BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

準優進出戦ダイジェスト

 

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'5R

①長谷川巌(山口)17

②篠原俊夫(香川)22

③島川光男(広島)16

④中村裕将(埼玉)17

⑤新良一規(山口)22

⑥山﨑昭生(香川)33'

 

 

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 3コース島川の攻めとホーム追い風を味方に付けて、4カドの中村が一撃のまくり差しを決めた。2着はインから握って回った長谷川。島川の攻めが見えたから仕方がないが、やはり今日の唐津水面は、握りすぎると流れてしまう。それでも楽々2着に残した足は、余裕の上位レベルといえるだろう。3着は道中でしぶとく立ち回った新良。明日も外枠だが、自慢の伸び足を生かせる展開になれば優出もありえる。

1着・中村、2着・長谷川、3着・新良。

 

6R  進入順

①倉谷和信(大阪)21

⑥西田 靖(東京)18

②西島義則(広島)15

③吉田隆義(愛知)19

④長岡茂一(東京)07

⑤山崎 毅(福岡)16

 

 

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 西田のピット離れがやはり素晴らしい。スタート展示ではあっという間にインコース。が、本番では倉谷がインを死守して16/23//45の2対2対2の隊形に落ち着いた。スリットから一気に飛び出したのが、5カドの長岡。唯一のゼロ台スタートで、そのまま内4艇を呑み込む勢いだ。が、そこからの西島の伸び返しが半端なかった。ぐいぐい伸びて、長岡に追いついてしまう。凄まじい行き足。この行き足は、あるいは節イチかもしれない。自慢のパワーで長岡をブロックしつつ、軽々と内2艇をまくりきった。

 

 

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 ただ、今日の唐津水面はまくりより差し。西島に連動した長岡が、迷わずまくり差しを放つ。5Rの中村同様、突き抜けても不思議のない割り差しだ。だがしかし、まくってわずかに流れた西島が、ここでもぐいぐいぐいぐい伸び返し、長岡の舳先を振り切きってしまった。昨日の落水の影響をまったく感じさせない気合&テク&パワーで、西島が圧勝した。3着は、まくられながらもしっかりとした足し取りで立て直した倉谷。明日は外枠だが、前付けの武器を持つ倉谷だけに、この安定感抜群の回り足は不気味だ。

1着・西島、2着・長岡、3着・倉谷。

 

'9R

①亀本勇樹(広島)33

②大嶋一也(愛知)19

③原田順一(福岡)20

④北川幸典(広島)24

⑤新美進司(愛知)24

⑥渡辺千草(東京)27'

 

 

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 64歳、『永遠の博多っ子アイドル』原田順ちゃんが、またしても大仕事をやってのけた。大嶋のまくりに連動して、若々しいまくり差し一発。「ここ4、5年の名人戦でいちばんいい」という自慢のパワーをフル稼働して、大魚を釣り上げた。私の2-3舟券は真裏になってしまったが、お見事、順ちゃん。明日もシリーズの台風の目として大暴れしてくれそうな気配だ。

 2着は自力でレースを作った大嶋。追い風がなければ、おそらく順ちゃんの差しをギリギリ凌いでまくりきっていたと思う。パワーは中堅上位か上の下あたり。全体的に順ちゃんの方が強めではあった。この2着で明日はセンター枠。ピットアウトからどこまで攻めるか、は明日の仕上がり次第だろう。

 

 

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 3着はコンマ33のドカ遅れからミラクル追い上げを決めた亀本。3番手だった千草にあの手この手でにじり寄り、最後の最後にアタマ差ほど逆転した。千草エンジンの素性を考えれば、亀本の足も明らかに上位級。大逆転で滑り込んだ流れも含めて、明日は大穴の立役者になるかも? 一方、あと一歩で準優を逃した千草……本当に惜しかった!

1着・原田、2着・大嶋、3着・亀本。

 

'10R

①今村 豊(山口)08

②熊谷直樹(東京)11

③岡  孝(徳島)11

④松野京吾(山口)15

⑤瀬尾達也(徳島)13

⑥日高逸子(福岡)13'

 

 

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 ものが違った。前検でペラのひび割れが発覚し、新ペラを叩き上げて予選3位通過。少し前までF2の足かせに苦しんでいたのに、コンマ08発進。そして、熊谷のジカまくりを完璧にブロックして、あとは悠々の一人旅。天才・今村豊は、やはり今節も天才だった。日々少しずつ良くなっているパワーは、今日のところは中堅上位レベルだろうか。ただ、本人がもっとも大切にする行き足は上位級で、今村らしいレースができる仕上がりと言えるだろう。

 

 

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 差してすんなり2着を取りきった松野は、実になんとも怖い存在だ。強い追い風(バック向かい風)が吹く今日の水面で、展示時計が6秒77。他の選手が軒並み6秒9前後だったから、これは速い。明日もセンター筋からのレースになりそうで、この伸びが本物なら同県の天才を大いに脅かす存在になるだろう。

 3着の岡も素晴らしいパワーを披露した。道中5番手からターンマークごとに同県の瀬尾、女傑・日高にじわじわ詰め寄り、3周1マークまでにふたりを競り負かしてしまった。恐るべき回り足。おそらくこの部分は節イチだ。明日は6号艇での立ち回りになるが、この怪物級の回り足が生きる展開なら、2着は普通にありえると思う。

 1着・今村、2着・松野、3着・岡。

 

'11R

①金子良昭(静岡)22

②西山昇一(愛知)24

③鈴木茂正(東京)16

④平岡重典(大阪)19

⑤山室展弘(岡山)26

⑥北川敏弘(佐賀)20'

 

 

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 内4艇が山室の前付けを許さず、最終隊形は12345/6の枠なり。これなら金子、西山の一騎打ちかと思いきや、ふたりがスタートで後手を踏み、3コースの鈴木茂正が伸びなりのまくりを決めた。展開の利も大きかったが、スリット半艇身から迷わず締めに行ったのは心身ともに充実している証。最近のモショーは、かなり強いのである。準優の中ではダークホース的存在なので、明日も舟券的な期待値は高いと思うぞ。

 

 

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 2着の金子は、全部の足が上位のバランス型。茂正にまくられ、ツケマイに来た西山を張り飛ばすというふたつの大きなロスがあったのに、すぐに態勢を立て直した。そして、追いすがる平岡を振り切るや、あとは引き離す一方だった。安定感があって、しかも力強いパワーだ。

 今日、いちばん驚いたのは西山の追い上げだった。茂正まくり、金子ブロックのWパンチを浴びてバック6番手。誰が見ても準優絶望のポジションだった。そこから1周2マークでひとり抜き、2周1マークでまたひとり抜き去り、4番手に浮上する。

 

 

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それでも前を行く平岡とは5艇身ほどの差があったのだが、ぐいぐい差を詰め最終ターンマークの強ツケマイでハナ差逆転したのである。亀本、岡の逆転劇も見事だったが、今日の追撃MVPは西山で決まり。もちろん、回り足を中心に全部の足が良くて実現した大逆転劇だと思う。

1着・茂正、2着・金子、3着・西山。

 昨日は意表のイン奪取で勝負駆けを成功させた山室だったが、今日はさすがに警戒されて何もできなかった。(『競艇好き』さん、丁寧かつ熱のこもったコメント、ありがとうございます。今日はバタバタで難しいのですが、近いうちにこの欄を借りて私なりの思い、解釈、感想等をお伝えします!)

 

'12R

①江口晃生(群馬)+01

②高橋淳美(大阪)06

③落合敬一(長崎)09

④川名 稔(東京)11

⑤泉 具巳(兵庫)09

⑥加藤峻二(埼玉)12'

 

 

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 大波乱は最後に待っていた。予選トップの現名人、江口がまさかまさかのフライング。史上初の名人戦連覇の夢は、一瞬にして幻となった。

 一躍、バックで先頭に立ったのは高橋淳美だ。ただ、決まり手は「恵まれ」ではなく「差し」。淳美の繰り出した差しハンドルは、確かに江口の内フトコロに突き刺さっていた。文句なしの自力差しで、1着の大金星を射止めたのだ。もちろん、そのパワーが悪いわけがない。軽量の女子レーサーの中ではトップと見ていたが、全メンバーの中でもトップ級かも? 特に素晴らしいのは出足系統だ。差しハンドルを入れた瞬間、外から握った落合の引き波をもろに浴びたのに、構わず伸びていったパワー。江口が握りすぎて流れたという部分を差し引いても、超抜の出足だと思う。

 

 

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 2着は落合。突出したムードはないが、全部の足が少しずついいバランス型か。初日からすべて2、3着という成績が、その安定度を物語っている。迷ったら握るタイプだけに、明日も4カドから淳美に引き波を浴びせに行くことだろう。

 

 

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 3着の泉は、倉谷はじめ他の選手が「泉にかなりやられる」と呆れるほどの鬼パワーだ。特に行き足から伸びがゴキゲンで、スタートさえ全速でバチッと行ければ一撃の大穴もありえる。知名度といい6号艇の枠番といい、明日は超人気薄に違いない。内がもつれて単騎がましなんてことになったら、10万シュー級の大波乱になるかもっ??

1着・高橋、2着・落合、3着・泉。

 最後に、峻ちゃん、本当に惜しかった!! 超抜・泉をぐいぐい追い詰めて、「あわや3着?」という瞬間、記者席にいた面々のほとんど全員が「おっおっおっおおっ!!!!????」とまったく同じ奇声を発していた。私の口から飛び出したのも「お、おおっ!!??」だった。舟券を買っても買ってなくても、そのすべての奇声には応援の色が滲んでいた。あの平和島・笹川賞の準優のように。今日はほんのわずか及ばなかったけど、必死に追撃する若々しい姿にただただ拍手を送ります! そして、73歳の来年こそはっ!!(photos/シギー中尾、text/畠山)

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