BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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準優ダイジェスト

怪獣5号、吠える!

10R
①末永和也(佐賀・124期)10
②澤田尚也(滋賀・121期)07
③井本昌也(山口・120期)11
④板橋侑我(静岡・118期)15
⑤井上忠政(大阪・119期)07
⑥中村日向(香川・122期)05

 でででで、出たーーー! まくり大怪獣♂タダマサの5コース一撃まくり!! F持ち&スリット足も心もとない板橋パイセンを容赦なく飛び越え、そのまま人気の内3艇を丸呑みしてしまった。昨日の♀シッキーといい♂タダマサといい、浪速のまくり怪獣はガチで怖いな。

 これで明日の忠政は①~③のどれかが約束されたが、まずまず③が濃厚か。だとするなら、この怪獣は「3カド」という新たな必殺アイテムを召喚する可能性があるな。なんにしても、穴党にとって楽しみな爆弾が明日の内枠に埋め込まれることになったわけだ。ムフフフフ♪

 準優のキモ、2着争いはなかなかにビミョーかつ緊迫した攻防になった。タダマサまくりにアウトから連動した日向vsまくられつつインで残した末永の一騎討ち。1周バックの位置取りは明らかに末永が優勢で、2艇身差で内から追いすがる日向は真っすぐ2マークに向かう。

 両者の明暗を決したのは、その2マークだったか。内から嫌味をつける日向に対し、末永は全速ぶん回しの抱きマイを選択した。ルーキー屈指のスピードを誇る末永としては自信満々の選択に見えたが、日向もまた卓越したスピードでGIを制したルーキーだ。日向はモンキーの体勢を崩さないままスピーディに応戦し、ぶん回した末永の内にしっかり舳先を残した(末永の激早ターンが前の忠政によって窮屈になったかも)。

 2周ホームはヨーイドンの直線勝負。昨日からかなりアップした日向のストレート足が、末永のそれをわずかに上回っている。突き抜けきれなかった末永は2周1マークもゴリゴリのスピード勝負で競り潰しに行ったが、日向に伸び返された分だけツケマイが届かず、日向がカッチリ大切な2番手を取りきった。

 タラレバを言うなら1周2マーク、優勢だった末永がマイシロのない日向を行かせて差せば、そこで勝負あったはず。結果論としては強気に過ぎた戦法が仇になったが、ルーキーの頂点を決める一戦だからして、どこか清々しい敗着にも思える全速マイではあった。

大器の激逃げ

11R
①中山翔太(三重・130期)  09
②吉田裕平(愛知・117期)  14
③飛田江己(埼玉・128期)  13
④佐々木完太(山口・120期)15
⑤登玉隼百(兵庫・127期)  11
⑥西岡顕心(香川・129期)  14

 百戦錬磨の裕平パイセン、エース機の誉れ高い飛田19号機らをまったく寄せつけず、21歳の中山翔太が唯一のゼロ台スタートから完璧に逃げきった。逃げきってしまった。

 うーーん、なんちゅう心臓の持ち主! さすが130期のダントツ主席、養成所チャンプ決定戦をコンマ06で逃げきり、デビュー11戦目に水神祭を挙げた若武者ではあるな。明日の翔太は①か②かのニコイチ枠番。相棒69号機は初日から29%とは思えないゴキゲンな気配を保っており、もしも①なら今節3発目のイン逃げ×21歳でのプレミアムGI制覇というサプライズな快挙も十二分にありえるだろう。3コースあたりのまくり大怪獣が黙っていれば、だが(笑)

 2着は2コースから意表の?ジカまくりで翔太をつけ回った裕平。最近、記念戦線の準優ではこうした「2コースまくりで2番手確保~2マーク勝負」という【にゃんにゃんにゃん作戦】が流行っている気がするのだがw、今日の裕平もハナから作戦だったかどうか。

 この裕平にゃんにゃんにゃん、結果としては成功と言えるだろう。3コースから正攻法で握った飛田は完全に艇を合わされ「裕平さん、それはないよーー!」みたいにぶっ飛んでいったし、その不穏な流れを見てから動いたダッシュ勢もわずかながら仕掛けが遅れた。2マーク手前は3艇横並びの混戦になったが、外から外へ全速でぶん回した裕平がガッチリと2番手を取りきった。

 この裕平もまた6年前、22歳のときにF2持ちでシリーズリーダー!!というとんでもルーキーなのだが、今日のジカマ作戦はもはやベテランの貫禄すら感じさせる見事な勝負手だった。おそらく機力的には優勝戦に入れば平凡または劣勢な部類だと思うのだが、明日は外枠であっても美味しいお馬さんが内側に控えているはず。その怪獣みたいなお馬さんに乗って、パカパカと頂点まで駆け上がり、なんて脳内レースが12R前から浮沈しているのだが、どうだろうか。

貫禄のエース逃げ

12R
①新開 航(福岡・118期)11
②高橋竜矢(広島・121期)10
③竹間隆晟(大阪・129期)10
④前田 滉(愛知・123期)08
⑤勝浦真帆(岡山・116期)11
⑥宮田龍馬(兵庫・121期)15

 大本命の新開が4カド滉らの攻撃をものともせずに逃げきった。その安定感は鉄板レベル。118期のデビュー当時は宮之原・板橋・栗城が三羽ガラスとして知られていたが、現状はこの新開が118期のエースとお伝えしていいだろう。

 相棒34号機は31%だし、三島敬一郎の十傑でもないし、昨日は四季にまくられたし、で節イチとは呼べないモーターだと思っているのだが、おそらく出足系統はファイナルでも水準レベルはありそうだ。

 一方のストレート足は中堅に毛が生えた程度なので、明日もイン戦から出足系統を100%生かしきるレースに徹したいところだろう。それを3号艇のまくり怪獣が看過するかどうかは実にビミョーであるけれど(含み笑い)。

 さてさて、肝心の2着争いは、豪快に絞めまくってから機敏なまくり差しに構えた滉vsその攻めにぴったり連動して最内を差した勝浦のバック一騎討ち。内外離れたストレート勝負は、外の滉が半艇身ほど優勢だったか。

 2マーク、内から先に回れる勝浦は直前で落として落として、滉の差し場を消そうと試みた。これで滉がぶん回してくれれば10Rの日向と同様のチャンスがあったかも知れないが、滉の選択は超激辛だった。焦って勝浦に近づいたりはせず、逆に開くだけ開いて勝浦が回りきるのを待ってからスピーディーな差しハンドルをぶち込んだ。最近の滉はまくり怪獣化しつつも、こうした冷徹な捌きは兄弟揃ってすこぶる巧い。一瞬にして勝浦や外からぶん回した高橋を3艇身ほども突き放し、ここで明日のファイナル6PITが固まった。

12R優勝戦
①新開 航(福岡・118期)
②中山翔太(三重・130期)
③井上忠政(大阪・119期)
④吉田裕平(愛知・117期)
⑤前田 滉(愛知・123期)
⑥中村日向(香川・122期)

 うむ、ここまでの原稿の中で何度も匂わせてしまったし、明日の私の◎が誰になりそうか、当欄の愛読者なら手に取るように分かるだろうなww。(photos/シギ―中尾、text/畠山)