今日は8Rからシリーズ準優が始まる。
一般戦は7レースしかないから、
たとえば1R出走の西村拓也は2走目が4Rと中2レース。
他にも同様の選手はいて、レース間はなかなか忙しい一日だ。
その西村は、見事にSG初1着。
田中信一郎に「いきなりやるか!」と水神祭を振られたが、
これはさすがに時間がなさすぎ。
湯川浩司が「寒くて体温が奪われるし、着替えも忙しいし、
体力消耗しすぎですよ」と笑い、
西村は「4後でお願いします!」。
もちろん田中ももともとそのつもりで、おかしそうに笑った。
それにしても、その西村のボートを運ぶメンバーの
なんと豪華なことよ。松井繁、田中信一郎、太田和美、湯川浩司、
丸岡正典、石野貴之。全員がSGウイナーで、合計27冠。
そのスター軍団が自分のボートを運んでくれているわけだから、
西村も恐縮であろう。
そして、この輪の中で戦うことができるというのは、
大きな大きな糧である。
西村は必ずまた、この舞台に帰って来るだろう。
レースまで時間がある準優組は忙しくないかといえば、
もちろんそうではない。優出への大きな関門に臨むために、
朝から熱心な調整をしている選手も多い。
予選トップの篠崎元志も、早くからペラ調整。
ペラ室に選手の姿があまり見当たらず
閑散としていた時間帯にも、
篠崎のパープルのジャージが目立っていた。
予選トップにも緩めず、ますます万全を期しているという雰囲気だ。
整備室では今村豊がギアケース調整をしていた。
準優や優勝戦の大一番にギアケースを
改めてチェックする今村豊というのは、
日常的な風景でもある。
これが今村のパターンなのだろう。
表情はもちろん明るく、いつも通りの今村豊。
調整を終えて装着する際には、
検査員に冗談を飛ばしてもいて、
やっぱりいつもの今村豊である。
試運転を繰り返していたのは、湯川浩司と石野貴之の大阪コンビ。
これに決定戦組の丸岡正典も合流していて、
装着場では手応えを確認し合う場面を何度か見かけている。
湯川は気合が高まってきたという印象もあるぞ。
目の力が、昨日までに比べると
明らかに力強くなっているように思えたのだ。
そうしたなか、服部幸男はゲージ擦り。さ
しあたって急いで調整する箇所はないということか。
隣では田中信一郎が笑顔で話しかけており、
服部も穏やかに目を細めながら、
ゲージからは目を離さず手を動かし続けた。
うむ。服部幸男はほんと、何をしていても絵になりますな。
(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 TEXT/黒須田)