BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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準優ダイジェスト

3連覇ROAD

10R
①遠藤エミ(滋賀)   08
②深川麻奈美(福岡)08
③向井美鈴(山口)   11
④岩崎芳美(徳島)    09 
⑤勝浦真帆(岡山)   19
⑥高田ひかる(三重)26

 このレースから安定板が外れるという、ちょいと微妙にイレギュラーな大一番初戦。調整は間に合うのか、合わせきれるのかと見ていたが、なんのことはない、大本命の遠藤がインから豪快に逃げきった。誰にもまくらせない、差させない、完璧すぎるインモンキー。

 乗り手の力量はもちろんのこと、相棒の13号機も2日目から日に日にアップして今はトップレベル。3日目あたりから出足も直線も【A】か【A+】か迷っているのだが、どっちにしてもかなり高いレベルのバランス型に仕上がった。

 とりあえず控えめに【出A・直A】に据え置くとして、明日はセンター枠あたりから一撃3連覇があっても驚かない好パワーとお伝えしておきたい。うっかり11R①鎌倉、12R①平山が取りこぼしてエミ①なんてことになったら、3連覇の可能性は80%まで跳ね上がるだろう。

 2着争いは、2コースからすんなり差した深川vs5コースからメチャクチャ狭い所を全速かつ超鋭角にまくり差した勝浦の一騎討ち。ターン出口では、エグイ割り差しをブッ込んだ勝浦が内からニョキッと舳先を突き出した。これはもう、パワー差しではなく勝浦真帆29歳の勇気とスピードと勢いとターンセンスが合体した離れ業。去年の10月25日に初優勝を遂げてからの成長(覚醒)ぶりは、もはや多くを語る必要もないだろう。

 勝浦まくり差しがパワー差しじゃなかったことは、その後のボートチェイスが証明している。バックで内からがっちりマウントをとり、2マークの好旋回で3艇身ほど突き放したのに、深川8号機に追われるわ追われるわ!

 直線で少しだけ突き放し、ターン回りで1艇身ほど詰め寄られ、また直線で少しだけ突き放し、という繰り返しで、3艇身の貯金がどんどん削られた。最後はわずか半艇身差でファイナル切符をもぎ取ったが、単純なパワー比較では明らかに深川が優勢な見え方だった。だからこそ、1マークのトンデモまくり差しは絶賛に値するし、GI水神祭からわずか3日後のGI初優出にも特大の「あっぱれ」を贈りたい。明日のさらなる快挙を狙うには【出B+・直A】の【出B+】をどこまで底上げできるか、だと思うのだがどうか。

薄氷の1着、2着

11R
①鎌倉 涼(大阪)   01
②渡邉優美(福岡)   03
③富樫麗加(東京)   04
④海野ゆかり(広島)13
⑤小野生奈(福岡)   13
⑥山口真喜子(長崎)15

 遠藤に続いて鎌倉がイン逃げを決めたが、こっちは薄氷を踏むような勝利。まずはスタートがギリギリすぎるコンマ01発進。のみならず、バック直線もギリギリの攻防だった。追いすがったのは2コースから差した渡邉。例によって俊敏かつスピーディな差しで舳先を数センチほどねじ込み、バック直線の伸び比べはほぼ一緒。

 2マーク手前までこのノーズトゥテイルが続き、「内から攻めきれない」とみた渡邉が艇を引いて勝負あった。ほんの少しでも渡邉の舳先が突き進んでたら、両者の体は入れ替わっただろう。鎌倉の今日のパワーを【出A・直A】とするなら、10Rのエミはやはり【出A+・直A】あたりではないか、なんてレース後に思ったりもした。

 そして、準優のハイライトである2着争いは、空恐ろしいほどのしっちゃかめっちゃか大混戦となった。いやホントに、ターンマークごとに2~4番手の組み合わせがあちゃこちゃ入れ替わる大混戦!
 3周1マークまで、常に優位を保ったのは大外のダークホース山口だ。2マークで果敢な切り返しからわずかなリードを奪い、富樫、渡邉のあの手この手の追撃を的確かつスピード豊かな応接で交わし続ける。

 2周2マークの好旋回でついに後続を3艇身ほど突き離した瞬間、誰もが山口の2着を確信しただろう。10Rの勝浦に続いて、今度はGI未勝利の20代レーサーがファイナル進出!? 場内モニターには燦然と、それを裏付けるフォーカスが刻印された。
【①-⑥-③229・0、①-⑥-②129・0】

 今節初のピンマンとともに快挙達成、と思った瞬間、それは起こる。3艇身後方の渡辺が、最内からするすると3周1マークに寄り添い、最後の罠を仕掛けた。
 私を抱いて交わすか、私を行かせてから差すか、さあどうする?
 みたいな、妖しい切り返し。28歳の選択は迷わず抱きマイだったが、渡邉の航跡はハナからそれを見越していたかも知れない。目の上のタンコブを力任せに交わした瞬間、山口の艇が左右に揺れた。ターン出口でも、また揺れた。若い気合のほとばしりが、レバーとハンドルの間合いを微妙に狂わせた。

 してやったりと前進する渡邉に、開いて差した富樫がまた最内から舳先を並べる。最終ターンマークは猛烈な交差旋回の末に、これまたギリギリの僅差で渡邉が競り勝った。一時は①⑥③の229倍から①②③の12倍へ……ある意味、凄絶なファイナル争奪戦を象徴するオッズ変動だった。

同県ワンツーの明暗

12R   並び順
①平山智加(香川)   19
②刑部亜里紗(静岡)21
③松尾夏海(香川)  14
④長嶋万記(静岡)  14
⑥藤原菜希(東京)  15
⑤細川裕子(愛知)  19

 このままイン3連勝かと思えた準優ラストレース、最後に笑ったのは香川の平山ではなく、同県の後輩・松尾だった。最大の勝因はスタートだろうか。イン平山がやや慎重だったのみならず、F持ちの刑部がさらに凹んだ。

 わずか半艇身ほどのアドバンテージだが、3コースの松尾からすれば内2艇が丸見えの体形だ。まくられたくない平山がちょい早めの初動でレバーを握った直後、その動きを難なく観察した松尾が、ナタを振り下ろすような鋭角なハンドルで刑部を叩き割った。このあたりの捌きテクを得意とする松尾の、まさに真骨頂の一撃決着と言えるだろう。

 そして、これだけ切れ味のいい割り差しを決めるのだから、松尾の出足系統が悪いはずもない。初動から出口までの無駄のない航跡を見るだに、「向きたいところに舳先が向く」的な乗り心地もかなりのレベルと推察できる。査定するなら、【出A+・直B+】あたりか。

 もちろん、明日も同じ3号艇の松尾は、この強出足と乗り心地をフル稼働して3コースから2日連続の大技を決めても不思議ではないだろう。たとえ、明日の2コースが3連覇を狙う遠藤エミであっても!?
 バック中間で、焦点は早くも2着争いに。いや、松尾の選択がまくり差しだったから、2番手もインから残した平山でほぼほぼ固い隊列になった。3番手の万記との差は約2艇身。

 こんだけの差があれば、機力的にもセイフティだろう。
 なんて決めつけていたのだが、回っても回っても万記が食いついて離れない。離れないどころか、逆にじわじわ差を詰められ、最後はこれまた半艇身ほどの僅差で平山が命からがら粘りきった。このチェイスを見る限り、平山より万記のレース足のほうが総じて強めに思えた。平山の調整に何らかの誤算があったのか。そして、この見え方が明日の本番にどう影響するのか。そんなことを考えているうちに、明日のファイナル6PITが確定した。(photos/シギ―中尾、text/畠山)

12R優勝戦
①鎌倉 涼(大阪)
②遠藤エミ(滋賀)
③松尾夏海(香川)
④平山智加(香川)
⑤渡邉優美(福岡)
⑥勝浦真帆(岡山)