BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――トライアルの空気

 

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 短期決戦であるがゆえに、調整のピッチがいきなり早くなる、というのはグランプリもクイーンズクライマックスも変わらない。今日は気候がすっかり変わり(雨→快晴、多湿→乾燥、温暖→寒冷)、前検とはまったく違う条件になって、もはや昨日の感触はアテにならなおさらである。

 整備室を覗くと竹井奈美が本体を割っている。クイクラ組にとっては初日、しかもまだ1走もしていない段階での本体整備だから、通常の6日間開催に当てはめてみれば、相当に早い着手と言えよう。整備室には日高逸子、山川美由紀の姿も。クイクラ経験者のふたりは、今日という日の大切さを身をもって知っている。外枠だから、なお考えることも多かろう。

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 水面には小野生奈の姿があった。今日はかなり気温が下がっており、まさに寒風切り裂く試運転。これはプロペラ調整とセットだから、いったん係留所にボートをつけると、すぐにプロペラを外してペラ室へと走る。冷たい風にさらされた頬は真っ赤だ。しかし大事な戦いのためには寒いなどとは言っていられない。

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 小野がつけた係留所の隣には、中谷朋子のボートがあった。グランプリでは、辻栄蔵の“ギリペラ”の件を何度か書いたが、女子版はこの人。4年前の大村クイクラ時の調整→試運転と駆け回る姿は実に印象的だった。検査員さんがチルト角度を聞くために、走る中谷を追いかけるシーンもあった。もちろんこのときだけでなく、レディースチャンピオンでも中谷はとことんペラ調整を行なってレースに臨む。今日もそれを朝からやっているわけで、2Rが終わったあとには案の定、ペラを手に係留所へと降りていった。この繰り返しが、このあともまだまだ続くわけである。

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 とまあ、とにかく12人全員が忙しそうで、まさにトライアルの空気が漂っている。シリーズ組も懸命に作業などに走り回っていて、勝負のための準備を怠りなくしていることには違いないのだが、やはりクイクラ組の醸し出す雰囲気は異質だ。大一番感は否応なく伝わってくる。そんななかで、寺田千恵が松岡俊道さんと“反省会”をしているのには笑った。今朝はトライアル組の公開インタビューが行なわれたが、気心知れた二人は絶妙な掛け合いを見せて、笑いをとっていた。しかし、ふたりとも自己採点が辛いようで、あそこはもっと突っ込むべきだったとか、でもあそこは面白かったと振り返り合っていたのだ。漫才コンビがステージ後に話し合っているみたいでした(笑)。テラッチももちろん忙しく調整をしているが、皆勤賞だけあってさすがに余裕も忘れない。やはり貫録が違うと思わされるわけである。

 

<シリーズ組>

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 三浦永理がそこにいることに、どうしても違和感を覚えてしまうのである。12人のなかに三浦の名前はない。なのに、平和島のピットに三浦はいる。異常事態に思えてならないのだ。昨年まで皆勤賞だった初代クイーンが、今年は出場を逃したということを僕自身が受け止め切れていないんでしょうね。本人も来年は絶対に、との思いがあるはずだ。

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 平高奈菜も、実際は去年一昨年と連続出場しただけに、またSG等での走りも見てきているだけに、シリーズを走っていることに違和感がある。三浦や平高でさえ12人に入れない(今節は不出場だけど田口節子も)ほど、女子トップの層も厚いということだ。平高は今日はSGジャンパーを着ていた。やはり意地、ですかね。平高もシリーズ組としてクイクラを目の当たりにしながら、思うところはいろいろあるだろう。(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田)

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長嶋万記の雰囲気がやけによく見えました。気合をのぞかせつつ、透明感もあるというか。もちろん調整に忙しそうでした。