●4R
復活戦、まず1着となったのは興津藍。インからの逃げ切りで、抽選運を活かした格好だ。出迎えた田村隆信や菅章哉と笑顔を交わし合う場面はあったが、そこまで高揚感や会心というものは伝わってこないレース後なのだった。
興津はトーナメント6着。ファイナル行きの可能性はもちろんゼロではないが、A2級でもあり、かなり不利な立ち位置(今回から、セミファイナル2着、復活戦1着のトーナメント得点が同点の選手に関しては、抽選ではなく選考順位上位がファイナルに勝ち上がることになった)。仮に復活戦をすべてトーナメント6着選手が勝ったとしても、たとえば柳沢一あたりが勝ったら、その時点で敗退決定だ。なかなか意気が上がってこなくても仕方ないところか。
勝てなかった選手たちは揃って敗退が決定するのが復活戦。入海馨はかなり沈痛な表情で山本寛久と話し込んでいた。最終日は1着選手にはもれなく副賞金が与えられるので、そちらを目指して明日もファイト!
●5R
4カドの大山千広が好発から内を絞めてまくりにいったものの、イン鈴谷一平が反発して競りの格好に。大山が1マーク手前でやや躊躇したのか、落としたところを鈴谷が見逃さずに先マイし、接触した格好だ。レース後、ピットに戻ると鈴谷はまず大山のもとに向かい頭を下げた。同期ではあるが、そのあたりの礼を欠かすことはない。もちろん大山は右手をあげ、禍根を残してはいない。これが1着にしか意味がない復活戦というもの。お互いが勝利だけを求めて生まれた展開ということをよく認識しているのだ。
その展開を突いたのが坪井康晴。坪井はトーナメント4着だったから、この時点で興津の勝ち上がりが消えた。また、6~7Rの4着選手では中島孝平以外はA2級選手。選考順位では中島のほうが坪井より上で、復活戦2走を残してファイナル6号艇の枠はぐっと縮まったことになる。中島は3号艇、坪井は有利な立場でこの戦いを終えたと言えるだろう。
そのあたりをどこまで把握していたかはわからないが、ピットに戻った坪井の目は、思い切り細くなっているのだった。展開が向いたツキもあったから、そのあたりも込みの笑顔だったか。ちなみに、エンジン吊りを待つボートリフト前では、萩原秀人が中島の肩に手を当てて、何事かを説明しているようなシーンもあった。萩原はわかっていて、中島に状況を教え、空気を入れていた!? いずれにしても、坪井はその中島の結果を待つことになった。
●6R
中田達也が5コースからあざやかにまくり差して快勝。中田はトーナメント4着だったから、前回までのルールならファイナル行きの可能性があったのだが……。そのあたりについては中田も知っていたのだろう、レース後は勝ったというのにどこかせつない表情。笑顔らしい笑顔は最後まで見ることができなかったのだった。出迎えた西山貴浩も「惜しい」と慰める。うーん、やっぱり抽選があったほうがよりエキサイティングになると思うんだけどなあ……と、テンションが上がらない勝利者を見ながら痛感した次第であります。
●7R
ファイナル行きの可能性が残っていた中島孝平は2着。無念の敗退である。状況がどうであれ、復活戦はまず勝たなくてはならないのだから、2着では肩を落として当然。控室へ戻る足取りは、とぼとぼとしたものに見えてしまったのだった。
勝ったのは辻栄蔵。2日続けて1号艇を引き、シンガリに敗れた初日の雪辱を果たした格好。勝っても勝ち上がりが望めない立場ではあったが、まずは安堵したことだろう。ただし、勝っても敗退という事実はあるわけで、かなり淡々としたレース後ではあった。
そんな辻に、パチパチパチ!と大きな拍手を送ったのは、やっぱり坪井康晴。辻が中島を押さえて逃げたことで、ファイナル行きが決定したのだ。辻さん、ありがと! そんな拍手でありました。坪井は住之江大会では、復活戦1着ながら抽選で敗れてファイナル行きを逃している。今回はかなりの時を経て、そのリベンジを果たしたことになる。大会初の復活戦組からの優勝、なるか!(黒須田)