クールランニング
11R
①三浦永理(静岡)15
②田口節子(岡山)26
③山川美由紀(香川)22
④角ひとみ(広島)21
⑤香川素子(京都)
⑥永井聖美(愛知19
本番直前に激しい雨が降り出し、向かい風も吹きはじめた。
スタートに向かう選手にとっては、悩ましい状況変化。スリット。
やはり慎重だった。昨日同様、田口節子の出足が追いつかず
にコンマ26。他の選手もコンマ20前後。
そんな中、インの三浦永理だけが慌てず騒がず、
バチッとコンマ15、1艇身のスタートを決めた。
パワーは十分。遅れた他の艇は、何もできない。
1マークを回って、三浦の10点加算が確定した。影をも踏ませぬ、
クールな逃げだった。
2着は、田口。スタートで後手を踏んだが、
ブイに舳先を擦り付けるような鋭角差しで2番手を取りきった。
あれだけ俊敏に回れたのだから、泣きに泣いていたパワーに光明が差したか。それとも、人並み外れたターンスピードに拠るものか。田口や横西奏恵の場合、この技機の塩梅がよくわからないから困る。
案外だったのが、香川の足だ。スリットから田口に伸び返され、1マークのまくり差しもまったく届かず真横に流れていた。シリーズから繰り上がった永井にも競り負けた。誰と合わせても強めだった前検の面影は、もはやゼロ。このままでは、メイチ勝負駆けの明日も危ない。そして、その香川に最後の最後に抜かれた山川美由紀も、完調にはほど遠いパワーと言えるだろう。角ひとみはストレートは山川と一緒で、回り足を中心とする実戦足がかなり強めだった。
リプ・エスケープ
12R
①日高逸子(福岡)11
②中谷朋子(兵庫)16
③宇野弥生(愛知)09
④寺田千恵(岡山)14
⑤横西奏恵(徳島)15
⑥平山智加(香川)15
日高逸子が、昨日のVTRのような航跡を辿って逃げきった。
スタートも昨日が09で、今日は11。
「インならいつでもこれくらい行けるわよ」とでも言いたげなスタート勘。この人、きっとおそらく絶対に51歳じゃない。
ただ、同じような航跡でも、1マークは昨日ほど
安泰の逃げではなかった。2コースの中谷朋子がやや凹み、
3コースから宇野弥生(昨日と同じコンマ09、さすが)が
鋭い角度でまくり差しを突っ込んだのだ。差しが流れた中谷と
接触しなければ、ズッポリと突き抜ける角度&スピードだった。
しかし、抽選も含めた運勢は、今のところとことん日高にあるようだ。
日高は、明日12Rの5号艇で「3着以内かつ田口に先着」という条件を満たせば、自力でのファイナル1号艇が決まる。
もしも11Rの三浦が3着以下だったら、田口に先着するだけで
1号艇が転がり込む。2度の“予行演習”が生きる。
一方、中谷に張られる形になった弥生は、大差の後方に。
代わって、4カドから差した寺田千恵と
アウト二番差しの平山智加がズボズボと音を立てて進出した。
さらに凄まじい回り足で一気に追いついた中谷も含め、
すったもんだの2~4着争いの末に1-4-6で決着。
この3艇は、それぞれに持ち味を発揮した。
テラッチは回ってからのストレートが抜群。
中谷はくるくる小回りができて、とことんしぶとく食い下がる回り足。
平山はバランス型で、どの部分の足も不満なさげな
軽快な走りだった。それに、気合いも良かった。
昨日、向井美鈴の帰郷~中谷の違反減点のキッカケを作ってしまった27歳。どっぷり沈んで6コースから何もしないまま終わるのでは?
などと思っていたファンも多かっただろうが、
やはりこの娘は根性が違う。
2周1マーク、凄まじい強ツケマイで中谷を引き波にハメる光景を見て、「やはり最初にSGを獲る女子レーサーは智加か」なんて思ってしまった。もちろん、明日の1号艇もメイチで勝ちに行く。“あの時”のように同県の先輩がまくって来たら、パワー差のない今回は張り飛ばしてしまうかも??
宇野弥生はパワー負けではないので、さほど心配はしていない。最後のひとり、『絶対女王』横西奏恵は、「上昇ムード」という情報にはほど遠い足に見えた。得意の5コース全速まくり差しは、サイドがまったく掛からずただ流れただけ……
あの回り足のままでは、2コース差しも入らないだろう。
メイチ勝負駆けの一戦を残し、絶体絶命の苦境に立たされた。
(photos/シギー中尾、text/H)