BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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賞金女王トライアルTOPICS 最終戦

デビルゾーン

 

 

 

 

 

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11R       

①角ひとみ(広島)23

②香川素子(京都)23

③宇野弥生(愛知)24

④三浦永理(静岡)26

⑤寺田千恵(岡山)24

⑥中谷朋子(兵庫)24 

 

 

スタート横一線、きれいに揃った。

と言うより、6人全員が遅かった。昨日の11R同様、

レース直前に風が強くなった影響だろうか。

それにしても、勝負駆けのラストバトルとしては、

あまりにも遅い。もしも私の◎宇野弥生が

3戦連続でコンマ09を決めていれば……やめよう。

もう終わったことだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

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コンマ00でもコンマ50でも、

スタートが揃えばイン水域が有利になる。

外から誰も仕掛けられず、角ひとみが逃げ、

香川素子が順走した。さらにパワーにモノを言わせて

三浦永理ががっちり3番手を取りきり、

残りの3艇は千切り捨てられた。1-3-4。

レースとしては、もう書くべき要素がない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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ただ、千切り捨てられた3艇の中に、

ひとり決死の思いで走っている選手がいた。

寺田千恵。4着ならファイナル進出有望、

5着なら絶体絶命のピンチ。天国と地獄の裂け目でもがいていた。

が、回り足の強い中谷朋子に、どうしても届かない。

追走して追走して追走して5着。師走の寒風に

首筋をさらした状況で、12Rを待つことになった。

 

 

 

 

ライン・コンフュージョン

 

 

 

12R       

①平山智加(香川)08

②横西奏恵(徳島)09

③山川美由紀(香川)09

④田口節子(岡山)15

⑤日高逸子(福岡)17

⑥永井聖美(愛知)23

 

 

 

 

 

 

 

 

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最後の最後のトライアルに、ふたつの勝負駆けが残された。

ひとつはシンプル、ひとつは複雑。

まず、優勝に限りなく近づくファイナル1号艇争奪戦。

11Rの三浦が3着に敗れたため、これはもう

日高逸子VS田口節子の直接対決に絞られた。

日高が先着すれば文句なしに日高。田口先着の場合は

日高の着順によって順位が決まるのだが、

どちらも「相手より先着する!」という強い気持ちで

臨んだことだろう。 一方、混迷を極めたのが

優出ボーダー争いだ。11Rを終えての当確選手は

日高、田口、三浦、角の4人。残りの2席を、

4人の選手で争うことになった。その勝負駆け状況を

簡潔に記しておこう。

 

 

 

 

★香川素子 20pt確定

★寺田千恵 19pt確定         

① ②  ③ ④ ⑤ ⑥

★山川美由紀 23 22; 20 19 18 17

★横西奏恵   22 21 19 18 17 16

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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こんな塩梅である。12Rに出走するふたりには、

自力当選の権利が残されていた。山川は3着、横西は2着だ。

ともに枠番通りの着順を守りきれば、ファイナル進出が決まる。 

12秒針が回った。トップスタートは、初戦の妨害失格で

すでに赤信号のイン平山智加。女子王座はファイナル1号艇で

2度敗れた平山だが、今日は違った。コンマ08は天晴れの一語。

当然、ボーダー勝負駆けの横西、山川も踏み込んだ。ともにコンマ09。それぞれに思いを秘めたスロー勢が、

ダッシュ勢を圧倒したかに見えた。このまま平山が逃げきれば、

大きな自信につながる。横西が差して2着、

山川が追随して3着なら、ともに大舞台へと向かうことになる。

四国トリオのすべてに、笑顔がもたらせる結果になる

(もっとも、山川と横西がどこまで状況を把握していたか

定かではないが)。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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1マーク。平山がキッチリ逃げた。

女子王座延べ10Vに及ぶ女傑たちを従えて、

颯爽と逃げきった。少し遅れて横西が差し、山川が握った。

このまま1-2-3で大団円か……。 

だが、この四国トリオの上位独占を分断する刺客が、

岡山から瀬戸大橋を渡って(笑)やってきた。

4カドの田口節子。この全速差しのスピードは凄まじく、

一瞬にして横西と山川を置き去りにした。

さらに、田口の背後から日高も三番差しでやってきた。

そう、このふたりにも、のっぴきならない事情があるのだ。

バック直線で、ふたつの勝負駆けがゴッチャゴチャの

混線状態になった。

 

 

 

 

 

 

 

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2マーク、田口2着、日高3着では

トップが逆転してしまう日高が、

かなり強引な差しハンドルを入れてキャビテーション。

この瞬間に、田口のファイナル1号艇が決まった。

一方、どうしても3着が欲しい山川はこれまた強引に

握って艇が流れた。単なる先入観かもしれないが、

私の目にはそう映った。横西が、そんなふたりを尻目に、

最内を差し抜けた。冷静な判断だったが、

これは、あくまでも3着争いなのだ。 

1着・平山、2着・田口、3着・横西、5着・日高、6着・永井。

 

 

 

 

 

 

 

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田口は文句なしのトップ当選。開会式の宣言

「二度あることは三度ある。初代賞金女王になりますっ!」の

有言実行を、ぐいと引き寄せる2着だった。

そして、ボーダー争いは、20ポイントの香川が文句なしの当選。

“第6位”は、山川と横西と寺田が19ポイントで並んだ。

この中から明日の12Rの権利を得たのは

……上位着順が多かった山川だった。

 

 

 

(photos/シギー中尾、text/H)