
気合の前付けで勝負をかけた西山貴浩は、6着に敗れてしまった。1R6号艇。絶対に結果を出すのだと闘志を燃やした今節、ボートレースは何が起こるかわからないとしたものだが、2走15点が必要な状況では6着は事実上の終戦であろう。無念に尽きる。
ピットに戻ってきた西山は、盛んに身体を起こすようなアクションを周囲に見せていた。さらにレバーを放ったというアクションも。それもそのはず、気合の踏み込みはコンマ00! しかし全速で行けたのではなく、放ったのは大正解。勇み足で地元SGを終わらせるわけにはいかないのだ。その時点で敗戦を覚悟したか。もちろん悔いが残る勝負駆けではあったが、勝負に出たことは間違いなく、それもあってか意外とサバサバしたレース後であった。

その西山をツケマイのようなかたちで叩いたのは、4カドに引いていた森高一真だ。この2人の関係は、もはやファンにも浸透している。その森高が西山を沈めていったのだから、これぞボートレース! どんなに仲が良かろうとも、その相手の地元SGで勝負がかかった局面であろうとも、忖度なしに負かしに行く。これぞボートレーサー! ピットに上がった森高は、西山に「悪いな」とばかりに右手を上げて笑顔を向けた。素敵な場面だと思った。勝負師の勝負師たるゆえんを見せつけられたからだ。

1Rでは、上條暢嵩も西山とまったく同じ条件の勝負駆け。上條のゼロ台の踏み込みで勝負をかけ、スリット後手のイン新開航をジカまくりで攻めている。これが森高に差されて、上條は2着。それでもこちらは後半に望みをつないだ。西山とレースを振り返りながら、爽快な笑顔を見せていた上條。西山の心中に思いを至らせてもいただろうが、同時に後半への意気込みも強くなったに違いない。

2Rは仲谷颯仁が逃げ切り。仲谷もまた、西山や上條と同条件の勝負駆けで、やはり後半に望みをつなぐ格好に。西山に出迎えられて仲谷は安堵の表情を見せていた。西山とは同門だから、兄弟子の思いを受け継ぐのはまさにこの男。展示ピットで見た西山の大敗は、おそらく仲谷の闘志にさらに火をつけたはずだ。後半8Rは渾身の勝負となる。

さて、昨日書いた菅章哉と向かい風の話。調べたデータを菅本人に伝えたのである。向かい風1~3mの勝率8.12と聞いて、菅は目を光らせた。なにしろ、茅原悠紀、峰竜太、桐生順平に次ぐ全体4位の数字。5位は毒島誠で、これを上回っている! その名前を聞いて「すごいメンバー!」と菅も驚いていた。さらに、4~6mで6.90、7m以上で4.33と伝えると、「やっぱり。自覚はありましたから。データって面白いですね」と興味深そうにうなずいていた。だが、少々複雑な表情にも見えたのも確かである。菅としてはもちろん、風がどれだけ強かろうと、1~3mのような数字を残したいのである。実際、茅原や峰、桐生はそういう選手たちだ。どんな条件でも強いというのが理想であるのは当然。伝えないほうが良かったかなあ、と軽く反省しつつ、そのデータが菅の向上心をさらに高め、いつでもどこでも伸びるようになることを期待します!(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 TEXT/黒須田)