忍者の本領
11R 並び順
①篠崎仁志(福岡)06
②重成一人(香川)05
⑥白井英治(山口)06
③篠崎元志(福岡)13
④辻 栄蔵(広島)12
⑤山崎智也(群馬)16
スタート展示で4コースを奪った白井が、本番ではさらにエンジンを噴かして3コースに陣取った。126/345。こうなると怖いのは何度も一撃まくりを決めている「元志の4カド」だが、スロー3艇がスリットで圧倒、ダッシュ勢を半艇身ほど出し抜いた。外からのプレッシャーを受けることなく仁志が先マイ、重成が差し、白井が全速でぶん回す。力強く抜け出したのは仁志。コースの利と強力なパワーを武器に、バックで一気に突き抜けてトライアル2ndへの昇進を確実なものにした。
逆に差した重成は舳先が上に跳ね上がってバウンド、大きく失速して2ndステージが遠ざかった。勇躍、握りマイで攻めた白井が2番手に浮上する。「2着なら2nd有力、3着はボーダー前後」という状況だった白井が見事に勝負駆けを決めたか!?
そうではなかった。やや立ち遅れたダッシュ勢の中から、1騎だけが怒涛のスピードで追い上げている。忍者、栄蔵!! 最内からぐんぐん伸びる姿は、昨日のそれによく似ていた。瞬く間に白井の内に舳先を突っ込み、今日はすぐに2マークには向かわず、艇を合わせて白井の攻め手をきっちり殺してから悠然と2マークを旋回。この激辛のターン一発で、1-4-6の隊形が完全に固まった。昨日も今日も、辻の不気味な実戦足が脳裏に焼きついた。2ndでどこまで通用するか予断は許さないが、まったく目の離せない抜群パワーだ。
後方では3艇が抜きつ抜かれつの4着争いを繰り広げていた。ただ、GPという意味では大勢が決した闘い。重成と元志にとっては悔しくも絶望的な4着争いだった。この6人のトライアル成績は
仁志21点、辻20点が確定、智也18点がほぼ当確、白井16点が12Rの結果待ち、元志12点、重成11点が事実上の敗退。
レース後、元志は弟にでっかい夢を託して即日帰郷した。
秘かな勝負手
12R 並び順
①池田浩二(愛知)18
②魚谷智之(兵庫)19
③井口佳典(三重)16
⑤太田和美(大阪)17
④岡崎恭裕(福岡)13
⑥平本真之(愛知)11
またまた岡崎が待機行動で……今日のピット離れは五分だったが、その後がいけない。地元の太田に外から煽られると、引き波にハマる形で失速してまんまと4カドを奪われた。結果的に、この交代劇はピン勝負の岡崎にも②着当確の太田にも少なからぬ影響を与えたと思う。
123/546で、スリット後はほぼ横一線。そこから池田の伸び返しが素晴らしく、1マークの手前では1艇身近い余力があった。が、そのインモンキーは池田にしては珍しいターンミス。明らかに握りすぎで艇が外へぶん流れ、ハンドルを戻した際に艇が大きく左右に揺れ、続いて舳先が上下に何度もバウンドした。弘法も筆の誤り? 池田をもってしてもGP1号艇の重圧があったのか。
池田が流れてもたついている間に、他の5艇がその内フトコロに殺到した。中でも太田の勢いが抜けていた。ここだ。太田には明らかに“4カド”の利があった。3コースから握った井口に連動して、経済コースのマーク差し。5コース岡崎はその外を握って攻めたが、内水域が広く空いている分だけ4コース太田の勢いが上回った。枠なりのままなら……岡崎が4カドから突き抜けたかどうかは微妙だが、勝ち負けの展開には持ち込めただろう。
太田が差し抜けて5-1か??
ターンの出口ではそんな勢いに見えたものだが、暴れる艇を立て直してからの池田のレース足が強力だった。太田の舳先をスッと突き放し、そのまま安全圏へとワープする。そのまま2マークを先取りして、もうその後は一人旅だ。うん、今日も17号機は抜群と言いきっていいだろう。
一方、2マークでの2着争いは凄絶の一語。岡崎が外から突っ込み、平本も切り返し、そのど真ん中を太田が差し、魚谷が全速でぶん回し……この2日間でもっとも激しいターンマークの攻防の末、位置的なアドバンテージのあった太田がわずかに抜け出して2番手を獲りきった。返す返すも、待機行動でのコース交代が大きかったか。
思い返せば、昨日も5号艇だった太田は内の仁志に艇を被せるようにしてコースを入れ替えている。戦術かどうかは断定できないが、2日連続の“勝負手”だった気がしてならない。きれいごとだけで、GP戦線を勝ち抜くことは難しい。大小の局地戦とともに12Rが終わり、同時に12人の明暗が半分に分断された。このレースからは池田、井口、太田が生き残り、魚谷、岡崎、平本がシリーズ戦へ……また、結果待ちだった白井も次点でGP戦線から脱落した。(TEXT/畠山、PHOTOS/シギー中尾)