
9Rで服部幸男が逃げ切って勝負駆け成功! 爽やかな表情で引き上げてきて、瞳に力強さをたたえながら控室へと戻っていった。充実感あふれる顔つきで、口元もキリリと引き締まる。凛々しい。カッコいい! 50代半ばとなっても、この人のカッコ良さはタダゴトではない。

10Rでは平田忠則が差し切って勝負駆け成功! 今日はピンピン連勝で、昨日終了時点37位から一気に準優圏内に突入したのだから、お見事すぎる! ヘルメットの奥では目を細めていた平田。やっぱりこの人にはスマイルがよく似合う。今節はチルト3度から始まって、さまざまな試行錯誤をしながらやや低迷し、しかし予選ラストで一気に巻き返しての予選突破。勢いという意味では準優でも決して侮れない存在となることだろう。

11R、2着が欲しかった赤岩善生は、1マークでは2コースから外マイに出たものの、4コースから差した平尾崇典に先んじられて、3着となっている。ただし、3着条件だった笠原亮が5着に敗れたため、この時点でなんとか18位に踏みとどまった(最終的に17位)。もっとも、赤岩がレース直後にそこまで把握していたかどうかは微妙なところである。
それよりも赤岩は、まず田中信一郎のもとに駆け寄って「すみません!」と頭を下げている。3コースから攻めようとした田中をブロックするような格好となって、田中は攻め筋を失って後退しているのだ。もちろん赤岩は勝つために外マイを選択したのであって、それでも田中に迷惑をかけたという思いも同時にあったわけである。

田中は赤岩に笑顔を向けて、「いやいや、ワンチャンあるかと思ってたけど」と労うように言葉を掛けている。田中ももちろん勝つために攻め込もうとしたのだが、一瞬早く赤岩が握ったわけで、それについて理解もしただろうし、赤岩に対しては自分の選択ミスであるかのような言葉を選んだのだろう。その後も肩を並べて控室に戻りながら、赤岩は田中に言葉を投げかけていたが、田中は何度か赤岩の背中や腕のあたりを優しくポンポン。田中にも当然、悔しい思いはあったはずだが、相手を気遣うように振る舞ったのである。まさに真っ向勝負のレース後!

12R、1着勝負で臨んだ松井繁だったが、大外の原田幸哉がコンマ01のスタートから絞めにかかり、それに石倉洋行と田口節子が抵抗、石倉がその勢いのまま先攻めに出る展開となり、松井は攻め筋を失ってしまった。無念の4着。ピットにあがった瞬間、松井ははっきりと落胆した表情を見せ、悔しそうに身をよじってみせた。こんなふうに感情を見せるのは、松井にしては案外珍しい。

その後、11Rと同じような場面があった。原田が松井に頭を下げに駆け寄ったのだ。原田は2着以上で準優1号艇だった。それを意識しての渾身のスタートであっただろう。それが結果的に内に対して押圧気味になった。原田は結局3着で、準優1号艇を逃して、レース後はかなり悔しそうに対岸のビジョンを見つめている。それでも相手への敬意を含めて、松井に頭を下げる。すると松井はさっと微笑を浮かべながら「行ったな!」と原田に声を掛けたのだった。こちらもまた禍根はいっさいなし! お互い勝負をかけていたからこそ起きた展開。それを知り尽くしている強者だからこそ、相手への敬意も生まれるわけである。

さて、予選トップが決したのは10R。上平真二は2着以上なら地元PGⅠトップ通過となるところだったが、6号艇を克服できずにまさかの6着。得点率順位を下げることとなってしまった。これでトップは池田浩二に決定! 上平がエンジン吊りを終えてヘルメットを脱ぐと、あらわれたのは笑顔。これは上平の敗戦後によくあるパターンで、その表情のまま対戦相手に頭を下げて回っていた。悔しさを隠す笑顔だと僕は見ているのだが、事実、あいさつ回りを終えて控室へと歩を進めた瞬間、顔つきが一気に険しくなっていた。本音は当然こちら。トップの目もあったことを考えれば、悔しさはいっそうつのったことだろう。明日は素敵な笑顔が見られるだろうか。(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 TEXT/黒須田)