BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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福岡ダービー準優ダイジェスト

サプライズ一撃差し

 

10R

①松井 繁(大阪)12

②白井英治(山口)18

③山崎智也(群馬)14

④辻 栄蔵(広島)12

⑤原田幸哉(愛知)08

⑥久田敏之(群馬)12

 

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 ブラックシャークの激差しが、王者の内懐に突き刺さった。見た目には、かなりのサプライズ差しだった。スリットから白井だけがやや凹み、すかさず智也が絞め込む。さらに、窮屈な白井を横目に勢いよく握った。その引き波が、はっきりと白井のモーターに食い込んでいた。福岡のうねりも込みで、そのまま振り込んでもおかしくない態勢だったのに、そこから松井を捕えきってしまった。松井が智也を牽制して握ったという展開の利もあったかもしれない。だとしても、やはり白井29号機の回り足は秀逸だったと思う。

1着・白井、2着・松井。

 

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 松井の足は、中堅上位の評価がぴったりだろう。1周バック、白井に差されてから後続の辻にも追い詰められていた。それをキュッと絞めるようにしてシャットアウトしたのは流石の一語。2マークできっちりと2番手を獲りきったが、突き抜けるような迫力はなかった。全部の足がほんの少しだけ良さげなバランス型。明日は4カドが見込めるが、スリット同体から自力で攻めきるのは難しい。F2になっては元も子もないので、スタートもそれなりに慎重になるだろう。

 一方、明日は3号艇の白井はどう攻めるつもりか。その方針次第で最終調整が変わるだろう。現状、伸びはソコソコ程度。自慢の回り足を活かすにはスリットから主導権を握りたい=伸びを付けたいだろうが、そこに重きを置くと最大の長所を殺す可能性もある。以外に3コースでは難しいパワーかもしれない。

 

圧倒インモンキー

 

11R 並び順

①池田浩二(愛知)06

②桐生順平(埼玉)15

③坪井康晴(静岡)12

⑤篠崎元志(福岡)13

④齊藤 仁(東京)02

⑥鎌田 義(兵庫)F+03

 

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 ピットアウトから5号艇の元志がシュッと加速し、齊藤と体を入れ替えた。電撃の4カド奪取。おそらく狙っていたのだろう。ここ半年、元志の5コースは14戦2連対と苦戦を強いられている。4コースでは27戦11連対。このデータを見ずとも、「元志の4カド」と聞けば強気の攻めが目に浮かぶ。

 こ、これは……元志のカド一撃があるかも??

 と思ったものだが、実戦では5コースの齊藤が凄まじい踏み込みから一気に元志らを絞め込んだ。これまたかなり意外な「仁の絞めまくり」。開会式で齊藤は「己を変えに来ました」と謎の?初心表明をしていたが、まさに有言実行。人格が変わったかのような獰猛な全速アタックだった。

 ただ、その猛攻はインの池田には届かなかった。池田もコンマ06の絶品スタート。右の視野に齊藤を入れつつ、安定感抜群のターンで軽々と脱出したように見えた。で、混戦模様の1マークからスーーッと2番手に浮上したのは坪井だ。ターン回りから出口の加速感からストレートから申し分のない足。全部の足が強めで、松井のそれをひと回り大きくしたような好バランスのパワーを見せつけた。

 1着・池田、2着・坪井。

 

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 明日2コース想定の池田は、例によって差しきれる足を目指すだろう。現状では白井ほどの回り足はない可能性が高く(今日のレースからは判別できない)、そこに重きを置いた調整になりそうだ。明日の特訓では直線よりもターン回りをしっかりチェックしたい。

 坪井の足は6コースからでも十分に怖い。タイプ的に最アウトからドカーンの一撃まくりは考えにくいが、その気になれば可能かもしれない。実戦心理としてはスリットで覗いておいて、しっかりと展開を突く差しハンドルか。とするなら、今日の魚谷同様2、3着で狙ってみたいパワーだと思う。

 

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 それから……2年前の賞金王シリーズ準優でFを切って以来のSG参戦となったカマギーが、またやってしまった。昨日は予選19位から2艇Fでこの復活の檜舞台が与えられ、今日は自らの勇み足でまたSG戦線から長く遠ざかることになってしまった。嗚呼、もう何と言っていいのやら。昨日、19位のままのほうが良かったのだろうか……。

 

確勝に近い王手

 

12R

①瓜生正義(福岡)05

②太田和美(大阪)09

③芝田浩治(兵庫)10

④湯川浩司(大阪)16

⑤笠原 亮(静岡)13

⑥魚谷智之(兵庫)15

 

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 池田がコンマ06なら、瓜生はコンマ05。直前でフライング事故があっただけに、この05という数字は絶賛に値する。スタート勘も良さそうだし、出足系統にも信頼を置きはじめているのだろう。つまりは本気モード全開。明日も1号艇であることを踏まえると、100点満点のリハーサルでもあった。

 このレースは1マークをしっかり回って瓜生の一人旅。代わって2着争いが熾烈を極めた。芝田・魚谷の兵庫コンビvs太田の近畿バトル。少しだけ優位なポジションの芝田を太田が追い回し、さらにターンマークごとに魚谷がしつこく絡み付く。そんなスリリングなボートチェイスが丸ごと3周繰り広げられた。惜しかったのは魚谷で2周1マーク、最内からまとめて差し抜けるような必殺ターンを見せたが、太田がこれを巧みに絞めて失速させた。道中のパワー評価としては魚谷、芝田、太田の順だと思う。芝田はしっかりした足取りで、最後まで太田の追撃を凌ぎきった。

 

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 1着・瓜生、2着・芝田。

「瓜生のパワー評価は、正味のパワーなのかターンスピードに拠るものなのか非常にわかりにくい」

 何年も前からの私の口癖(グチ)なのだが、今節は久々にその斟酌に苦しんでいる。初日から「あまり良くない」「しっくりこない」など、瓜生の口からやや弱気なコメントが続いた。瓜生はあまり泣かないタイプなので、私は「よほど悪いのか」と思ったものだ。が、実戦を見る限りそこまで悲観するほど劣勢には見えない。「中堅上位くらいはありそう」かもと思いつつ、はっきり断言できないまま今に至ってしまった。とある元SGレーサーの口癖は「展示での瓜生のターンは良く見えすぎるから、正味のターン足は3割引きで評価している」で、私の見立てを30%引くなら中堅ど真ん中なのかもしれない。

 

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 こんな塩梅だから明日も正確な見立てができるか不安ではあるのだが、優勝戦のメンバー的に言えることがひとつある。

――スリット同体なら、外から突出して激しく攻めそうな選手は見当たらない。

 唯一怖そうな坪井は、おそらく6コース。よほどの絞めまくりじゃない限り、インの瓜生までは届かないだろう。西島や深川がいないのも、もちろん好材料。むしろ、準優の湯川(不発だったけど)の方がはるかに脅威だった気がするな。つまりは、枠なり3対3からの楽インが見込める明日の瓜生は、よほどスリット隊形が乱れない限りは負けるべき要素が少ない。穴党の私でも、そう思わざるをえない。うん、たとうば明日の枠番が

①瓜生②白井③坪井④池田⑤芝田⑥松井

だったりしたら、まったく違う見解になるのだけれど。(photos/シギー中尾、text/畠山)