。そして、2マークでは前田紗希と接触して最後方に……。トップ通過が目前だったのに、準優1号艇まで逃すこととなってしまった。レース後の深川は、やはりやや肩を落とし、脱力した様子。隣で同県同期の川野芽唯も痛恨の表情を見せていた。川野に何か言われて深川は笑顔を見せたが、これは当然、悔恨の笑顔……。

 これで予選トップは平山智加となった。10Rで富樫麗加が大敗し、トップが自分と深川に絞られたとき、気のせいか、少しカタい表情となったように見えた。深川の失敗を願うわけではない、しかしトップが手に入れば……。複雑な思いになるのも当然だろう。ともかく、転がり込んできたチャンスである。2度目の戴冠に向けて、力強く明日を迎えるのみだ。

 この12Rでは、前田紗希が4着条件で5着。12R組では唯一、準優圏内から陥落することになってしまった。エンジン吊りを終えて、水面のほうに顔を向けながら引き上げていった前田。水面を眺めているというよりは、多くの人たちがいる装着場側には顔を向けたくない、そんな悔しがり方のようにも見えていた。この結果、藤原が18位に滑り込み。同じ関東地区の2人だ。明日は藤原に思いを託すしかない。

 さて、今日は高憧四季が水神祭を果たし、今節GⅠ未勝利の選手はあと1人だけになった。山口真喜子だ。山口は4R2着で勝負駆けを成功させて準優進出。そう、1着なしで予選を突破したのである。ちなみに、スピードクイーンメモリアルでも同様でしたね。だが、本人としては忸怩たるものがあっただろう。1号艇での勝負駆け2着は、決して喜べるものではないはずだ。しかも1着は高憧で、水神祭対決で後塵を拝しているのである。
 山口はレース後、調整と試運転に励み、10R発売中に切り上げると、本体を外して整備を始めている。もちろん、準優で勝負するための整備。明日は何よりも優出を目指して走る。しかし同時に、水神祭も視野に入れてはいるであろう。明日優出を果たし、そして最終日にWの意味での水神祭となったら最高だ!(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 TEXT/黒須田)