BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット@クライマックス――奇跡の枠番抽選

 

 

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 今日は枠番抽選に尽きるでしょう!

 すでに結果をご存知の方も多いだろうが、平山智加が大フィーバーを巻き起こしたのだ。

 平山がガラポンを回し始めたとき、会場にいたすべての人が、球の抽出口に視線を送った。僕も背伸びしたり、首を曲げたりして、とにかくそこだけを見ておりました。

 白が見えた瞬間、ぞわわっと鳥肌が立った! またか! また白なのか!

 全員が白を確認した瞬間、会場は大きな大きなどよめきに包まれた。うおぉぉぉぉっ! そして次の瞬間、今度はみなが満面の笑顔になった。マジでぇぇぇぇっ!?

 寺田千恵が「もう帰ろ帰ろ!」と叫ぶ。そりゃもう、やってられませんわな!(笑) 強くて強くて仕方のない平山智加が、ガラポンの神まで味方につけたのだ。これで5連続白球ゲット。また、昨年同様のトライアルオール1号艇。小野生奈が「凄すぎ、凄すぎぃ」と目を見開いていたが、平山を表現する言葉はもはやそれしかない。

 

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 みんなが半ば呆れてしまったのか、そこから抽選会場の空気は一気に和らいでいる。今日のレースで敗れて意気消沈していた者たちも、すっかり平山の快挙に感心、感動していたようだ。そして、誰もが「こんなことってあるのぉ?」と頭を抱えた平山に大注目していて、次に引いた日高逸子が2号艇を引いたことも、その次の海野ゆかりが3号艇を引いたことも、やや興味の外になってしまったのであった。二人とも第2戦と同じ枠番、しかも好枠なんですけどね。

 

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 いや、一人だけ、しっかりとそれを注目していた者がいた。三浦永理だ。三浦は12R5着で、この組の5番手抽選。だというのに、いきなり①→②→③が埋まってしまったのである。

「あぁぁぁぁ~、(いい枠が)みんな出ちゃうぅぅぅ~」

 ここから、抽選会の主役は三浦に移る。4番手抽選の平高奈菜が5号艇を引いたことで、残っているなかではもっとも内枠だった4号艇は残った。気合を込めてガラポンを回すと…………また緑ぃぃぃっ!(笑)三浦は「キャーッ!」と悲鳴をあげて、思わず頭を抱えた。そのポーズは平山のそれとよく似ていたけれども、エリーは本当に頭を抱えていたのであります(笑)。

 

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 これで12R組は解散となったのだけれども、三浦は会場に残った。やはり残った日高が小野生奈に念を送る隣で、三浦はニヤニヤと笑いながら11R組の抽選を見守ったのである。

 まず、小野が3号艇を引き、続く鎌倉涼が2号艇を引いた。かねてから2コースが苦手と口にしている鎌倉が微妙な表情を見せる。笑みは浮かんでいるけれども、「黒かぁ~……」という感じだ。そこにすかさず三浦が野次を飛ばした。

「緑よりはいいでしょっ!」

 

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 続く3番手は守屋美穂。ガラポンを回すのだが、これがなかなか球が出なかった。何度回しても出てこずに、守屋はいったん手をガラポンから離し、ビシッと気を付けをしてリセットした。改めて回すと…………あぁぁっ、また緑ぃぃぃっ!(笑) なんとなんと、平山とはまったく対照的な、3戦連続6号艇である。

 

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「ププププププププププププッ!」

 たまらず噴き出したのは、もちろん三浦である(笑)。それはざわつく会場内にもはっきり響く噴き出し笑いで、海野に「笑いすぎっ!」とたしなめられるほどであった。それでも、笑いが止まらないエリー。そんな様子が注目をさらってしまって、次にテラッチが1号艇を引いたのに、まったく盛り上がらないありさまなのだった。まったくもう、エリーったらぁ……。その次には永井聖美がまたまたまた黄色を引いて、3戦連続5号艇になるというトピックが起こったのに(⑤永井⑥守屋の並びも3走連続)、それも思ったほどの盛り上がりにならず。三浦がぜーんぶ、持って行ってしまったのだ。

 平山に始まり三浦に終わった抽選会。ともかく、平山は3連勝を目指し、三浦は大外枠からの一発を狙う。トライアル最終戦、この枠番をもとに、それぞれがさまざまな戦略を練って、ファイナルを目指すだろう。

 

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 抽選会以外では、鎌倉涼の逆転劇がとにかく凄かった! バックでは先頭が平山、海野と寺田がそれに続く、という態勢だったのだが、そこから鎌倉は壮絶に追い上げた。握って握ってまずは寺田を追い抜き、3周目ホームでは海野に迫る。そして3周1マークで外を全速で握って逆転! 今日は高橋淳美と落合直子も気合のこもったターンを見せていたが、鎌倉もまた強烈な思いを込めたターンで、2着をもぎ取ったのである。

 控室に戻る鎌倉に「凄かった!」と声をかけると、鎌倉は「もう、気合ですよ~」と笑った。やはり! 1周2マークでは艇がバタついており、乗り心地は完璧ではないようである。しかし、それを補うどころか、強引に艇をねじ伏せるかのような気持ちが、鎌倉にあの逆転劇を演じさせた。「なんとかいいレースが見せられました!」と語る鎌倉の顔には、巨大な充実感が貼りついていたのだった。

 これで完全に鎌倉爆走モードに突入したはず。クールプリンセスが見せた、熱き逆転劇。明日もきっと、ホットな走りを見せてくれるだろう。(PHOTO/池上一摩 TEXT/黒須田)