BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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シリーズ準優ダイジェスト

デビルパワー

 

8R

①瓜生正義(福岡)16

②吉川元浩(兵庫)25

③原田篤志(山口)22

④篠崎仁志(福岡)15

⑤新田雄史(三重)21

⑥辻 栄蔵(広島)17

 

 

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 吉川の鬼足が艇聖・瓜生を引き裂いた。1マークまでは瓜生の独壇場。1艇身のスタートをバチッと決め、一目散に逃げた。今までに何度も見てきた圧勝パターンだ。が、2マークでそれは起こる。瓜生が余裕のある先マイをして、3艇身ほど後方の吉川がターンマークに寄って小さく回った。その小回り差しの舳先が、瓜生に届いた。届いてしまった。あとは、周回ごとに引き離す一方。彼我のパワー差は歴然だった。

1着・吉川、2着・瓜生。

 

 

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今節の瓜生のコメントは珍しく「泣き」が多かったが、私は「そこまで悲観するパワーではない、むしろ上位の1機」と思い続けてきた。それは間違いだったと認めざるをえない。もしも今日の瓜生の足をAランクに置くなら、吉川のそれはSSSSくらいになってしまう(笑)。瓜生が中堅、吉川が超抜が妥当な見立てだろう。

 明日の吉川は2コースでも十分に勝機はあるし、誰かを入れての3、4コースはさらにV率がアップすると思う。逆に瓜生は、現状の足のままではよほど波乱の展開にならない限り吉川に先着するのは難しいだろう。

 

あんぽんたんの乱

 

9R

②西山貴浩(福岡) 04

①今垣光太郎(福井)04

③湯川浩司(大阪) 10

④井口佳典(三重) 08

⑤岡崎恭裕(福岡) 01

⑥今村 豊(山口) 04

 

 

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 枠なり3対3が主流の平和なボート界で、いきなり若者(自称「あんぽんたん」)の“謀反”が勃発した。西山貴浩、イン強奪の乱。今朝の日刊スポーツ紙に「明日(準優)の僕は何をするかわかりませんよ」と意味深なコメントを発していたらしいが、まさかまさかインコースを奪い取るとは……。指定席を奪われた1号艇は、今垣。これまで、吉川元浩など何人かに同じ目に遭った光ちゃんは、今日もまた無防備だった。うーん、光ちゃんはきっとこの記事を読まないだろうけど、ちょいとお説教を垂れたいぞ。

 光ちゃん、1号艇のときは外の全艇に目を光らせなさい。せめて勝負駆けや賞典レース(ほとんどがこのケースだ)のときだけでも、気をつけなさい!!

 

 

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レースに戻ろう。早々に舳先を向けられた今垣は、やるせなさそうに2コースに入った。もちろん、内心ではめらめら燃えるものがあったはずだ。

「こりゃ、スタートを決めて、怒りのジカまくりだな」

 そう直感した。で、事実、コンマ04までおそらく全速で踏み込んだ。一方、インを奪った西山もコンマ04まで張り込んでいる。が、こっちは全速には見えなかったし、深インの分だけ足取りが怪しく見えた。たちまち、今垣が半分ほど覗く。まくる! 外枠の舟券を買っていた私はその隊形にときめいたのだが、光ちゃんの選択は差しだった。もちろん、これは準優だから「差して1、2着」という戦法はありなのだが……コトの成り行きや光ちゃんの性質を鑑みれば、握って攻めてほしかったなぁ。肩透かしを食ったような、複雑な思いが残る1マークだった。

 

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西山の奇襲、成功。しっかりと逃げきった西山は、まんまと優勝戦進出を決めた。差して優出を目指した今垣は、井口との競り合いに敗れて3着に散った。イン逃げを信じた人々が買った舟券は億単位にも及ぶのだから、光ちゃんには大いに反省してもらって次からの1号艇に活かしてほしい。

1着・西山、2着・井口。

 西山の足は中堅~中のレベルと見ている。井口は前検から何度も書いてきたように、節イチ候補。ただ、今日の足は昨日までの破壊力は感じさせず、むしろ無難にまとまっている気がした。6号艇の明日は、パンチ力を中心に上積みしてもらいたい。

 

強い長田、幸運の王者

 

10R

①長田頼宗(東京)03

②原田幸哉(愛知)06

③松井 繁(大阪)05

④平本真之(愛知)10

⑤吉田拡郎(岡山)12

⑥西村拓也(大阪)13

 

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 ついについに、長田が初のSG制覇に王手をかけた。準優で怯むことなくコンマ03!! 幸哉も王者もゼロ台で勝負したが、影も踏ませぬ圧勝だった。いやはや、非の打ち所がないほど強かった。

 2着争いは、意外な展開になった。完全に平本が2番手を獲りきった2周1マーク、3艇身ほど後ろにいた幸哉が真っ直ぐブイに向かう切り返しを見せ、これに平本の艇が追突した(幸哉は不良航法で賞典除外)。シリーズ連覇の可能性を、同県の先輩が消滅させてしまったのである。

 

 

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 で、思わぬ「同県玉砕」で4番手から一気に優出圏内に突入したのが王者だった。ほぼ絶望的な立場から浮上したのだから、この流れは怖い。パワー的にも「吉川や井口などのトップ集団の次」くらいと見ており、十分に優勝を狙える足だとお伝えしておく。

1着・長田、2着・松井。

 

 

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 どうにも定まらない長田のパワー評価だが、やっぱり強力なのだろう。ただ、「参りました、明日はもう逆らいません」という気分にはならない。優勝戦のメンバーが、猛者ばかりだから。8Rで瓜生を切り裂いた吉川が同じ2号艇。ピットアウトから陽動作戦を繰り出しそうな王者・松井。合えばトップ級の伸びになる井口……西山・瓜生の福岡コンビも不気味だし、いくら住之江でもそう簡単に逃げきれるとは思えないのである。明日は、朝の特訓から猛者たちの足色をしっかりと把握したい。そして、長田を破る可能性がどれくらいあるかを考えつつ、舟券予想を組み立てるつもりだ。現時点での長田のV確率は、30%程度だと思っている。(photos/シギー中尾、text/畠山)