BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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住之江グランプリTOPICS 3日目

天敵・峰との泥仕合

 

11R

①篠崎元志(福岡)15

②石野貴之(大阪)15

③毒島 誠(群馬)19

④峰 竜太(佐賀)19

⑤太田和美(大阪)11

⑥中島孝平(福井)18

 

 

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 12Rに比べて穏やかなレースだったので、こちらは独断のパワー評価を中心に書かせていただく。

 篠崎元志が危なげなく逃げきった。早々にひとり旅を決め込んだので正味のパワーは判別できないが、中堅以上はありそうか。ただ、6Rの松井繁の持ち時計よりコンマ06下回ったのは、やや気になる材料ではある。明日の5号艇での足色に注目したいが、その前にある程度の値踏みはしておきたい。

 

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 混戦になったバックの2着争いから、スピードターン一発で抜け出したのは峰竜太。今節の峰は私にとって“天敵”のような存在になりつつある。足合わせやスタート特訓では一息に見えるのに、実戦ではしっかり結果を残している。私の見立てがすっとこどっこいなのか、たまたまコースや展開の利に恵まれているのか。その天性のスピードも相まって、判別が難しい。これも明日以降の宿題だが、現時点では「脱帽しました」などと見立てを覆すつもりはない。

 

 

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6コースから最内を差して、3着に粘り込んだのが中島孝平だ。これはもう、前検から評価したままのゴキゲン足だな。中島らしい「くるくる旋回できる回り足」が完璧に仕上がっていて、しかも今節は行き足~伸びも付いてくる。当然、道中の追い上げが利く。この抜群の安定感は、得点をまとめることが重要なトライアルでは強力な武器だと思う。むしろ心配なのは抽選運で、連チャンの6号艇は流れ的にどうだろうか。明日もまたしっかり着をまとめて(前付けも視野に入れたい)、第3戦の好枠を引くようなことがあれば、かなり怖い存在と言えるだろう。

 

 

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 4着~6着で、いちばん目立つ足色だったのは石野貴之だ。道中のあちこちで不利な展開を強いられていたが、それでも4着を獲りきったところにパワーの底力を感じた。ただ、後手を踏む要因となった1周1マークの差しが、まったく元志に届かなかったのは気になる。強めのストレート系に比べ、サイドの掛かりが甘いのではないか。そんな不安を抱かせる1マークではあった。

 太田、毒島は、今日に関しては全体的にやや弱めだったと思う。スリットで覗いた太田が強気で攻めなかったのも、どこかしらに不安があったせいかも知れない。もちろん「3戦のサバイバルマッチで、緒戦から無理をしたくない」という心理が働いた可能性もある。とにかく、あのスリット隊形からしばらく直進したのは、太田らしくない気もしたのだが、どうだろう。

 

フランケン・パワー??

 

12R

①山崎智也(群馬)17

②守田俊介(滋賀)13

③桐生順平(埼玉)15

④笠原 亮(静岡)19

⑤池田浩二(愛知)19

⑥茅原悠紀(岡山)19

 

 

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 11Rに続いてインコースの山崎智也が勝ったが、こちらは辛勝も辛勝、薄氷を踏むような勝利だった。この大本命を脅かしたのは、まずは桐生順平。例によって正確無比かつスピーディな3コースまくり差しで、智也の内に舳先を掛けた。さらに、4コースから差した笠原亮の足色が素晴らしい。バック直線の迫力だけでいうなら、この2艇が智也を圧倒していた。

「この勢いだと、智也は2着も危ういか」

 1周2マークの手前でそう見えたものだが、賞金王トライアルならではの“魔性”がひょっこり顔を出す。智也をブロックしながら全速でぶん回した桐生の、サイドがまったく掛からない。真横に流れて、消波装置にぶつかりそうになった。原因はよくわからんが、その後の“アレ”を見る限りエンジン云々とは無関係だろう。それより、内から豪快に伸びる笠原が視界に入り、レバーとハンドルの噛み合わせが狂った可能性が考えられる。

 とにかく、この桐生の“暴走”で智也は息を吹き返し、冷静な差しハンドルで先頭を奪還した。こうした運も、トライアルではことさら大きな意味を持つ。そのまま先頭でゴールした智也は、10分後の枠番抽選で白い玉を引き当てた。レースもガラポンも、強運とともに完璧に支配した。流れ的には、2度目の黄金メット戴冠にまっしぐら、だな。

 

 

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 ただし、こと機力に関してはその必要十分条件をまだ満たしていない。1マークで舳先を突っ込まれたのは気になるし、道中でも一度は振り切った笠原にグイグイ詰め寄られていたのも不安材料だ。パワーだけなら、明らかに笠原が上回っていた。

 そしてそして、その笠原より上かも?と思わせたのが、桐生65号機だった。2マークのターンミスで消波装置までぶっ飛んだ桐生は、もはや死に体に見えた。そこから、なんとか態勢を立て直して前進しはじめた。

 6着はやむなし、エンストなどの事故にならなくて良かったね、順平。

 

 

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ってな感じで見ていたわけだが、その後の追い上げは、もうなんと言ったらいいのか……ターンマークごとに先行艇を追い抜き、あれよあれよと3番手の俊介まで追い抜いていた。実況リプレイに、どこまで全貌が映ってるだろう。現場で見ていた私は、あまり現実味のないゾンビ映画を観ているような気分になった。

 あれ、あんたはさっき、あの現場でコト切れたはずでは……??

 

 

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 みたいな。それほどまでに異様で不気味な追い上げだった。もちろん、彼ならではの異次元ターンスピードが大きな要因だろう。ただ、その凄みとは別物の、ヤバイほどのパワーも同時に伝わってきたのである。スピードとパワーがごっちゃになって、無敵のモンスターゾンビが水面を疾駆していた。

 まとめると、今日のトライアル2戦を見た限り、桐生と笠原が節イチ候補で石野、中島がその次。この3機からそこそこ距離があって、他の9人(機)がだらだら接近して並ぶ。そんなイメージが浮かぶ。パワー相場では「智也絶対ムード」とはまったく言い切れないとお伝えしておく。

 

 

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 あ、パワー以外で「これは怖いぞ」と思ったのが、守田俊介のスタート勘だな。今日は当たり前のようにコンマ13のトップS。スポーツ報知の連載コラム『守田俊介アワー・回っていいとも』で「スタートはコンマ00まで見えている」と豪語したように(笑)、完璧に掴んでいると見た。今日の桐生との競り合いで「パワー負け」を痛感したとするなら、「ならばスタート勝負!」とどこかで開き直る可能性もある。それがいつかはわからないが、常にコンマゼロ台前半の一撃を警戒しておきたい。

 

『前検三銃士』に最注目!!

 

 シリーズ戦は、今日から折り返し。GP敗者組も合流したこともあり、私なりのパワー番付を記しておこう。

 

SS級(節イチ候補)…井口佳典

S級(抜群候補)…吉川元浩、湯川浩司

A級(上位候補)…松井繁、市橋卓士、平高奈菜、原田幸哉、瓜生正義

 

 

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 こんな感じか。とにかく前検から井口、湯川のストレートが強烈で、今日の井口は回り足もしっかりしていた。その分だけ湯川より上と判断し、節イチ候補に推す。同じく前検で高く評価した吉川はやや期待ハズレの気配だったが、今日は素晴らしい行き足~伸びを魅せてくれた。うん、これで前検TOP3がめでたく揃い踏み。すでに記したとおり「この3機から優勝者が出る」という予言を改めて強調しておきたい。

 

 

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 とはいえ、3日目を終えての暫定トップは瓜生正義になった(平本はまさかの「沈没」で後退)。瓜生のコメントは珍しく強気だったり弱気だったり猫の目のように変化しているようだが、Aランクはあると思う。さらにGP組の松井、幸哉も強力で、実際のV戦線はかなりの大混戦だと思う。

 で、何度か書いてきたが、舟券的には「井口、湯川、吉川の外選手!」がやはり絶好の狙い目。今日も7R瓜生や8R平本がマーク差しで穴を開けている。ことストレートに限れば、この3人はGPトライアルに入っても節イチ級だと断定する。うん、大穴を狙うならシリーズの方が近道だと私は思いますぞ。(photos/シギー中尾、text/畠山)