BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

THEピット@グランプリ――悔しいっ!

 

 

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 笠原亮は、ひたすらに悔しがっていた。結果は3着である。1着もありそうな展開ではありながら敗れたことは悔しいに決まっているが、得点争いを考えれば2着3着で優位な位置につけている。そこまで悔しがり、落胆の表情を見せなくても、と思えた。

 そこまで笠原の心を曇らせた原因は、「仕上げられなかった」こと。朝は雨が降ってもう一丁良くなった、とも言っていたが、雨が上がり、11Rには気温が下がった。日中の手応えが良かっただけに、その変動に対応できなかったのだ。だからレースでは、完全に足落ちしていたという。ピット離れまで悪くなっていた。いま書いたとおり、3コースからのまくり差しが一瞬入るかにも思える1マークだった。もし日中の足だったら突き抜けていたかも……そんな思いが笠原を捉える。さらに2マークでは守田俊介に逆転を許す。せめて2着なら……とさらに悔いが襲う。結果もそうだが、その前の段階に悔恨の種はあった。それが、大きな大きな後悔となって、残ってしまうわけである。

 

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 もう一人の3着、毒島誠もまた、6着だった昨日とまったく同じ表情だった。そう、憤然、である。着順はアップしたというのに、しかし表情は変わらない。もし4着なら優出の可能性が思い切りダウンしてたから(というか勝って相手待ち)、安堵が表にあらわれてもおかしくないと思えた。それよりも、毒島は結果を悔いる。毒島とは話すきっかけがなかったが、もしかしたら進入とスタートにも悔いが残ったかもしれない、と思った。スタート展示は石野貴之の前付けを入れまいと枠なりスロー(オールスローだった)にしている。しかし本番は、6コースに出た。スタ展よりもさらに激しく動いた石野に付き合わなかったのだ。しかし、結果は4コースを獲り切った茅原悠紀の快勝である。もし自分が4コースなら……そんな思いがあってもおかしくない。ちなみに、毒島は今日、最後の最後までペラ調整を続けていた。妥協する気配を見せなかったのだ。それを活かせなかったこともまた、悔しさを増幅するだろう。

 

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 昨日の2着から一転、5着にまで着を落とした峰竜太も、やっぱり悔しがっていた。こちらは苦笑いを浮かべつつ、「かぁ~~~、悔しい!」と言葉にしている。峰の場合は、やはり着順が単純に不満だったか。控室に帰る途上、僕を見つけると峰は得点の確認をしてきた。2着5着で14点。ボーダーを21点とするなら、明日は3着勝負となる。それを峰に伝えると、納得したようにうなずいて、表情を引き締めた。すぐに気持ちを切り替えて、明日に意識を向けたわけである。優出を視野に入れるなら、それもまたグランプリの戦い方である。

 

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 悔しい気持ちを切り替えるというなら、すぐに敗因について思いを馳せる、というのもそのうちに入るか。これは11R組にしかできないことだが、たとえば昨日は毒島誠が11R6着後、すぐにペラ小屋に入って確認と調整を行なっている。今日は中島孝平だ。今日の11R6着が、その中島。レース後は露骨にガックリとうなだれて、落胆を隠してはいなかった。6着だから当然である。だが着替えを終えた中島は、ペラ小屋に直行。6着で感じた違和感を解消しようと作業に入っている。悔しい思いをさせてしまった原因を、すぐにでも突き止めなければいられないのだ。これもまた、明日に意識を向けた行動だろう。その後には、笠原亮も同じ行動をとっている。

 

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 当たり前のことだが、彼らとは正反対の表情を見せるのは、勝者である。彼らしい鮮やかなまくり差しを決めた茅原悠紀は、仲間に囲まれてニッコリ! そりゃもう、会心の一撃でしょう。報道陣が待ち構えるエリアに入ると、キリリと顔を引き締めてもいたが、その後の会見でも爽快な笑顔を見せている。

 

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 池田浩二は、守田俊介の肩を抱いて嬉しそうに胸をバンバンと叩いていた。ヘルメットをかぶっているから会話はまったく聞こえないが、気分が乗っているのは明らかで、なんとも楽しそうである。会見も、普段に比べて饒舌だったなあ。明日は本体を割ってみようか、なんてことも言っていた。あと、その実験台に平本真之を使っていることも(笑)。いや、もちろん冗談で、平本も本体を割っていて、自分も同じ作業をする可能性があるから、その様子をチェックしていたらしい。そんな話で笑顔を見せる池田、気持ちは仕上がったとみていいだろう。

 

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 さて、本日も枠番抽選! 今日は昨日よりも選手ギャラリーが多かったような気がする。前列は報道陣が占めるので、選手たちは後方から机に乗って眺めている。原田幸哉の「マーくん、俺が肩車してあげるよ」なんて声も聞こえた。たしかに瓜生正義は小柄だが……その肩車、見たかったな(笑)。

 ハイライトは、A組(明日12R)の4番目に引いた石野貴之。1番目の池田浩二が3号艇(なぜか卒倒しそうなポーズをしてました。原田「悪ない、悪ない」)、2番目の山崎智也が6号艇、3番目の笠原亮が2号艇、という流れで石野の順番になっている。白が出ていないことに沸き立つのは大阪勢。仮に石野に回らなくても、石野の次に引くのは太田和美である。どちらかが引く可能性が高い! ということで、田中信一郎らが声をあげていたのだ。石野が引いたのは……白! 石野ガッツポーズ! そして場内は大きな大きなどよめき。いや、歓声に近かったか。ここまで4着2本といまいち不完全燃焼なだけに、ラストで1号艇にすわれるのは大きい。

 

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 B組(明日11R)の1号艇を引いた毒島誠も派手にガッツポーズを見せていた。抽選はB組から行なわれていて、A組の6人が座って待機していたのだが、毒島は抽選前の先輩・智也に対してもガッツポーズ! 智也さんやったよ! 智也は笑みを見せるのだが、口元だけ笑って目は笑っていなかった。自分の抽選に意識を向けていたか。まあ、6号艇を引いてしまったわけだが。

 

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 最大の苦笑いは茅原! トライアル1st2戦目の抽選は、5番目、昨日も5番目。で、結局好枠はすでに引かれていて、この4走を外枠ばかりで戦っている。今日は1着だから、ついにいちばん最初に引ける! 勢い込んでガラポンを回したら……あら、緑。せっかくいちばんに引けたのに! せめてもう少し内の色が……てなわけで、思いっ切り苦笑いを浮かべ、勝利者インタビューへと向かったのであった。6、5、6、5、6。茅原も言っていたけど、フライングを切った後の選手の枠番みたいだ。これで優出を果たしたら、価値はデカいぞ!(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 TEXT/黒須田)