BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット@クライマックス――トライアルの特別性

 

 

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 ちょっとピリピリし始めているかなあ、というのが第一感。クライマックス組がトライアル初戦を迎える今日は、ピットの空気がやや引き締まっているように思えた。やはり12人がこの場の空気を支配する。昨日までとは少しだけ、雰囲気が違うように感じられたのだ。まあ、先入観があることは否定しない。

 そう思ったひとつが、平山智加の表情だ。今夏のレディチャンで、感心したことがあった。優勝戦で平山の発散する空気が完全に図抜けていたのだ。SGで見た平山智加がそこにいた、というか。SGに入れば、それが目立つことはない。だが、SG常連として揉まれに揉まれた平山が、いざSGモードに入れば圧倒的に目を惹く。平山智加が一皮も二皮もむけたのだと実感させられて、男子トップクラスとの戦いがいかに彼女を成長させたかを知ったのだ。

 今朝は、まさにこのときと同様の平山智加だった。もしかしたら去年の芦屋でも同じだったのかもしれないですね。ともあれ、クライマックスはトライアル初戦から大勝負。まして、1号艇で登場するのだから、スイッチが入って当然である。そこに、大舞台に臨む緊張感は確実にあったと思う。

 

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 鎌倉涼の表情も、これまでさまざまな場で見たものよりは、ずっと引き締まっている。地元クライマックスへの思いの大きさ、ということだろう。エース機を引いたことも大きい。鎌倉自身はもちろんだろうが、地元のファンや関係者も一気に期待感を高めただろう。それをまた、鎌倉も感じているはずだ。地元を背負ってのビッグバトル。闘志が宿らなければおかしい。

 平山と鎌倉の雰囲気に感じ入って、いざピットを見渡せば、全体的な緊張感が身に迫ってくるというものだ。これがメッカの年末の風物詩。男女の違いこそあれ、そこに漂う空気にはやはり類似性がある。

 

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 短期決戦ということもあって、選手の動きも早い。守屋美穂が昨日すでにリングを交換したということはお伝えしたが、1走走って見てからなどと悠長なことを言っていられないトライアル、今朝も岸恵子、水口由紀の姿を整備室で見たし、また小野生奈も本体整備に取り掛かっているようだった。

 今ざっと調べてみたら、小野はけっこう部品交換をしているんですね。本体整備は常套手段なのだ。ただし、これまで節の1走目から部品を換えて出走したことはない。1走走ってから、交換に手を出すのだ。ひとまず、小野が何の整備をしているのかは確認し切れなかった。直前情報をぜひご確認いただきたい。もし部品交換があったとするなら、短期決戦であるトライアルの特別性がそこにもある、ということである。

 

 

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 そうしたなかで、海野ゆかりの自然体にも目を奪われた。接触できたのは朝の挨拶程度だが、その様子も実に柔らかい。もしかしたら、今までのなかでもっとも穏やかな感じだったかも。ということは、自然体以上の自然体? 今はまだ静かに時を過ごし、淡々と牙を研いでいる、という印象。数々の修羅場をくぐってきた海野だけに、これはこれでまた好材料に思えてくる。

 あと、もっともっとキリキリした鋭さを発散しているかと想像していた平高奈菜も、わりと穏やかだったなあ。リードバルブ調整をしていたようだが、前のめりになりすぎるようなところはなさそうだった。もちろんレースになれば変わってくるだろうが、ということはこちらも今はジワジワと闘志を高めている最中なのだろうか。(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田)