スリット隊形の明暗
10R 並び順
①前田紗希(埼玉) 20
②川井 萌(静岡) 08
③實森美祐(広島) 02
⑥遠藤エミ(滋賀) 08
⑤山口真喜子(長崎) 07
④堀之内紀代子(岡山)22
堀之内がチルト3度、山口が1・5度。これだけで波乱の匂いがぷんぷん漂うレースではあったが、現実の波乱は最内コースで発生した。インコース前田のドカ凹み。コンマ20は「ドカ遅れ」と呼ぶほどではないのだが、外の川井がコンマ08、その外の實森がコンマ02!では勝機が薄い。1艇身ほど出し抜いた2コース川井が、情け容赦のないジカまくりで一気に突き抜けた。最近のカワモエの勢い、リズムの良さがまんま水面に投影された圧勝劇でもあった。
「(1マーク)回った感じは良かった。しっかりサイドが掛かって押してくれました」
インタビューでの声も弾みっぱなし。最大の勝因はスタート勝ちとして、本人も自画自賛したターン回り~押し足は、準優でもトップ級と見積もっている。本人の表情を見ると、その部分がさらに仕上がった印象がある。
ただ、その後のパワー=行き足から伸びにかけては、かなり平凡な部類と見ているのだがどうだろうか。そのあたりの長所短所は、明日の枠番によっても響き方が大きく変わるはず。11R以降を観戦しつつ、同時に川井萌のV確率もやんわりと脳裏で計算しておきたい。
一方、肝心の2着争いは混戦ムード。川井まくりに連動した實森、4カドからぶん回した遠藤、アウトから最内を差した堀之内らが出口に殺到したが、パックでアタマひとつ抜け出したのが遠藤だ。1マークのリプレイを見るに、攻めっ気の強い實森が川井に突っかけすぎた感がある。ハナから差しに徹していれば、おそらくバック直線で遠藤を抑えきっただろう。コンマ02という突出タイミングが、逆に仇となってしまったか。ボートレースはつくづく難しい。
直線でアドバンテージを得た遠藤が間違えるはずもない。2マークで實森をガッチリ牽制しつつ、回り足の甘い堀之内を先に旋回させ、激辛の差しハンドルで2枚目のファイナルチケットを取りきった。パワー的に言うと、バック直線で實森をグイグイ突き放した直線足に好感が持てる。實森がかなり劣勢だったとしても、明日への武器になりそうな行き足~伸びではあった。結果論だが、減点がなければ予選4位だったエミ26号機。同じく外枠の明日とて、1ミリたりとも侮ることはできない。
進撃の22歳
11R
①浜田亜理沙(埼玉)18
②渡邉優美(福岡) 23
③井上遥妃(徳島) 21
④平川香織(埼玉) 35
⑤高田ひかる(三重)27
⑥平山智加(香川) 24
こちらは高田がチルト2度で優出アタック。スタ展では5コースに入った平山が、「ひかるちゃん、行ってね!」とばかりにマーク策を決め込んだ。1週間後には地元・丸亀でのオールスターを控える身の上。スタートで無理をするより、こちらが得策と値踏みしたのだろう。
その高田、5コースからじんわり伸びたが、絞めまくるほどの伸び足はない。やや凹んだ4カドの平川と伸び比べをしている間に、1マークは完全に内寄り決着となった。まずはコンマ18ながらトップSの浜田が、しっかり1マークを先制してイチ抜け確定。10Rの前田はコンマ20で惨敗⇔片やコンマ18でイン楽勝というあたり、ボートレースの綾と言うしかない。12Rの細川はどうだろう。
焦点の2着争いも、これまたバック中間あたりであっさりケリがついた。スリットほぼ同体の3コースから豪快に握った遥妃!! 今節の遥妃は平均コンマ08のスタート力でポイントを稼ぎまくったが、この大舞台では控えめのスタートからスピードと気風の良さで優美らの強豪をねじ伏せた。
131期の女子ビッグ優出! これだけで特大の天晴れを授けたいし、とにかくレースっぷりが気持ちいい。ルーキー世代が大舞台で日々成長してゆくシーンを何度か見てきたが、今節の遥妃がまさにその典型だ。怖いものなしのスタートで次々と先輩たちをなぎ倒し、5日目にはスリット同体の真っ向勝負で握り勝つ。
明日は4号艇か5号艇からのチャレンジになるが、もしも4号艇の4カドだったりしたら今節の成長の集大成としてスタートどかーーん×スピード決着での優勝までありえるだろう。もちろん、5号艇の5コースでも怖いけれど。
ズボ差し
12R
①細川裕子(愛知) 01
②関野 文(大阪) 03
③鎌倉 涼(大阪) 06
④宇野弥生(愛知) 03
⑤西橋奈未(福井) 08
⑥小芦るり華(佐賀)09
予選トップの細川がどこまで踏み込めるか。これが最大の焦点と見ていたが、行きも行ったりコンマ01! 思わず実況さんが悲鳴をあげるほどの踏み込みだったが、入ってしまえば大きなアドバンテージ。私はこの“難関”突破でインから圧勝するものと決め込み、外から誰が2番手に来るかを目測しはじめた。
だがしかし、新概念データはイン細川のもうひとつの弱点を指摘していた。圧倒的な差され率の高さ。キワまで踏み込んだ細川は、あたかもデータの正しさを証明するように、早めにターンマークに寄り添い、ハンドルをわずかに切り直し、ターンマークをやや漏らし、それでいて強めに握ってじんわり外に流れた。うーーん、ドッキリスタートの動揺があったのか。それとも、細川の弱点そのものがいっぺんに噴出したのか。
流れた細川を横目に、2コース関野が冷徹な差しハンドルを入れた。出口で舳先が入る。その後のストレート足はまったくの五分。マウントを取った関野は、外の細川だけを牽制して走る。2マークも細川を警戒した関野がターンマークをやや外しながら先取りし、怖い先輩の追撃を退けた。
コンマ01の予選トップを差し抜いての完勝。
こう書くと、関野19号機のパワーが節イチ級と思われるだろうが、私はそこまでとは思っていない。1マークの攻防は先に書いたとおりだし、先頭に立ってから細川を突き放すほどの迫力は感じなかったし、上りタイムも平凡なものだった。明日は3号艇からデビュー初Vを目指す関野だが、そう簡単にクリアできる3号艇ではない、とも思っている。
2着=明日の4号艇に甘んじた細川も同様だ。細川には伝家の宝刀「4カド絞めまくり」という必殺技があるが、スタートを踏み込み、さらに水準以上の伸び足があってこそ。今日のボートチェイスを見る限り、どこを切り取っても胸を張れるほどの舟足はなかった、と値踏みしている。(photos/チャーリー池上、text/畠山)
12R優勝戦
①浜田亜理沙(広島)
②川井 萌(静岡)
③関野 文(大阪)
④細川裕子(愛知)
⑤井上遥妃(徳島)
⑥遠藤エミ(滋賀)