
2着条件だった守屋美穂が10R、差して2着で勝負駆け成功。昨年のオールスター以来3回目のSG準優出を決めた。ピットに戻った守屋は淡々としていて、表情を変えることはなかったが、田口節子が祝福した瞬間、ニッコー! 全国の守屋美穂ファンの皆さん、そのキュートな笑顔をお見せしたかった! 思わずこちらの頬も緩む、歓喜と安堵があらわになった笑顔。あのオールスター準優での忘れ物を取り戻すため、ここはやはり気合の入る一戦だったのだ。

一方、3着条件だった三浦永理は6着。やはり6号艇6コースは遠かった。こちらはやはり痛恨の表情を見せていて、予選後半の失速の手痛さをあらわにしていた。10Rで残酷にもくっきり浮かび上がった女子レーサーの明暗。守屋は三浦、そして田口の思いも背負って、準優を戦うことになる。

10Rを勝ったのは新田雄史だ。レース直前の彼の様子を目撃した関係者は一様に「緊張している」と証言していた。前半大敗で、厳しい条件で迎えた10R。絶対に落とせない1号艇となれば、さすがの新田でも心は震える。逃げ切ったあとも、緊張が続いていたわけではないだろうが、表情はカタいままだった。機力的にまだ足りないところがあるのか、それとも地元単騎参戦での準優に向けてさらに気が引き締まったか。明日は中枠になりそうだが、優出を最低限のノルマと考えているのであれば、高い緊張感で準優に臨むことになるだろう。

11Rはなかなか激戦の勝負駆け。前半の転覆で予選突破が厳しくなった馬場貴也が意地の逃げ切りを見せたが、2番手争いが激戦。2着条件の吉田拡郎と3着条件の金子拓矢。ならば吉田-金子と続いて入線すれば勝負駆けが両立する……などということは、選手の頭にはあろうはずがない。準優の枠をひとつでも内にしたいと考えれば、金子が緩めるわけなどがないのだ(吉田の条件を把握していたかどうかも微妙)。吉田を競り落として2着で勝負駆けをクリアした金子は、出迎えた関浩哉とともにニッコリ。もちろん1着ならなお良かったところではあるが、外枠からの2着、それも競り勝っての2着は会心である。

吉田はこの時点では勝負駆けクリアならずで、次点につけることとなった。もちろんまだ望みはあるわけだが、ノルマに届かなかったこともあって、やや足取りが重い。他選手の失敗を願って、という気持ちにはなかなかなれないもので、レース直後は特に目標を果たせなかった悔しさだけがつのろうというもの。

吉田以上に足取りが重かったのは小池修平だ。2着条件だった小池は3コースから自力で攻めにいこうとしたが、それより先に2コースの仲谷颯仁がまくりを放っていた。仲谷は1着勝負だっただけに一か八かのまくり勝負に出たのだろう。これが小池の航跡と合ってしまって、小池は後退。6着に敗れてしまった。長身の小池はコンパスも長いのに、前を歩く他選手との差は開く一方。それくらい痛恨の敗北だったのだ。仲谷の戦略に気づいて差しにいっていたら……そんなことも脳裏にはよぎっていたかもしれない。とにかく悔いが残る一戦となってしまったわけである。


12Rはよもやの1着勝負になった峰竜太が、松村敏の2コースまくりにも動じずに逃げ切り。レース後はさすがに安堵の表情を見せており、苦笑い強めの笑顔を見せていたのだが、その瞬間に競技本部への呼び出しアナウンスがかかって、峰はさらに苦笑いを浮かべる。進入について何か注意を受けたのか(レースでの接触は特になし)、そのあたりはわからなかったが、競技本部から戻ってくると「セーフ」。ひとまず減点なしで、予選突破を決めたのだった。ただし、新田雄史や土屋智則、そして賑やかし屋の西山貴浩が峰にクレーム(笑)。同世代とはいえ、いちおうこのなかでは峰がいちばん先輩なのだが、その3人が揃いも揃って峰をイジったのだ。ほんともう、峰ってそういうキャラなんだから(笑)。ほんと、不思議な男である。

さて、12Rの結果を受けて次点になったのは、吉田拡郎ではなくもう一人の吉田だった。吉田裕平だ。吉田は7Rで5着大敗、守田俊介との接触もあった。それでペラが壊れたようで、「新ペラになっちゃいました。あんなに出てたのに……」と落ち込んだ様子だった。それに続けて「まあ、準優に乗れるかどうか、わからないですけどね」と力弱く続けている。正直、とっくに当確になっていたかと思ったら(得点率は6・00)、11R終了時点でこれが18位。峰が逃げて吉田を超えていっただけではなく、圏内から脱落する可能性のある面々が踏みとどまったため、6・00組のなかでただ一人、予選落ちを喫することになってしまったのだ。
それを把握していたのだろう、12Rのエンジン吊りを終えて控室に戻っていく吉田は、ずっと下を見つめていた。それはうつむいていたという表現が正しいかもしれない。機力充分で意気込んでいたものが、まずペラを交換しなくてはならなくなり、しかも予選落ちとなってしまった。その落胆の大きさは想像に難くない。吉田はチャレンジカップ出場に向けても少しでも賞金を積み上げたかった今節であった。ここで折れることなく、あと2日で精一杯稼げるよう、ペラを調整し、奮闘してもらいたい。頑張れ!(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 TEXT/黒須田)