
23年11月のデビューから約2年、井上慧人はすべて外枠、ダッシュからレースをしてきた。スロー解禁は今節から。昨日の4R、3号艇3コースが初のスローだった。2号艇、2コースは今日が初めて。そのレースが、なんとカド受け。ピット離れで3コースを獲った藤原菜希が3カドに引いたのだ。デビュー以来2度のスローがいずれもカド受けという。なかなか厳しい2コースだったのである。
さらには、道中では山川波乙との3番手争いに競り負けての4着。ピットにあがってヘルメットを取ると、思い切り顔をしかめる表情があらわれた。いやー、悔しいっ! でも、その感情を抱くことが大事なんでしょうね。初の2コースだから負けても仕方ない、では進歩は見込めない。今節はおそらく1号艇も回ってくるはずで、初のイン戦も楽しみ。勝つも負けるも、しっかりといい経験をしてほしいと思う次第であります。

ルーキーズは内枠に入ったのだが、ポイントをレディースに奪われた5Rである。上原健次郎は1号艇で、1マークでは藤原の3カドまくりを受け止めたが、2マークで差されて逆転され、その後も追いに追ったが、捌かれた格好。ピットで藤原を顔を合わせると、まずは爽快に笑い合う。デッドヒートを戦った両者が健闘を称え合った瞬間だ。だが、上原のほうはだんだんと苦笑いの度合いが強くなっていって、エンジン吊りの間には笑みは保ったものの悔恨の濃度がどんどんと高まっていったのだった。

そして、6着に敗れた佐藤永悟は呆然自失。藤原に3コースを奪われ、その藤原は握っていったが見せ場も作れず、そして大差シンガリに敗れたのだから、肩が落ちるのは当然である。井上に声を掛けられると、うつむいたまま力なく首を左右に振った。レース後の挨拶の常套句である「ごめん」に「ぜんぜん」と首を振ったのか、「ぜんぜんダメだ」の首振りだったのか、どちらにも受け取れるほどにそれは弱々しいものだった。整備を尽くしているのだが、上向かない足色。あと3日のうちに、少しは気持ちが晴れるところまで立て直してほしいのだが……。

6Rは、今度は外枠に組まれたルーキーズがポイント奪取! 立役者は6号艇の石井伸長だ。6コースから伸びてまくり差し一閃! これが石井の持ち味だ。一時はチルトを跳ねて戦うこともあった石井である。ここも昨日までのマイナスから0度に上げての攻撃。前田翔から「ノビ! やったな!」と声を掛けられていて、そこはノブじゃないの? やっぱり伸びて活躍するシーンが印象的な石井だけに伸びって呼ばれてるのかな? ウィナーインタビューでも「ノビナガで頑張る」とか言ってたし。石井はデビューから1年半が経ったが、3号艇が1回ある以外はすべて外枠である。3号艇は優勝戦。そう、外枠オンリーで優出を2度もマークしている若者なのだ。今節もダッシュ枠のみとなりそうだが(準優や優勝戦は別として)、今日の再現を魅せてくれる可能性はまだまだある。

1号艇の廣中智紗衣は、やはり暗めの表情。憮然としていたいうと言い過ぎになってしまうが、しかし1号艇で取りこぼした悔恨は大きそうだ。おそらく外から緑色は見えてきていたはずで、しっかり先に回ろうと対処はしているのだが、ここはまくり差しに構えた石井のナイスプレーだった。2着に粘った、もっと言うと石井を猛然と追いかけた走りは悪くなかったと思うのだが、アタマを獲り切れなかったのは納得いかないということだろう。今節のレディース再度の選手代表、その責任感とともに明日の準優勝負駆けに臨むことだろう。(PHOTO/池上一摩 TEXT/黒須田)