BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

尼崎オールスターTOPICS 初日

ブラザーの明暗

 

 

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 7R、篠崎元志が大技を決めた。3カド一撃まくり。勝負師として肝が据わっている男とは知っていたが、まさか初日から渾身の勝負手を繰り出すとは! このド派手なパフォーマンスは、投票したファンへの感謝の証か。それとも投票数で茅原に負けた悔しさの爆発か?(笑) とにかく「篠崎元志、ここにあり」を全国のファンに猛アピールする、実にかっちょいい3カドまくりだった。今日の元志は前半5号艇で2着、後半がこの1着。インが滅法強い尼崎で、1号艇を温存したまま18点をもぎ取ったアドバンテージはでかい。足もしっかりしており、今日の段階で「有力なV候補」と認定していいだろう。うーん、智也もそうだが、「超イケメン篠崎元志のオールスターV」って……憎たらしいくらいに、似合ってるなぁ。

 

 

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 一方、弟の篠崎仁志は、9Rに思わぬ落とし穴が待ち構えていた。インから豪快に逃げて、一人旅ムードの2マーク。油断なのか慎重すぎたか、ややターンマークを外した上にかなりスピードを殺して旋回した。そこに、3艇身後方から地元で気合パンパン吉川元浩の切り返しが襲い掛かる。交わしきれず、外へ外へとぶん流れ。この一瞬の逆転劇で平常心を失ったか、仁志は3周1マークでキャビテーション。笠原亮の転覆を促す形となって、マイナス7の減点を喰った。すんなり逃げきりなら10点という展開から、まさかまさかの急転直下で節間マイナス5点。差し引き15点は痛すぎるが、まだまだ予選突破の可能性は残されている。かなり遠くなった兄の背中をしっかり見据えて、ミラクルな追い上げを見せてもらいたい。

 

ナデシコセブンの逆襲

 

 

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 この仁志の失墜で、大穴1200倍のヒロインに浮上したのが6号艇の寺田千恵だ。バック3番手あたりから、くるりと小回りしただけで一躍先頭に。これには本人も、さぞビックリしたことだろう。テラッチの頭オッズは、612を除いてすべて超1000倍。「尼はインからバカ売れする分、1000倍も出やすい」としたものだが、2マークを回った瞬間にそのウルトラ万シューがほぼ約束されたわけだ。もちろん、最大の要因は「展開の利」ではある。ただ、くるり小回りして力強く前進した足色には、見るべき部分があった。本人も前検から「足は良さそう」と手応えを感じており、明日以降も思わぬ穴を提供する可能性はある。

 

 

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 で、テラッチの奮闘は、続く10Rの女子レーサーにも“伝染”する。このレース、平山智加以外の5人がすべてSGウイナーという厳しい番組だったが、智加ちゃんは3コースから果敢に握って2番手に躍進。そのまま白井英治らの追撃を封じて2着に飛び込んだ。パワー面でもターン出口からのレース足にキラリ光るものがあり、今後への期待が膨らむ2着だった。この尼崎は、男女混合のGIを制した水面でもある。今日は6着2着でまだボーダー圏外ではあるが、パワー&リズムをしっかりキープすれば予選突破もありえると思う。他の女子メンバーも大崩れはなく、魚谷香織、平高奈菜、日高逸子、遠藤エミがすべて5・00~6・00の範囲内。琴奨菊にお姫様ダッコされた小野生奈も6号艇で4着発進だから、巻き返しは十分だ。今後、7人のナデシコたちがどちらに転ぶか……予断は許さないが、今日のテラッチの大金星がそれなりの弾みになる、と思う。

 

両横綱、揃い踏み??

 

 

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 昨日のパワー診断に、少しだけ補足しておきたい。まずは、SS指名の坪井康晴26号機。今日の6Rの展示時計6秒65は出色で、ストレート系は間違いなくトップ級だ。実戦でもスリットからグイグイ伸びていたが、1マークで突き抜けなかったのがやや気になる。私の目にはちょっとしたターンミス(落とし過ぎ?)にも見えたし、回り足にやや重たさがあるようにも見えた。まあ、それは明日への宿題として、とりあえずあれだけの行き足~伸びがあれば、外枠からでも十分に勝ち負けになる。明日からのレースが楽しみでならない。

 

 

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 一方、昨日Aランクに保留した服部幸男11号機は、今日になって非凡なパワーを見せつけた。スリットでやや後手を踏んだものの、1マークまでに伸びるわ伸びるわ。先マイするときには、2コースの濱野谷憲吾をキッチリ1艇身ほど出し抜いていた。展示時計6秒70もかなり秀逸。このモーターの素性は出足系統も強力なはずで、さらに整備がハマれば26号機の双璧のSS級に君臨するだろう。今日のところはS級昇格まで。

 

 

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 それから、数字的にはワースト級の白井英治1号機が、期待をはるかに上回る動きを披露した。ストレートを主体に力強い足取り。智加ちゃんのほうがちょっと良さげではあったが、初日としては及第点を与えていいだろう。3号艇で1着、6号艇で3着となれば、前述した元志同様「Vの有力候補」とお伝えしておきたい。(photos/シギー中尾、text/畠山)