BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――激戦で幕開け!

 オープニングから激戦! 4カドから黒野元基がのぞき、締め込みをはかるものの井上忠政が抵抗。119期同士のガチンコ競りだ! しのいだ井上が先まくりに出ようとするも、今度はそこに入海馨が抵抗の構えで艇をこじ入れる。井上は大きく弾かれ後退。その間隙を、差しに転じた黒野が突く! 若者たちの戦いは、その激しさが時に爽やかさを醸し出す。いずれにしても、攻めの姿勢はアッパレ!

 ただ、いったん先頭に立った黒野は、レース後には疲れた表情で肩を落とすこととなった。男子勢の攻めや差しを浴びた大豆生田蒼が見事によみがえって先頭を奪ったのだ。黒野はその後も猛追を仕掛けるが、大豆生田はすべてしのぎ切る。黒野に疲労感が漂うのは致し方ないところだ。

 一方、勝った大豆生田はそれほど歓喜をあらわさず。出迎えた関東勢も淡々と今節登番最上位の先輩を出迎えるのみだった。実は大豆生田はこれがGⅠ初勝利。水神祭! というのを、男子の後輩たちは知らなかったのではないか。120期台の後輩にとって大豆生田はけっこう先輩。とっくにレディースチャンピオンなどで水神祭を済ませていると思い込んでいて不思議はない。そして、大豆生田は水神祭を行なわない情報が……。全選手のなかでも抜けて先輩の大豆生田には誰も強要できないもんなあ(笑)。実際どうなるかは、「本日の水神祭!」記事があるかどうかでおわかりいただけると思います。

 かなり沈んだ様子だったのは入海。先攻めに出たはずが実らず、道中は3番手から前を追ったが3周1マークで失速して着を落としてしまった。さらにはレース後に競技本部から呼び出されてもいた(黒野も)。減点はとられなかったが、1マークで張ったことに何か注意があったかも。

 井上もなんだか疲れた様子であった。1マークではシンガリまで後退し、しかし追い上げ追い上げ、最後は失速した入海を抜いての3着。着を上げていったのは見事だったと思うが、1マークでは締められ張られ、それでも大敗は逃れて、そりゃもう疲れるレースだったはずだ。追い上げが利いたのは、やはりエース機パワーによる部分もあっただろうか。どこまでが機力によるものかは難しいレースではあったが、こうはんの4号艇を楽しみにしていよう。

 2Rも見応えのあるレースだった。スリットから出ていったのは西橋奈未。果敢に攻めようとしたが、インの澤田尚也が握り返す気配を察したか、まくり差しに転じている。しかし減速したところを藤田俊祐がスピードのある差しで追い抜いていった。2マークでは豊田健士郎に捌かれ、さらに道中は着を落として6着。これはかなり悔しい大敗ではあるまいか。

 逃げ切った澤田がまず西橋のもとに駆けつけて頭を下げているが、ぜんぜん、ぜんぜんと言いながら、1マークの自身の判断、ハンドルが正解だったのか悩ましいところだったはずだ。澤田は逃げ快勝だが、西橋だけでなく、すべての選手のもとに自分から出向いていって頭を下げ回った。後輩である藤田に対しても。

 豊田健士郎は、3着とはいえ、外枠からさすがの捌きを見せたと思うのだが、レース後はむしろ不満そうな表情なのだった。寄り添ったのは同期の野中一平。二人で深刻そうな顔をし合いながら、何事か語り合う。その様子を見ながら、この若手メンバーに入れば豊田健士郎も貫禄が違うのだな、と思わざるをえなかった。(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田)