BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――おめでとう!

 西橋奈未、水神祭! ここまで落水あり、大きな着ありと苦戦していた西橋だが、1号艇が回ってきた1RでSG初勝利をあげた。今節は同期はもとより、福井支部も皆無。まさに単身での参戦となっているわけだが、歓喜とともに出迎えたのはやはり女子選手たち。近畿地区の遠藤エミはもちろん、同地区の出走がなく本来はエンジン吊りに参加する必要がなかった守屋美穂や平山智加もリフト際に出てきて西橋を称えた。また、2着に敗れた西山貴浩も悔しさを押し隠しつつ、おめでとうと声を掛けている。西橋はそうした声にホッとしたような表情を見せていた。
 その後がまた凄くて、報道陣が鈴なり。カメラマンはずらりレンズを向け、記者さんたちもまるで優勝者に対するかのように西橋を取り囲む。これがSGで初勝利をあげるということ! なお、水神祭は10R終了後に大時計前で行なわれるとのこと。これから多摩川に来られるという方、西橋が仲間に祝福される場面を見ることができますよ!

 先にも書いたが、ピットに戻ってきたばかりの西山貴浩は、やっぱり敗れて悔しそうだったのである。今日も森高一真が寄り添って、苦い顔つきで言葉を交わしている。それでも、西橋に歩み寄ったときには穏やかな顔だった。そして祝福。うーむ、男前だぞ、西山貴浩! 9Rはまさに一日早い勝負駆けになりそうで、健闘を祈らずにはいられない。

 悔しそうといえば、2Rの桐生順平。昨日につづいての5着と、なぜか冴えない結果となっている。エンジン吊りが終わり、茅原悠紀に声をかけられると、はっきりとわかるくらい、桐生は大きく首を傾げるのだった。まるで思い通りにいかない結果、そして足色なのだろう。後半10Rで大敗すると、早くも準優出が厳しい状況になってしまうだけに、このあとも急ピッチの調整を進めるはず。

 茅原もまた、不本意な結果の連続に渋い表情なのであった。茅原もまた、後半12Rの結果次第では絶望的な状況になりかねない。しかも12Rは6号艇である。というわけで、茅原と桐生の会話はかなり重苦しい雰囲気に見えたのだった。

 その2Rで勝ったのは丸野一樹。先に回って後続を寄せ付けない完勝劇で、だからレース後はかえってサバサバしていたのであった。ただ、手応えはかなり良さそうで、ウィナーインタビューを終えた後、「やっぱりいいです」とキッパリ言った。特に回り足が好感触のようで、これは旋回で勝負する丸野の生命線。後半は菅章哉が4号艇にいる5号艇で、戦略もおおいに気になるところだが、しっかり勝負できる足にはなっているようだ。

 2R3着は石渡鉄兵。レース後はかなり忙しそうにしていて、何かと思えば次は6Rと間隔が短いのであった。6Rは1号艇だから、確勝を期したい一戦でもあり、調整や試運転のため、少しの時間も惜しんでいる様子である。4R発売中にはスタート特訓もあるので、3R発売中にはボートを下ろしておきたいという事情もあったのだろう。断固たる決意で戦う3日目!

 さてさて、係留所の近くで作業する選手の様子を眺めていたら、背中から走ってくるような音が聞こえてきた。振り向くと毒島誠。これは、毒島の導線に俺が邪魔になってる!? 我ながら軽快にさくっと道を開けたのだが、寄る年波には勝てないのかちょっとふらついた。すかさず、毒島が「ああっ、すみませーーーーーん!」。そう叫びつつ颯爽と駆け抜け、係留所へと向かったのだった。いやいや、妙なところに突っ立っていたこちらこそすみません、ですよ! ほんとブスちゃん、いい人!(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田)