BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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優勝戦 私的回顧

DRAGON GOD

12R優勝戦
①峰 竜太(佐賀)11
②西山貴浩(福岡)13
③山口 剛(広島)08
④大上卓人(広島)07
⑤桐生順平(埼玉)08
⑥山田康二(佐賀)15

 唐津のホワイトドラゴンが勝った。
 昨日の準優が終わった時点で「こりゃ今節は峰だな」と思ったのは私だけではないだろう。この大本命が万が一にも負けるとするなら、
A/山田がバナレでぶっ飛んでインコースまで脅かしたとき。
B/優勝戦でトップパワーの大上がカド戦で突出したとき。
 このどっちかしかないな、とも思った。

 いざ実戦。まずはピットアウトでパターンAの可能性が消滅した。山田の艇はじわり飛び出したが、隣の桐生を越えるほどの勢いはなかった。枠なり3対3が確定。
 一方、パターンBはちょっとだけありえそうだった。カド受けツヨポンとほぼ同体から、大上の舳先だけがスーーッと突き出した。大上◎の私の心臓音も、キュンッと高まる。
――おお、広島コンビが折り合ってくれれば、ワンチャンあるかも??

 そんな心臓音だったが、現実は真逆。劣勢ながらもツヨポン先輩が握りっぱなしでタクト後輩をシャカリキ猛ブロック! タクトは向こう岸方面にぶっ飛ぶわ、ツヨポンもその反動で激しく振り込み落っこちそうになるわ、目も当てられない大競りだ。
――ななな、なんや、『仁義なき戦い 広島死闘篇』まんまやないかーーーい!!
 私の心の叫びとともに、パターンBと私の舟券も完全消滅。そんなドンパチの間に、今日も峰は上半身ガチ折りのなんぞよう分からん超高速モンキーで後続をぶっ千切った。そりゃそうだ。

 うむ。レースに関してはもう書くべきことがない。明日は峰の41歳のバースデーだとか。不惑の最後の日に7度目のSGタイトルを召し取ったわけだが、確かに今節の峰竜太のレースっぷりは泰然自若というか悠々自適というか、「四十にして惑わず」っぽい心のゆとりを感じさせたなぁ。な~んて、ベタなコジツケ文章でお茶を濁すとしよう(笑)。
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 あとは雑談。私は月刊BOATBoy誌で「ばけばけ」っぽい怪異談を連載しているのだが、ガマの景勝「竹島」は古来から龍神にまつわる言い伝えが多い。雑誌から抜粋しておこう。

①龍神の松

 昔むかし、竹島に龍の母子が棲んでいた。ある日、目の不自由な旅人が島内を彷徨い、哀れに思った母龍が我が子の片目を渡した。目が見えるようになった旅人は、涙ながらに感謝しながら立ち去った。片目になった子龍は、大きな松の樹に寄り添うように棲みつづけた。やがてその樹は「龍神の松」と呼ばれ、触れた人の心身を癒す霊木となった。

②龍神岬

 1180年頃、八百富神社の創設者である藤原俊成は、神社の建設中に不思議な夢を見た。枕もとに龍神が現れて、こう言ったのだ。
「海底に眠っている私を引き上げてくれれば、神社に守護を与えよう」
 後日、俊成が岬から海底に網を投げてみると、お告げどおりに龍の御神体が現れた。その岬は「龍神岬」と呼ばれ、参拝者が祈りを捧げる名所になった。

 事前にこんな言い伝えを知っていた私は、今節の初日のレース前に竹島の「八大龍神社」を参拝した。賽銭を入れ、二度敬礼し、二度手を合わせ、心の中で祈った。
――龍神さま、今節の52人の中に「龍」の字を持つ男がおります。その上田龍星が26号機という素晴らしいモーターを引いたので、どうか優勝させてやってください。でもって、その龍星舟券で私の財布もぶくぶくに膨らませてください!

 その夜、ガマの居酒屋「団七」でそんな経緯を黒須田に話すと、黒須田がぼやりつぶやいた。
「あのぉ、今節は竜の字を持つ男がもうひとりいますよね、ちょっと字ヅラは違うけど。そんな祈願をしたら、そっちの竜が勝っちゃうんじゃないですかねぇ」

 5日後、私の祈祷はハズレ、黒須田の予言が的中した。今節といい、2年半前のダービーといい、竹島の龍神さまにこよなく愛されていたのは、そっちの竜だったのである。ちゃんちゃん。(photos/シギ―中尾、text/畠山)